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正体不明の魔術師との対決準備?

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正体不明の魔術師との対決準備?

リアクション

「中身が期待できるでありますよ!」
 吹雪は先ほどの魔法トラップから中身を大いに期待していた。
「さてさて、何が入っているのかしら♪」
 わくわくとシオンは箱を覗き込んだ。
 中に入っていたのは大量の魔石や素材と思われる紫色の大量の花びらに悪趣味なペンダントだった。

「この魔石、とても上質ね」
「では、自分達はこの魔石を頂戴するでありますよ!」
 『博識』を持つコルセアはすぐに魔石が上質の物であると見抜いた。それにより吹雪は大量の魔石を回収。
「俺達はこの素材を貰うぜ」
「何かすげぇ物が作れそうだな、ヒスミ」
 双子は素材を回収。
「それじゃ、ワタシはこのペンダントを貰うわ」
 シオンは最後に残った悪趣味なペンダントを回収した。
「禍々しいわね」
 コルセアはシオンが回収したペンダントを見て一言感想を口にした。
 ぱっと見は赤い宝石が付いたペンダントだが実は、
「そうね。魔法実験を施した小動物の心臓を宝石化した物だから」
 シオンの言葉通りの代物である。『オカルト』を持つシオンはそれを見抜き、箱を覗いた瞬間から目を付けていたのだ。
「魔法実験って事は何か効果があるんだよな?」
 とキスミがシオンに訊ねた。
「間違い無くあるわ。停止している心臓を動かせば何かが起きるはず」
 試したそうにシオンは宝石部分を丁寧に撫でながら答えた。
「……箱の底に紙切れが入っているけど」
 コルセアが箱の底に小さく折り畳んだ紙切れを発見し、広げて内容を確認し始めた。
「何が書いているでありますか?」
「ペンダントについてね。鼓動音を耳にすると頭が吹っ飛ぶとか書いてあるんだけど」
 訊ねる吹雪にコルセアはとんでもない内容を明らかにした。
「シオンくん、持ち帰りはよした方が」
 コルセアの言葉を聞いた途端、司はすかさず持ち帰りを止めようとする。万が一、実験台にされて頭が吹っ飛ぶような事があってはたまらないので。
「ツカサ、こういう物だからこそいいんじゃない♪」
 シオンはにっこりと司の頼みを拒否した。オカルト関連が好きなシオンにとっては捨てるなどもったいなくて出来ない。
「……」
 司は予想通りでもある結果に言葉を継ぐ事が出来なかった。
「……大変ね」
 コルセアは思わず司に労いの言葉をかけた。箱を開けた時の様子を見ていたので。
「……えぇ」
 司は息を吐きながら諦念の言葉を口にした。
 この後、司達と吹雪達に双子の六人の探検隊は賑やかに様々な物を発見しては自分の物にして行った。時々、凶暴な獣に遭遇するも吹雪が『殺気看破』でいち早く気付き、シオンの『フールパペット』で同士討ちをさせたりと順調に進んでいた。変わらず司は実験台として頑張っていた。

 そんな愉快な宝探しにも終わりが近付いて来た。
「むっ、たくさんの足音が近付いて来るであります! 確認して来るでありますよ」
 吹雪は離れた所から多くの足音が近付いている事に気付き、『千里走りの術』で素早く確認しに行って戻って来た。
「吹雪、誰だったの?」
 コルセアは真っ先に訊ねた。
「それは……」
 吹雪は双子にとって怖い人達が双子を引きずり回すために近付いている事を告げた。
「げっ、あいつらも来てるのかよ」
「ヒスミ、捕まったら絶対にお宝探しができねぇぞ。逃げるしかない」
 一瞬にして顔色を変える双子。あっという間に先ほどの楽しい気分が吹っ飛んでしまっていた。
「自分達もここを離れるでありますよ!」
 物を回収している事を真面目に動いている人達に知られたくない吹雪はここを離れる事を決断し、すでに走り出していた。まるで泥棒のごとく。
「吹雪! 悪いけど、行くわね」
 コルセアはみんなに挨拶をしてから急いで吹雪を追いかけた。
「……面倒な事になりそうな予感ね。ツカサ、ワタシ達も行くよ。楽しかったわ♪」
 状況が変わったと悟ったシオンは双子に挨拶をしてから動き始めた。
「気を付けて下さい」
 司は双子に挨拶をしてから急いで先を行くシオンを追った。

「キスミ、急ぐぞ」
「もちろんだ、ヒスミ」
 双子も急いで逃げ始めた。
 吹雪の偵察によりこの場は何とかやり過ごす事は出来たが、結局は捕まってしまった。
 双子と別れた後、吹雪達と司達はそれぞれお宝探しを楽しんでいた。