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東西統一記念ロイヤルガード合コン

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東西統一記念ロイヤルガード合コン
東西統一記念ロイヤルガード合コン 東西統一記念ロイヤルガード合コン

リアクション

■□■6■□■ セイニィ

一方そのころ、セイニィは。
「ティセラもパッフェルもどっかいっちゃったじゃない……」
会場を手持無沙汰に見回していたが。
秋葉 つかさ(あきば・つかさ)が、背中を指でなぞってきた。
「ひゃう!? 何すんのよ!?」
「セイニィ様、楽しんでらっしゃいますか?」
つかさは、自分がいたずらしたことなどなかったかのように振る舞い、笑顔を浮かべた。
「たくさんの方からお誘いを受けていて羨ましいですね、
ですがどなたの誘いにも本気で乗ってはいませんね?
……想い人がいるのですか?」
「別にそんなんじゃないわ。
ただ、あたしは、ティセラやパッフェルに変な虫がつかないように……」
「想い想われる事はとても幸せな事ですよ。
私はそういうこと自体許されないような下賎なものですからね、
だから一夜に限っては楽しめるだけ楽しむのですけどね」
「ちょっと、人の話聞いてるの!?」
「幸せを求めるのなら差し出されたその手、繋いでみてはいかがですか?
そういう方がいらっしゃるのでしたらね。
望んでも手に入れられないものも居るのですから」
「……」
つかさの話に、セイニィは途中から黙ってしまった。
本当はただの遊び人ではない、つかさに気圧されたのかもしれない。
「さて、長話となってしまいました。
私はもう行きますね。
せっかく1日とはいえロイガになれたのですから、有効に使わせていただきませんと」
つかさは、セイニィの前から去って行った。

★☆★

「『東西シャンバラ友好のため、学生ににあるまじき行為を行ってもOK☆』ですか……。
いったいどんな行為なんでしょうね。ふふふ……」
佐倉 留美(さくら・るみ)は、百合百合な妄想に期待を膨らませて、
合コンに参加していた。
何人かの女の子とダンスを楽しんだ後、つかさを見つけ、手を差し伸べる。
「よろしければ、ダンスのお相手を」
「喜んで」
留美のセンサーに、つかさは相手としてバッチリであった。
(つかささん……相手として不足はありませんわ!)
ダンスの最中も身体を密着させて踊っていた2人だが、
留美は、
(チャンスですわっ!)
足をくじいたフリをして、いきなりつかさを押し倒した。
「きゃあっ」
「ああんっ」
しかし、留美の超ミニスカから中が見えることはない。
「ごめんなさいね……肩を貸していただけないでしょうか」
「はい、もちろんです」
つかさも、留美の思惑には気づいており、進んで乗っているのだった。
(ラズィーヤ様がこの合コンを企画したのは戦争で疲弊した国力を戻す為、
人口を増やそうとお考えになり、
ロイガにくっついてもらって
子どもをいっぱい産んでもらおうというベビーブームを起こそうと思っているのに違いないです。
1日とはいえロイヤルガードを拝命した身、
率先して『学生にあるまじき行為』を見せつけなくては!)
とんでもない勘違いの元、つかさは使命感に燃えていた。
「わたくしの部屋に、応急処置の道具がありますの」
留美の妖しげな笑みに、つかさも同じような艶やかさで返す。
「ええ、ご一緒いたします」
かくして、2人きりになった留美とつかさは、
密室で「学生にあるまじき行為」を始めるのだった。

★☆★

「さっきのアレはなんだったのかしら……」
ちょっと引き気味のセイニィの元に、
シャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)が現れる。
「シャーロット、その恰好……それに、もしかして、今日は東ロイヤルガード?」
「ええと、似合いますでしょうか?」
リーブラ・ヘッドドレス、リーブラ・クロースを着用したシャーロットは、
長い銀髪のため、ティセラによく似ていた。

★☆★

(よし、ライバルに先手を打つことができたわね)
(これで、セイニィにも気に入ってもらえるといいんだがな)
霧雪 六花(きりゆき・りっか)
呂布 奉先(りょふ・ほうせん)は、
今回の合コンのため、ライバルの動向調査や、
衣装の用意など、シャーロットのためのセッティングを行っていた。
そして、物陰で、2人の様子を見守っているのであった。

一方、シェリル・マジェスティック(しぇりる・まじぇすてぃっく)は、
会場の片隅で、カップルの相性占いを行っていた。
空京のテーマパーク、マジェスティックの精であるシェリルは、
パッフェルをリスペクトしているので、
色違いのシャウラロリィタ、シャウラヘッドドレスを着用している。

★☆★

「そういえば、あんた、ティセラに声も似てるような……」
「そうですか?」
セイニィはシャーロットをまじまじと見て、そう感想を言う。
恥らうシャーロットに、
セイニィはお姉さん的態度で接する。
「せっかくだし、一緒に踊らない?」
「……はいっ」
シャーロットにとって、夢のような時間が流れていく。
その後、2人が、飲み物を飲みながら談笑していると。

