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リアクション
序章 森の奥で
「ドラゴンさんはこの先ですよぉ〜」
賢狼と牧神の猟犬がルナ・クリスタリア(るな・くりすたりあ)の前を警戒しながら進み、ルナはヒポグリフに乗り森を駆けていた。
(アニス、周りはどうだ?)
ルナの後ろを駆ける佐野 和輝(さの・かずき)が空飛ぶ箒ファルケでやや上空を飛ぶアニス・パラス(あにす・ぱらす)に精神感応で状況を確認した。
(和輝、大丈夫だよ〜)
上空でディテクトエビルと殺気看破を使って、周囲を警戒していたアニスが精神感応で敵対する生物の反応を確認した。
「ドラゴンさんが見えたよぉ〜」
ルナが前を向きながら二人に声をかけた。
前方には、全身に苔が生え、翼には穴が空き、よく見ると一部が木と同化しているドラゴンがいた。
ヒポグリフに乗ったままルナがドラゴンに近づこうとすると、
「ハルト様に近づくな!」
ドラゴンの影から地祇がルナに向かって、目にも止まらない速度で殴りかかってきた。
地祇の叫び声を聞いて、曙光銃エルドリッジを二丁、構えながら動き出した和輝は地祇の拳を蹴りで逸らすと、銃身部分を握る様にして銃把で地祇を気絶させようとする。
地祇は銃を払い除けると後ろに下がった。
「俺達は、ドラゴンに攻撃するつもりはない」
和輝はルナを庇うように立つと、攻撃してきた地祇に話しかけた。
「嘘だ! ハルト様を狩りに来たんだろ!」
「ダー、そやつらから攻撃をする気配を感じない」
「でも……」
また殴りかかろうとする地祇にドラゴンが諌めると地祇は攻撃の態勢を解いた。
「すまんな、地球の人間とその契約者達、こやつは喧嘩っぱやくてな」
「いや、俺達が近づいたのが悪……」
「ドラゴンさん! 初めまして私、ルナって言います。うちの果樹園で育てた果物ですぅ〜。もしよろしければ食べてみて下さい〜」
和輝も銃をしまい、ドラゴンに声をかけていると、後ろからルナが目を輝かせながらリンゴを持ってドラゴンに近づいた。
「ほほう、おヌシがあのルナか」
「え! 私を知ってるんですか!」
「風の噂でな。儂はハルトと言う、もうこの有様だ、動くことは出来んがね」
ルナの名声を知っていたドラゴン……ハルトにルナは更に声をかけようとすると、
「ルナ、先に済ませておかないといけない用事がある。話はそれからにしてくれ。……近くに村があるのは知っているな?」
「それは、知っている。風の噂で村長が儂を頼りに来る事も村長の息子が儂を討伐しようとしている事も知っている」
和輝が遮るようにハルトに声をかけた。
「そうか……討伐隊が先に来た時はどうするつもりだ?」
「儂ももう年だ、殺されてやるつもりだ。森を開拓したいやつもおるが、守りたいやつもおる。儂が死んだからといって、森に変化は無いだろう……ダーが抵抗するだろうがな」
和輝の質問にハルトが答え、地祇……ダーの方向を向いた。
「そうか……もし討伐隊が先に来ても申し訳無いが、個人的な理由で護らせてもらう。されまで……」
「私達もドラゴンのお爺さんを守ります!」
和輝達が来た道から次百 姫星(つぐもも・きらら)と
「あの村は、人と物の怪が共存する村ヨ。バシリスも立ち寄ったことあるネ。 穏やかで素晴らしいところだったヨ。だから、ドラゴンのお爺さんをやっつけようとする馬鹿にはオシオキが必要ネ!」
バシリス・ガノレーダ(ばしりす・がのれーだ)がハルトの元に駆けて来た。
「儂も人気者だな……儂も動けない身、好きにするといい」
「ああ、好きにさせてもらう。ルナが話をしたがっていてな、ここで護衛をさせてもらう。お前達は、ここに被害が出ないよう、森の中で戦うといい……村長達を間違って攻撃しないようにな」
「解りました。ドラゴンのお爺さんをよろしくお願いします」
「守ってよネ! 絶対だヨ!」
姫星とバシリスは、和輝達にこの場を託すと森の中に入っていった。
「アニスって言うのよろしくね」
「……ふんっ!」
アニスはダーに
「ハルトさんに、色々聞きたいことがあったのぉ、まずはね……」
ルナはハルトに声をかけて、和輝は会話に耳を傾けていた。
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