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第2章 大型爆弾は闇の奧に

「犯人も爆弾の中……」
 ゆかりははっとなり、足を止める。
「周囲を粉々にするぐらいの威力って、どのくらいなの」
「周囲1〜2キロだと予想されます」
 助手の言葉にゆかりは、目の前に取り付けられたマップを指でなぞる。
 そして、一点を指さした。”戦況把握”と”防衛計画”に基づいて出された
爆発しても、最上階まで崩れるのに時間がかかると予測される設置場所。

   §

 そこは暗い地下倉庫だった。
「……DDMシリーズ、36体を確認……停止命令無効、通信遮断済み……ですか」
 助手は聖確認自分と同じアンドロイド達の数を把握する。
 奧には四角い大きな段ボールがおいてあった
「あれのようね」
「あの中に爆弾が……」
 ゆかり達はそれぞれ確信と緊張感に包まれていた。
 そのなかで待ちきれず、先に走り出したのはマリエッタだった。

「あたしの至福のスイーツタイムを邪魔する奴は死刑!!」
 マリエッタが先陣を切り、は目の前のアンドロイド達に電撃、”サンダークラップ”を発する。
 一部のアンドロイド達は電撃に体が動かなくなる。
 それでも残ったアンドロイド達は容赦無く背後の助手達へ襲いかかった。
「ここはあたしが食い止める、カーリーは今のうちに爆弾を!」
「わかったわ」

 助手とゆかりは、爆弾らしきものへと駆け寄る。
 だが、数十といるアンドロイドにマリエッタ1人では対応できない。
「にしても……多すぎる」
 助手がマリエッタの補佐に入ろうとした時だった、氷が線となりアンドロイド達を襲う。
 そちらを見ると、少女が手を振りながら、助手の方へと向かってくる。
 ”氷術”を放ったのは御神楽 陽太(みかぐら・ようた)のパートナーであるノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)だった。
「警部さんから聞いたよ! 助けてくれたんだね、ありがとー!」
「いえ、あれは自衛機能が――」
「はいっ、これ」
「……これは?」

 ノーンは助手に1枚のプラカードを渡す。
 そこには『水色の電源コード』と書かれていた。
「予言ペンギンの予言だよ!」
「電源コード……?」

「ターゲット、補足――」
 アンドロイドの1人が猛スピードで助手へと向かってくる。
 しかし、向かってきていたはずのその体は、何か大きな影によって吹き飛ばされた。
 人の顔を持ったライオン、ノーンの”聖獣:スフィンクス”がうなり声を上げながら、アンドロイド達めがけ縦横無尽に暴れ回る。
「大人しくしてっ!」
 体制の崩れたアンドロイドたちにノーンは”神威の矢”で追撃していく。
 アンドロイドはあっという間に消沈していく。

 その間に、ゆかりが”機晶技術”で爆弾の解体を進める。
 その表情は落ち着いており、冷静さが現れていた。
 助手はそれを横から手伝う形で静かに見守る。
「ノーンさんの予言……水色のコードらしいものはないわね」
「仕方ありません、そこにある時間制限装置と衝撃感知センサーを止めるしかありません」
「そうね……」
 数分かかり、ようやくに爆弾のディスプレイに表示されるカウントダウンはぴたりと止まった。
 途端、まるで糸が切れたかのようにアンドロイドたちは沈黙した。

「終わった……?」
「……DDMシリーズ、遠隔強制停止を確認」
「爆弾装置が止まると、アンドロイドたちも停止する仕組みだったの?」
 あまりの出来事に、ノームたちはもちろん助手まで驚きを隠せずにいた。

「そこまでデス。爆弾装置から手を離してください」
「カーリー!」
 いつの間にか1体のアンドロイドがゆかりの横に立ち、銃のようなものを構える。
 マリエッタはゆかりを助け出そうとするも、アンドロイドの警戒は強く、近寄る隙がない。
 ノーンはただ1人茫然と口をあけたまま目を丸くした。
「銃を降ろして!!」
 ノーンは命令するように言った。
 だが、アンドロイドはその言葉に耳を貸すわけが無い。
 それでもノーンは再び、同じように命令する。
 ゆかりやマリエッタにはそんなノーンの行動が不可解に見るた。

 しかし、助手はその発せられた言葉の意味をすぐに理解した。
(DDM−23号……ですか)
 記憶デバイスに問題がなければ、ノーンが忠実光線銃を使い、操ったことのあるアンドロイドだった。
 しかし、その効果は今はもうない。
「忠実光線も効果時間は約5時間。すでにあれから18時間も経過してます、もうその効果は――」
「…………なら、力づくでも止めるしかないの?」

 その時だった、アンドロイドの前方に四角いホログラムのようなもの浮かび上がる。
「ザザーッ……ふっ、おめでとう。爆弾の危機は去ったわけだ」
「……あなたの目的は何ですか?」
「………………1つ、面白いことを教えよう。君たちの前にいるDDM−23だが」
 男は長い沈黙の後に、静かに言った。
「爆弾が仕掛けられている」