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終りゆく世界を、あなたと共に

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終りゆく世界を、あなたと共に
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「……ありがとよ」
 世界が終わる最後の最後にそう呟き、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は目を覚ました。
 虚ろな目で頭を振り、そしてつい今しがたの出来事が夢だったことに気付く。
「あー、やっぱ夢か…… 夢だよなー、夢で良かったー」
 何度も良かったと繰り返す。
 死ぬ気で守った世界が終わる。
 そんな悪夢は洒落にならない。
(……っかし、「ありがとよ」か……)
 世界の終りに抗って抗って抗いぬいて。
 最後の呟いた一言がそれとか。
「我ながらよく言ったわ」
 家族に、仲間に、世界に……
(実際に死ぬ時が来ても、そう言える俺でありたいもんだ)
 万感の思いと共に唯斗はベッドから立ち上がると、周囲を見渡して……
「うおっ!?」
 絶句する。
 壁は吹き飛び、あちこちにクレーターのような穴が出来ている。
「これは……っ」
 しかし唯斗には心当たりがあった。
 夢の中、最後の最後に全力攻撃をしたその時の感覚が。
「……あのせいか?」
 怒られる。
 超怒られる。
 焦りと共に、足音が聞こえてきた。
 自分の部屋の前に、ぞろぞろと人々が集まる気配。
(何て言い訳すっかなー……)
 頭を掻き掻き、唯人はドアノブに手を伸ばす。
 とりあえず、一言目は決まっている。
 扉を開けて、第一声。
「よう、おはよう」
 そんな今日が始まる。