校長室
寝苦しい夏の快眠法
リアクション公開中!
深い森の中。 「ここが俺の夢か」 陽一は一通り見回してから 「作業を始めるか。悪戯をしてくるのは間違いないからな」 陽一は双子用のトラップを仕掛け始めた。 「まずは……」 陽一は現実よりも軽々と5m程の深さの穴を掘り、底にクッションを敷いてから再び見えないようにした。ここは夢なので現実とは違い全く分からなくなった。 トラップはこれだけではなく 「仕上げに引っ掛かるようにもうひと小細工を」 陽一は穴から数cm先で匂いで引き寄せようと考えてカレーを拵え始めた。 「ペンタ達は遊んで来ていいよ。二人を見付けたらこっちに連れて来てくれ」 自分の周りにいるペンタ達ペットに声をかけた。ペット達は一声鳴いてから遊びに行った。 少しして 「……カレーの匂い……ここはオレの夢じゃないような……」 シリウスが現れた。自分の夢で双子を待ち伏せしていたはずが時間潰しに歩き回っている内にここに辿り着いた。 「あぁ、俺の夢だ。双子をそこに設置した罠で確保してロズの夢に連れて行こうと考えている」 陽一がカレーを拵えながら来訪者に知らせた。 「それならオレも参加するぜ」 聞くやいなやシリウスは同じ目的のため加わる事に。 ここで 「それなら俺達もいいかな」 「僕達も同じ目的なので」 エースとエオリアが登場。これまた成り行きはシリウスと同じだったり。 「あぁ、構わないよ」 陽一はあっさりと三人の参加を認めた。 そして、カレーが完成すると陽一は後から来た三人と共に近くに潜んだ。何せ皆双子に顔を知られているので。 追加参加者が来てから少しして 「ふぅ、とんでもない目に遭ったぜ。おい、ペンギンとか動物がいるぞ」 「というか、ヒスミ、ここ誰の夢だろうな。何かカレーの匂いがするぞ」 自分達の夢にて悪戯やらお仕置きを食らった双子が陽一の夢に現れた。 漂うカレーの美味しそうな匂いに鼻を刺激されたり陽一が連れて来たペットに和みながら森の中を進む。 ようやく 「匂いはここからするぞ」 「カレーを作ってるのは誰だ?」 何も知らぬ双子は匂いの中心地に辿り着き、カレーが置かれている所に向かって歩き出した。 数歩足を踏み出した所で 「!!」 突然地面が沈下し双子は物凄い音を立てて穴へ。 落とし穴に落下後。 「な、何だよ、この穴!!」 「誰だよ、落とし穴を作った奴は」 クッションの上に座り込む双子は穴を見上げて自分達をこんな目に遭わせた誰かに文句を垂れた。 その瞬間、ビキニパンツ一丁の特戦隊15人が双子の頭上に降って来て 「ちょ、待て、これ」 「おい、ま、まさか」 穴底に着地するなり嫌な予感に青い顔になる双子を巻き込んだおしくらまんじゅうが開催された。 穴底からは 「ぎゃぁぁぁぁ」 双子の虚しい叫び声が盛大に響いていた。 しばらくして特戦隊達は速やかに退散し残るは 「なぁ、キスミ、この展開……」 「あぁ、ヒスミ、覚えがあるな」 むさ苦しい押しくらまんじゅうで魂を抜かれぐったりとする双子だけとなった。しかも展開に覚えがあるというおまけ付き。 「大丈夫か?」 頭上から聞き知った声と共にロープが降って来た。 「……や、やっぱり」 「ここ、お前の夢だったのか」 予感的中に双子は硬直し、降ろして貰ったロープに疑念を抱く。何かやられるのではないかと。 「あぁ、たまにはこっちから悪戯するのもいいかと思って先手を打たせて貰った。登って来たらカレーでもどうだ?」 陽一はにこやかに悪意の無い笑みを口元に浮かべた。 しかし、 「……」 なおも双子は警戒を解かない。 そこで 「そう警戒するな。もう何もねぇぜ。オレ達はお前達をとやかく説教するつもりはねぇよ。ただ……」 シリウスが登場。 「ただ?」 双子が言葉の続きを促すと 「オレも混ぜろ」 シリウスはニヤリと口元を歪めて悪ガキの顔に。 「というか、隣の夢に突撃もいいけど気になることがあるんじゃないか? 特にヒスミ」 シリウスは意味深な口調で言った。 「気になる事というと、もしかして……」 ヒスミは少し考える素振りをしていたがすぐに見当が付きはっとした。 ヒスミが答えを口にするよりも先に 「ロズの夢の内容さ。ロズにも夢札を配ったんだろう?」 「実は僕達はそれが気になり二人と一緒に会いに行こうと思っているんですよ」 現れたエースとエオリアが代わりに答えた。 「まぁ、確かに興味はあるな」 「だよな。行こうとは思ってたし」 双子は新たな興味対象に元気になった。 そして、穴から生還しカレーを食べてから皆とロズの夢へ向かった。