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終りゆく世界を、あなたと共に

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終りゆく世界を、あなたと共に
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 ――その日、世界は黒き異形に覆われた。

「くそっ、化け物どもめ! どれだけ斬っても後から後から湧いてきやがる」
「うぉおおお、死の物狂いでやってやるわ!」
 酒杜 陽一(さかもり・よういち)酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)は必死でそれに抵抗する。

 黒く、一見とらえどころのないソレは瞬く間に世界に広がり全てを浸食した
 辛うじて浸食を免れた僅かな土地に逃れた人々の抵抗も、蜘蛛の巣に絡め取られた羽虫の様に虚しく悲しい足掻きだった……
 そんな中、陽一と美由子は戦いを続けてきた。
 世界のため――愛する人のために。
 しかし、それももう終わりが近づいてきた。
「……はいもうダメ! 負けましたー!!」
 精一杯の抵抗を見せていた美由子が折れた。
「美由子!」
 陽一が振り向いて見ると、美由子の半身は黒い異形に浸かっていた。
「あ〜、溶ける〜」
 ずぶ……ずぶ、と、美由子の体が異形に埋没していく。
「ち、畜生っ!」
 助けようと走り出そうとするが、足が動かない。
 恐怖?
 いや、陽一の足もまた、黒き異形に絡め取られていた。
「せめて、美由子を……ここにいる人たちだけでも、護りたかった……」
 陽一の心が、折れる。
 ……僕は理子さんを助けることができなかった……
 いや、彼の心はとうの昔に折れていた。
「……もう、限界だ」
 ……ごめんよ理子さん……
 陽一の目の前には、山のように盛り上がった巨大な闇の塊。
 どぷん。
 それは、まるで波のようにあっさりと陽一を飲み込んだ。

「……ほっ、げほっ」
「げほげほっ……はっ!?」
 そして2人は意識を取り戻す。
 目覚めた二人が真っ先にやったのは、美由子が無理矢理食べさせ喉に詰まったブラックアリスのアーガマーハを吐き出すことだった。
「最終回までソレなわけ!?」
「最終回だからこそ、コレでしょ!」