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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

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 剣竜のコクピットで真司は自分の手に汗握る思いだった。
(こいつが剣竜か……。細部は違うがゴスホークと同じような形式の操縦法みたいだな)
 操縦方式の似ているゴスホークを思い出しながら、真司は操縦感覚を一つ一つ確かめるようにしていく。
(此方も相手も武装は刀一振りのみ、相手の間合いに入って斬り合うしか勝つ術は無し)
 パワードスーツに似た操縦デバイスに包まれた身体を動かし、真司は刀を振るう動作をする。
 それに呼応し、モニターから見える剣竜の腕も弐〇式高周波振動刀剣を振るい、相手の“斬像刀”を捌く。
(防御面では体術を駆使して必要最低限の動きで回避するように心掛けていくか)
 たった今、相手の斬撃をしのいだ感覚を記憶に刻み込みつつ、真司は作戦を練っていく。
(だが俺は武術の達人じゃない。CQC程度なら使えるがそれも達人ってわけじゃない。そんな俺が勝つにはただ一つ、肉を切らせて骨を断つしかない)
 しばし睨み合っていると、真司の頭にヴェルリアの声が直接響く。
(真司、剣竜はコンディショングリーン。そして敵の回避パターンは――)
 テレパシーによってタイムラグなしに直接送られてくる言葉によって真司はサポートを受けているのだ。
 剣竜のコンディションや武器の残弾数を常にチェックしながら相手のイコンの攻撃パターンや回避パターンを観察、収集・分析するヴェルリア。
 そして、剣竜を直接操縦する真司。
 二人の力が見事に互いを支え高めあうことで、剣竜は“ドンナー”を圧倒しつつあった。
 その時、やおら“ドンナー”から通信が送られてくる。
『柊さん、それに剣竜といいましたか。見事です――』
 言いながら“ドンナー”は鞘を外して腰へと取り付けた。
『――ですが、これで終わりです』
 そして“ドンナー”の右腕が一瞬消えたかのように霞んだかと思うと、凄まじい衝撃が剣竜を襲う。
『確かにイコン乗りとしては超一流でも、武道家としては超一流ではなかった――それが貴方の、敗因です』
 けたたましく鳴り響く無数のアラート音の大音響の中、真司の意識はブラックアウトしていった。