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【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

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【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

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 同時刻 迅竜 ブリッジ
 
 改修された『竜』、そしてシュバルツタイプを加えたことで手に入れた圧倒的な戦闘力。
 それを見せつけた新生迅竜機甲師団は、今回の迎撃戦において、驚く程の短時間で勝利を手にした。
 
 ほどなくして無事、迅竜の改修も完了。
 必要な装備の搬入もすべて終えた時のことだった。
 
 突如として通信が入る。
 種別は共通帯域すべてへの無差別発信。
 
 すべてのモニターにウィンドウが自動的にポップアップし、そこに映像が映し出される。
 
 画面の中では超弩級の巨大イコンが圧倒的な戦闘力を発揮していた。
 白銀色に輝くそのイコンは大きさこそ違えど、紛れもなく――。
 
「“グリューヴルムヒェン”……」
 呟くルカルカの前で画面が切り替わり、次いで映し出されたのは一人の男――スミスだ。
 
『パラミタの皆様、こんにちは。映像はご覧頂けましたか? さて、本題です』
 スミスはゆっくりと語り出す。
『既におわかりの通り、私達はパラミタ全域を破壊して周れるだけの力を有しています。もちろん、それは行います。けれど、それで終わりではありません。察しの良い皆様なら気付いておいででしょう? パラミタ全土の破壊が完了次第、私達は地球へと降下します』
 絶句するルカルカの前で、スミスの演説は続く。
『ご心配なく。既にこの件は地球の諸国家の元首の方にも、先程の映像を添えてお伝えしてあります。なので、地球のことは御気になさらず。では――』
 
 放送が終わり、ウィンドウが閉じてから僅かな間を置いて。
 ルカルカに通信が入る。
 ややあってウィンドウに映し出されたのは金 鋭峰(じん・るいふぉん)だった。
『先程の放送は見たな? 艦長、事態は一刻を争う』
 モニター越しに敬礼するルカルカに対し、鋭峰らしく前置きを一切挟まぬ簡潔さで彼は言う。
『奴が既にパラミタ中を破壊できる戦力を有しているのは事実だ。そして、たった今、国連から連絡が入った』
 息を呑むルカルカに向けて、鋭峰は告げる。
『スミスが地球降下を行う前にそれを阻止すべく、奴への核攻撃を行う――国連はそう決定した』
「そ、そんなっ! 核攻撃なんてしたら……西シャンバラは……!」
『無論、国連もそれを承知の上だ。承知の上でスミスを倒すべく、国連は西シャンバラごと奴を消滅させるつもりだ』
「手は! 手はないんですかっ! そんなこと、止めさせないと……!」
『当然、私の方でも交渉は進めている。だが、核攻撃の中止は難しいだろう』
「そんな……」
『だが、手はないわけではない』
「……!」
『スミスを地球降下阻止限界点――太平洋上空のパラミタ外縁を越えるまでに無力化できれば、核攻撃は中止される』
「……了解しました。これより迅竜機甲師団は、スミス阻止に向かいます」
 立ち上がり、モニター越しに敬礼するルカルカ。
 そして彼女は通信を終え、艦内全域への通信回線を開いた――。