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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

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 同時刻 ジャタの森 某所
 
 濃緑色をした六機の機体。
 来里人と深行を守るように降り立ったその機体群。
 “フリューゲル”、“ドンナー”、“ヴルカーン”、“フェルゼン”、“ヴェレ”、そして“シュピンネ”。
 六機は一斉に各々の武器をシリウス達へと向ける。
 そして、シリウス達への攻撃が開始されようとした瞬間――。
 
「待て。攻撃の必要はない」
 六機を静止したのは、他ならぬ来里人だった。
 そのまま彼は深行の身体を抱き上げると、応急修理の完了した漆黒の愛機へと乗り込もうとする。
 
「待って、ください!」
 それを引き止めたのは結和だ。
「せめて……お名前を聞かせて、ください。“蛍”さんじゃない、あなた達の名前を」
 来里人は黙したまま語らない。
「だめ……でしょうか……?」
 結和が引き下がろうとした時だ。
 
「来里人。結城来里人だ」
 それに続いて深行も抱き上げられた態勢から首を巡らせ、結和の方を向く。
「輪堂深行です。さっきは、治してくれて……ありがとう、ございました」
 
 濃緑色の機体達に守られながら、来里人は深行と手を繋ぐ。
 次の瞬間、既に来里人は漆黒のパイロットスーツ姿だ。
 そのまま来里人は漆黒の愛機のコクピットへと滑り込む。
 閉まっていくハッチに向け、結和は叫んだ。
 
「どうか、おだいじに……!」
 
 彩羽も来里人に続いて愛機へと乗り込み、 漆黒の二機はすぐに上空へと舞い上がる。
 そして、濃緑色の六機を伴う漆黒の二機はどこかへと去っていった。