百合園女学院へ

薔薇の学舎

校長室

波羅蜜多実業高等学校へ

最強アイドルへの道

リアクション公開中!

最強アイドルへの道
最強アイドルへの道 最強アイドルへの道 最強アイドルへの道 最強アイドルへの道

リアクション

『エントリーナンバー15、月見うどん!!』
 ステージ上にティー・ティー(てぃー・てぃー)イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)が現れた。
 二人の足元には、ミニうさティーとミニいこにゃのちびキャラたちがわらわらとつきまとっている。
「うおおおおおおおおおお」
「ほああああああああああ」
 月見うどんのファンである殺し屋たちは、ティーたちが現れた途端に頬を緩め、でれでれと気の抜けた声援を送る。
 源 鉄心(みなもと・てっしん)は、殺し屋たちのピリピリした雰囲気が掻き消えて行くのを肌で感じながら、ティーたちを見守っていた。
『今日パフォーマンスをしてくれるのは、二人だけじゃないのね』
「そうなのですうさ!」
 理沙にそう応えたティーは、舞台袖に向かって手招きをする。と、ヴァイオリンを持ったスープ・ストーン(すーぷ・すとーん)がしずしずとステージに姿を現した。
「ヴァイオリン……すぷーちゃんうさ!」
 ティーの紹介を受け、スープが黙ってこくりと頷く。
「うさぎ派のたのもしい仲間! すぷーをよろしくお願いしますうさ〜」
「ねこ派! すぷーはねこ派ですにゃ! うさぎのさぎは詐欺師のさぎですにゃ……騙されてはダメですにゃーっ」
 ティーの紹介に、慌てて横から異議を唱えるイコナ。スープは、どうしたものか、というように二人を見比べている。
「すぷー、ねこ派ですわよね……? ちなみに、今日のおやつはぷりんですにゃ」
「ぷりん……」
 好物であるプリン、という単語にスープが静かに反応する。イコナはしてやったり、と言わんばかりの表情でティーを見た。が、
「プリンうさ!」
「プリンですにゃ!!」
「プリン! プリン!」
 プリンという単語に反応したちびキャラたちが騒ぎ始めた。
「後でにゃ! 後にするのですわ!!」
 ちびキャラたちを静めようと慌てるイコナに、今度はティーが勝ち誇ったような笑みを浮かべた。が、
「すぷーちゃーん!!!」
「すぷーちゃん、かわいいーーーっ!!」
「……!?」
 と、スープに向けられる声援が突如巻き起こった。ティーがキッと目を見開いてスープを見る。スープはするすると目立たないように後ずさる。
「すぷーちゃん無口かわいいーっ!!」
 今度は客席をキッと見るティー。スープはまたもや静かに後ずさった。
 そうしている間にも、ちびたちがイコナにまとわりついている。
「……えーい、整列ですの!!」
 痺れを切らして叫ぶイコナの指令に、ちびキャラたちはぴこっと整列する。
「それでは、作詞作曲した歌を聴いて下さいうさ! 『荒野に咲く花』」
「シャン……ハイっ!」
 イコナが声とともに手で合図すると、ちびキャラたちが演奏を始めた。

   少しさめたその瞳は
   荒れ果てた大地を映す
   まだ幼い君はずっとそこにいて
   涙も枯れ果ててしまったから

   どんなに渇いても
   君はもう欲しがったりしないんだね
   ただ全てが壊れればいいと
   そう望んだ

   おせっかいだって
   君は言うだろうけど
   バカだなって笑われてもいいよ

   独りになんてさせないよ
   名前を呼んで触れたいよ
   強がりも隠した傷も
   貴方が生きてきた証
   その全てが愛しく思えるから

   途方もなく重い荷物を
   平気な顔で抱えていたね
   半分だって背負えないだろうけど
   少しでも手伝えたらいいな

   過去は還らないから
   世界は優しくなんてないね
   でも手をつないでくれたこと
   ずっと忘れない

   おせっかいだって
   君は言うだろうけど
   バカだなって笑われてもいいよ

   独りになんてならないで
   名前を呼んで触れたいよ
   強がりも隠した傷も
   貴方が生きてきた証
   その全てが愛しく思えるから

   とどけたいとどけたい
   草原をなでる風の音
   陽だまりに咲く花
   かすかに甘い匂い
   そしてただこの歌をそばに……

 ティーとイコナの歌に、観客は皆聞き入った。観客席の鉄心も、三人のパフォーマンスに見入る。
 スープはしっとりと叙情的な歌を引き立てるようにヴァイオリンを弾いていた。
 コーラスを歌いつつそれぞれの楽器を弾くちびキャラたちの一生懸命な様子を眺めながら、スープはホクホクとした表情だ。
 そんなちびキャラたちのうさみみやねこしっぽは、リズムに合わせてゆらゆら〜と動く。

「「「ありがとうございました」」」
 演奏を終えた三人のお礼の言葉に、惜しみない拍手が送られた。
 歌い終わったティーは、少しだけ恥ずかしそうに頬を染めながらも、柔らかくへら〜っとした笑顔を見せていた。