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エピローグ 正体

「悪いが、まもる君2号の攻撃的機能は止めさせて貰った」
「ちっ、ジャマーか」
 ペーパの後ろからは助手を始め、続々と倒れたはずのアンドロイド達や契約者達が入ってくる。
「良い正体を明かしたらどうなのだ、佐々木 夕(ささき ゆう)!!」
「佐々木 夕?」
 平助はその名前に聞き覚えがあった。
 佐々木といえば、自分の部下だった。
 だが、夕とはどういうことだ、部下の名前は佐々木 孝明だったはずだ。
 平助の頭には一抹の不安が表れてきていた。
 
 爆弾魔は勢いよく覆面を投げ捨てる。そこに居たのは平助の知っている佐々木では無かった。
 男ではなく女だった。
「ふんっ、やるじゃねぇか。いつから俺の正体を知っていた」
「ふっ、私のIQ5、500、いや、5万の頭脳を持ってすれば余裕だ!」
「5程度しかない博士の知能指数は関係ありません、あなたのことは前から知っていたのです」
 助手は淡々と答える。
 だが、夕は唾を地面へと吐き捨てた。
「戯れ言も良いところだね、俺の事なんて忘れていただろ!」
「……」
 急にペーパは黙り込む。
 そんなペーパに夕はさらに苛立っているようだった。

「ああ、そうだ警部さん、あんたにはお世話になったな」
「どういう……ことだ?」
 口をぽかんと開ける平助に、夕は「ああ、そうか」とつぶやいた。
「ならこれでどうかな『警部! 俺をペーパに合わせてくれてありがとうございました』」
「!!」
 そこに居たのは紛れもなく、長年行動を共にした佐々木 孝明という名の部下だった。
 平助は混乱した。それ以上何も聞くことができなくなるくらいには。

「さて、それでは俺はいったん幕を引くとしよう」
「逃げられるとおもってるのか?」
 ペーパの問いかけに夕は冷酷な笑みを浮かべた。
「余裕だね、あんたのこの”まもる君2号”のおかげでね。いやー、持ち出しておいてよかったよコンナモノでもね」
「こんなもの呼ばわりとはな。だが、これだけは覚えておけ、この世界を手に入れるのは私だ」
「ふーん、じゃあ覚えておきなよ。その世界をぶち壊すのは俺の仕事だって。それももうすぐだってね。じゃあね」
 夕はまもる君2号を発動させると姿を消してしまった。

「まもる君2号、”ステイルス機能、いかなる攻撃も通さないシールド、そして平和的解決をするための感覚器官破壊電磁波”……皮肉ですね」
 助手はまもる君2号の機能をストレージから呼び起こす。
「だが未完成だったはずだ。まもる君1号もだが、完成させるとはな」
「……で、どうしますか。みなさん慌てて探してるみたいですが」
「見つけるのは無理だろう、それどころかすでに脱出してるだろう。となれば私達も今のうちに逃げるに尽きるのだ。デカ助に見つかっては面倒だしな」
 助手と平助はちらりと平助を見る。
 平助は相変わらず呆けていた。

「良いのですかあれ」
「ああいう心的なものは、私の専門外だ放っておけ。むしろこれで動きやすくなった」
「…………わかりました」
 ペーパと助手は静かにその場を後にするのだった。



担当マスターより

▼担当マスター

朱坂理樹

▼マスターコメント

 お疲れ様でした!! ご参加ありがとうございます!
 怪我人は多く出ましたが、最悪のシナリオは免れました。
 そことなく、うまくアクションがそろっていたんじゃないかなあと思います。

 いよいよ、この話も次で最後となります。
 変な展開になっていますが、どうなってしまうのか……。
 また次回、皆様とお会いできればなあと思います。