★☆★

「セイニィ、やっと見つけた」
紫月 唯斗(しづき・ゆいと)が、東ロイヤルガードのマントを羽織って現れた。
「って、あんたも東ロイヤルガードなの?」
「俺はセイニィが好きだからな。だから今回は東ロイガ側にいるんだ」
「はあ!? ば、馬鹿じゃないの!?」
「おう、馬鹿だからな。ストレートに言うしか思いつかなかったんだ」
すぐ傍にシャーロットがいるのもお構いなしに、唯斗は告白する。

★☆★

時間は少しさかのぼる。
ヴァイシャリーの宿にて。
エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)は。
「ぬ? 唯斗の奴どこへ行ったのだ?
睡蓮、プラチナ、何か知らぬか?」
「マスターですか?
合コンに行ってるみたいですよ」
プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)の答えに、エクスはブチ切れる。
「何だと? 合コン!?
くくく、あの馬鹿……そういう事は予め言っておけば良いモノを……
行くのは良いが隠していたというのが気に食わん!
さて、どうしてくれようか?」
「なんでも、つぁんだから1日ロイヤルガード権を購入したとか」
「なんじゃと!?
また、あの地祇が絡んでおるのか!
きっとろくなことをしておらぬに違いない!」
「アーデルハイトさんも、
『リア充爆発しろ!』の呪いをかけたらしいですよ」
「そうか、あのアーデルハイトが……面白い!」
エクスは、そのまま、つぁんだとアーデルハイトのところへ向かって行った。
「ああ! エクス姉さんが凄い怖いです!?
プラチナさん! 止めるのを手伝って下さいー!?」
紫月 睡蓮(しづき・すいれん)に、プラチナムは静かに首を振る。
「な、なんでそんなに悟った顔してるんですか!?
ええー……? 止めなくて良いんですか?
って、エクス姉さん待って下さいー!」

★☆★

そして、パーティー会場にて。
「つぁんだ、アーデルハイト!
まとめて天誅食らわしてくれる!」
「なにするんだ、ぎゃああああああああああああああ!?」
「やめんかばかもんうわああああああああああああ」
「エクス姉さん、待ってください!」
エクスがつぁんだやアーデルハイトに殴りかかるのを、
睡蓮が必死に止める。
その様子を、プラチナムは見守っている。

★☆★

パートナー達が大騒ぎしてるうちに、
唯斗はセイニィになおも迫る。
「いきなりなんでそういう話になるのよ!?」
「理由なんかいらないだろ。
好きになるってのはそーいうもんだ。
ま、あえて言うなら……ハートだな。
誰かの為に誰にも言わずに自分で何とかしようとする、
そんな健気な女の子に惚れちまうのは仕方ないだろ?
そうだな、これでも足りないならもっと言うが
そのスレンダーなスタイルも良い。
声も気に入ってるし
強気な顔も愛らしい
そして何より格好良い」
「そんないきなり褒め殺したって……!」

★☆★

「なっ、予想外の伏兵だわ!」
「がんばれ、シャーロット!」
六花と呂布が、物陰から拳を握りしめる。

★☆★

そこに、武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)が、
セイニィの前に現れる。
「セイニィ、俺と踊ってくれないか?」
セイニィは、その場の雰囲気から逃げるように、
牙竜に言う。
「べ、別に、あたしは好きでこの場にいるんじゃないのよ、
あんたとダンスなんて……!」
駆け去ろうとするセイニィだが。
「見せたいものがあるんだ」
牙竜の声に一瞬立ち止まり、
空飛ぶ魔法↑↑で、2人は空に舞い上がる。

★☆★

「見てくれ、
この高さなら空気が澄んでる……空がよく見える」
星空を指し示して、牙竜は言う。
「別に、船の上からでも見えたじゃないの」
「本当に見せたかったのはこっちだ」
「きゃっ!?」
牙竜はセイニィをいきなりお姫様抱っこすると、船上の様子を示す。
「みんな、パーティーを楽しんでるな。
見ろよ……船上の灯りの一つ一つが、それぞれの想いだと思う。
星座の輝きに負けないくらい強く優しい未来への希望の輝き……
ティセラやパッフェル、それにセイニィをはじめとしたみんなが、
がんばったから……あの輝きがある」
「……」
セイニィは、黙って聞いている。
「俺が惚れた女は大した人だよ。
洗脳されてた親友のために嫌われるかもしれない覚悟で平手打ちして、
洗脳解除の切っ掛けを作ったと思ったら、ロイヤルガードで活躍し東西統一を担った」
「別にそんなの、ティセラのためなんだから当然でしょ」
「君の意志の強さ、行動力はホントに魅力的だよ」
セイニィの青い瞳を、牙竜は見つめる。
「セイニィ……俺は君と共に未来を作りたい」
「……」
牙竜にいざなわれて、待機させているワイルドペガサスに乗り、
2人は夜のヴァイシャリーに向かうことにする。
「別に、パーティー会場にいるとひっきりなしに騒ぎに巻き込まれるからっていうだけよ!
あと、ティセラ達のことも心配だから、早く帰るわよ!」
セイニィに釘を刺されて、苦笑する牙竜だったが、
しばし、穏やかな時間を過ごしたのだった。