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古城変死伝説に終止符を

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古城変死伝説に終止符を

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 薬作成組と別れた後、北都達は前回同様厨房に来ていた。
 冷蔵庫前。

「……確認してみますね」
 クナイは冷蔵庫へ。
「……また正体不明の物体があるような気がするんだけど」
 北都は冷蔵庫をにらみながら言った。まともな物が入っているとは一切考えていない。そもそもまともな物が入っているのならこんな有様にはなっていない。
「意外と……」
 意外とまともな物があるかもしれないと言葉を続けようとしたが突然、言葉が出なくなり冷蔵庫を開けようとした手が動かなくなった。
「クナイ?」
 北都は様子のおかしいクナイを見てすぐに霊の影響を受けたと判断し『T・アクティベーション』で金縛りを解いた。
「助かりました」
 クナイが元に戻ると同時にゆらりと女性の幽霊が姿を見せた。
「僕達はこの家を掃除しに来た者だよ。邪魔をしないで欲しいんだけど」
 北都は穏便に事を構えようとするが、幽霊は言葉を発する事無くじっとにらむだけ。
「そもそも自分達が住む家なんだから火事を起こすのはいけないよ」
 北都は相手が退く様子が無く大人であるため注意をする。
 黙って様子を見守っていたクナイは北都の背後にある食器棚から皿が飛んで来るのをいち早く気付いた。
「危ないです!」
 クナイは『風術』で飛んで来る皿を押し返し、地面に叩き落として北都の身を守った。
「……」
 クナイによって攻撃を防がれた事で諦めたのか女性は姿を消した。
「……消えた。一応、納得したという事かな。クナイ、ありがとう」
 幽霊を退けた事に一息入れた後、北都は助けてくれたクナイに礼を言った。
「いえ、それより気を取り直して……」
 クナイは改めて冷蔵庫を開けた。
 中には怪しげな物体がぎっしりと入っていた。
「前回同様明らかに冷蔵庫の使い方を間違っているね。妙な匂いもするし」
 『博識』を持つ北都は物体が飲食物ではない事を確認し、『薬学』で匂いを確かめて破棄対象と判断した。
「そうですね。しかし、業者に連絡して正解でしたね」
「これじゃどうにも出来ないからねぇ」
 クナイと北都は火事でひどく焼け焦げた厨房内を改めて見回していた。修繕は業者任せなので自分達は危険物を取り除く事をして残りの普通ごみはそのまま業者に任せようと考えていた。そのため厨房での作業は危険物を外に出すだけの簡単なものだった。
 厨房の作業が終了するなり
「次は分別箱を全部外に出してごみの分別をしようか」
「ついでに廊下に転がるごみも回収して他の方が行動しやすいようにしておきましょう」
 北都とクナイは廊下の所々にある分別箱と転がるごみの回収を始める事にした。
 重たい分別箱で両手が塞がっている所を前住人に狙われるがクナイの『龍鱗化』でダメージを軽減したり転がるごみを回収している時に木像が北都を狙うも『行動予測』で回避したり、クナイの『禁猟区』で警戒しつつ作業は進められた。重大な支障は出ず、北都達や他の清掃者によって足場は何とか確保された。
 分別箱を全て外に出してからごみの分別が本格的に始まった。

 外。ごみの分別中。

「……どれだけ危険物に囲まれるのが好きなんだろうねぇ」
 北都はオルナに呆れながらごみの分別作業をしていた。
「確かに魔法ごみの方が多いですよね」
 クナイは圧倒的に多い魔法ごみに苦笑しか浮かべる事が出来なかった。
「……この魔法薬が染みついた洗濯物はどうしますか。かなりの量ですが」
 洗濯物の分別をしていたクナイが魔法薬が染みついた洗濯物が大量になったところで北都に訊ねた。
「一つ一つ魔法だけを処理したいところだけど時間が掛かるから全部魔法ごみとして処理するよ」
 北都は魔法ごみの方に入れるように指示をした。
「着る物が少なくなってしまいますが、安全の方が大事ですから仕方が無いですよね」
 クナイはほんの少ししか残らないまともな衣服を見てため息。
「そうだねぇ。僕達は自宅の安全を取り戻す事が目的だから後の事を考えるのはあの二人に任せるしかないよ。ササカさんはしっかりしているから大丈夫」
 北都は後処理はササカがきちんとやるだろうと分かっていた。
「そうですね。危険物を見逃して後でここが吹き飛んだという事になっては大変ですからね」
 クナイはごみの分別をしながら起こり得そうな事を口にした。
「それは有り得るから気を付けないとね。クナイ、厨房のごみと一緒にここにある物の処分を頼むよ」
 北都はクナイの言葉を一切否定せず、ある程度分別出来た所で魔法ごみの処理を頼んだ。
「分かりました」
 クナイは融合機晶石【フリージングブルー】を体内に入れて、魔法ごみを一気に凍らせ、危険を封じた。
 この後もごみの分別は続けられた。途中、他の清掃者も加わり速やかに作業は進んだ。城内は清掃担当の懸命な作業により無事に清掃を終える事が出来た上にクナイが呼んだ業者のおかげで厨房や追加された火事被害を受けた他の場所や窓ガラスも全て元に戻った。当然、ごみも全て業者に引き取って貰った。ただし、全てオルナ負担で。