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パラミタ・イヤー・ゼロ ~ALIVE編~(最終回)

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パラミタ・イヤー・ゼロ ~ALIVE編~(最終回)
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    空京


 オーロラから発せられた磁気嵐は空京一帯に集中しており、停電が発生している地域もあった。以前ハイナが集めた電気によって何とか賄っているものの、それもいつかは尽きてしまうだろう。
 停電におびえた空京の人々は、いささか混乱していた。
 いや。混乱という表現では生易しい。空京の人々は、狂乱していたのである。
「えっ、空京の街中で、なんでみんな裸なの……?」
 川村 詩亜(かわむら・しあ)が、裸で踊り狂う人々を見て驚いた。
「ふぅん、これが本当の裸踊りなんだ〜……。って本当に裸だよっ!?」
 アリスの方の川村 玲亜(かわむら・れあ)が、真っ赤になりつつも思わず見入っていた。姉に手を引かれつつ、裸踊りを見学してまわる。
 しかし、初心な彼女に裸踊りは刺激が強かったのか。いつの間にか奈落人の川村 玲亜(かわむら・れあ)と交代していた。
「裸踊り……。とにかく凄いね〜」
 くりっとした茶色の瞳で、不思議そうに裸踊りを観察する奈落人・玲亜。裏の人格に引っ込んだアリス・玲亜も、やっぱり興味津々ではあるようで、意識の底からこっそりと覗きこんでいた。
 うわぁ……とか、はわわぁ〜……とか、感嘆とも呆然ともつかないため息を彼女たちは吐きつづけた。
 と、そんな川村姉妹のもとへ。
「眼福。眼福じゃ!」
 世界コイルに閉じ込められていた亞麻 天羅子(アマテラス)が、額の円い髪飾りをピカピカと光らせていた。
 彼女の髪飾りが光るたびに太陽光と同じエネルギーが発せられるので、それをソーラーパネルに当てて、電力に変換する。これこそが、ハイナが開発した太陽がおっぱい作戦【オペレーション・アマテラス】であった。
『電力を供給するため』という大義名分があるからこそ、空京の街中で裸踊りなどというイリーガルなことも許されているのである。
「そういえば、前に原発さんの地下で、吹雪さんが言っていたわね。変な神様さんがでてくるって」
「あれが世界コイルさんから出てきた神様さんなんだね……?」
「そのようね。……ほんとうに変な神様さんだわ」
 あっけにとられる川村姉妹に目をつけたアマテラスは、意気揚々と近づいてきた。
「お主たちも裸踊りをしたらどうじゃ?」
「え〜……。裸になるのは、ちょっと……」
 見るだけならいいけど、自分が裸になるのは抵抗がある詩亜であった。しかし、せっかくだからということで、脱ぎはしないものの踊りにだけは一緒に参加することにする。
 お姉ちゃんが踊るならと、奈落人の玲亜もいっしょになって踊った。

 パラミタの文明で築きあげられた、大都市・空京。まるで原始時代に戻ったかのように、人々は服を捨て、ひたすら踊りに興じていた。
 上空では極彩色のオーロラも踊り狂っている。
(うわ、うわぁ……)
 光と裸の人々のセッションを、アリスの玲亜はなかば陶然としながら見つめつづけていた。