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リアクション
古城侵入後。
「換気が終わったと言うことでこれより俺達は人外魔境の根源を撤去すべく清掃活動を行う」
古城に侵入してすぐ御宮 裕樹(おみや・ゆうき)は目的地を伝え、士気を高める。
「おー!」
久遠 青夜(くおん・せいや)は元気に返事をして腕を上げる。
「うむ! お掃除だな!!」
ラウズ・クラスト(らうず・くらすと)も腕組みをしながら元気な返事をする皆を見回した。
「おー……はいいんだが」
トゥマス・ウォルフガング(とぅます・うぉるふがんぐ)は上げた腕を下ろして凄惨な周囲を見回した。掃除は始まっているというのに汚いまま。
「つーか、ここの住人いくら何でも物忘れヒドすぎねぇか?」
トゥマスは呆れたように声を上げた。
「それは後回しだ」
と裕樹。トゥマスが言いたい事も分かるがまずはやるべき事が先だ。
「実験室に到着後、トゥマスを先頭に侵入。ラウズは外で待機だ。物をなぎ倒しかねないからな」
裕樹は実験室到着後の指示を伝える。
「これはうっかりだったな!」
かなりの巨漢のラウズ。
「鎧を脱げばマシになるんじゃねぇ?」
トゥマスが纏っているフルプレートについてツッコミを入れた。
「脱ぐ気は無いぞ。私だからな!」
ばっさりと却下するラウズ。
「僕は実験器具の洗浄をするよ。何を隠そう僕は洗い物の天才(自称)だ−!」
青夜は元気に言う。
「という事で僕は洗い物のお水確保に行って来るよ」
青夜は洗濯物の状況を考え、水が足りなくなるだろうと予想。洗わなければならないのは実験器具の他に大量の服もある。比例して水が大量に必要になるのは明白だ。
「よし、任せた。行動開始だ」
裕樹はトゥマスとラウズを連れて実験室に向かい、青夜は浴場に向かった。
外。侵入する者が全て城に入ってすぐの頃。
「……早く掃除を」
何とかしたいと古城に入ろうとするアメリ・ジェンキンス(あめり・じぇんきんす)。
「アメリは外に残れ。換気をしたとはいえ城内は危険だ」
ダン・ブラックモア(だん・ぶらっくもあ)は体の弱いアメリを止めた。
「……でも」
手伝いに来たからには何か出来る事をしたいアメリ。足を引っ張りたくないのだ。
「城内から散乱している洗濯物を持って来るからそれを洗濯をしてくれ」
ダンは、何とかアメリにも出来る手伝いを思いつき、城に入るのを思いとどまらせようとする。
「……分かった。二人共気を付けて。あれ法正は?」
アメリはこくりと頷き、洗濯担当になる。ふと一緒に来た法 正(ほう・せい)が側にいない事に気付き、辺りを見回すと少し離れた所でのんびりとおやつタイムを満喫していた。
「ん? あんな場所で」
ダンはつかつかと座って空を眺めながらお菓子を食べている法正の所に近付き、
「ほら、立て行くぞ」
腕を掴み無理矢理立たせる。
「掃除なんて雑務、名軍師たるこーちょくがやることじゃないもん」
法正は不満いっぱいの顔で顔を背けている。やる気など微塵も無い。
「……一人ならいいが、今は一緒に行動しているんだ。何かあればアメリにも迷惑が行くついて来たからにはしっかりと責務を果たさんか! 偉人? 知ったことか、真面目にやれ、ゆとり!」
ダンが法正の言い分を聞くはずも無く、引っ張って入り口まで連れて行く。
「むー。だったら火計だ!」
法正は不満顔のまま入り口から見えるごみに向かって一気に終わらせようと『火術』を使おうとする。
「危険な場所で使うな!」
非協力的な上、物騒な事をしようとする法正を止めるため思わず拳骨。
「……主公にも殴られたことないのにー!」
法正は拳骨を受けた頭を撫でながらダンを睨む。
「……ダン、落ち着いて」
様子を見ていたアメリがこの場を何とかしようと動いた。偉い自分を尊敬しろという法正の態度。何もせずに尊敬を求めるのは虫が良すぎる。アメリから見てもただの我が儘。だからと言って思ったままをそのまま口にしたとしても子供だから反発するだけ。ほんの少し策を講じなければ。
「法正、あなたがとても凄い人だって知ってるわ」
ダンを落ち着かせてから法正の前に屈み、優しく言う。
「そうだ。こーちょくは凄いのだ」
法正は両手を腰に当て誇らしげに胸を反らす。
「だからね、その凄い名軍師の力をみんなにも見せて欲しいの。きっとみんな法正の凄い力を見たいと思ってるわ。私もダンも」
アメリは穏やかに法正を諭す。
「……」
法正はじっと自分を諭すアメリを見ていたかと思うとふいと背中を向け、入り口から離れて行く。
「法正?」
アメリは、様子の変わった法正を見てやる気を出させるのは失敗したかと心配になる。
「……終わったら塗り潰して人を上手く回して迅速に終わらせるのだ」
法正はくるりとアメリの方に向き直った。手には地図があった。誰がどこの部屋を担当しているのか細かく書かれてある。見たいと言われたら見せない訳にはいかない。
「さすが、法正!」
アメリは立ち上がり、さらにやる気を出させようと手を叩いて褒める。
「こーちょくにとってこれぐらい朝飯前だ。終わったら知らせるように連絡するのだ」
褒められてまたやる気が上がる法正。
「えぇ」
アメリは言われるまま城内にいるみんなに連絡をした。掃除が終わり次第連絡を入れるようにと。
「……俺は洗濯物を回収して来る。気を付けろ」
ダンはもう大丈夫だと判断するなり一人で城内へ。
「……準備しないと」
アメリは慌ただしく洗濯の準備を始めた。
「……私も手伝います」
ササカも手伝いに加わり速やかに洗濯の準備を整えた。
そして、三人は洗濯に精を出した。途中、親友が衝動買いしたがらくたについて聞かれたりした。
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