リアクション
同時刻 ジャタの森 某所
降り立った濃緑色の六機が見守る中、真一郎と“犀”は真正面から相対する。
「……」
「……」
互いに無言のまま、二人は同時に拳をそっと突き出す。
拳と拳をそっと合わせると、二人はやはり同時に踵を返してそれぞれの道を歩き出す。
一方その頃、“犀”の相棒の少女は可奈と言葉を交わしていた。
「……もう一枚」
「え……?」
「さっきのクッキー、まだあるんでしょ? もう一枚ちょうだい」
「ふふ……。はい、どうぞ」
クスリと笑い、チョコチップクッキーを手渡す可奈。
それを受け取り、少女もまた漆黒の“フェルゼン”へと歩き出す。
「鷹村真一郎だ」
去り際の背中に向けて、真一郎はそれだけ言う。
「……岩崎享」
対する“犀”……もとい享も同じく言葉少なに言う。
可奈は少女に向けて手を振っている。
「ばいばい。えっと……」
「……舞衣よ。四ツ谷舞衣」
「うん。ばいばい、舞衣ちゃん」
微笑みながら再び手を振る可奈。
対する舞衣はぶっきらぼうながらも小さく手を振る。
そして二人は漆黒の機体へと乗り込んだ。
やがてハッチもしまり、漆黒の機体は濃緑色の六機とともに撤退していった。