First Previous |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
Next Last
リアクション
17.何はともあれ、飲み会!
夜露死苦そうでは、一日が終わった後の飲み会が定番なようだ。
勉強の後の一杯は、どのようなものなのであろう?
■
その発起人・ナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)とクラウン ファストナハト(くらうん・ふぁすとなはと)は、下宿生達を招いて真面目に勉強会を開いていたが、夜と共に飲み会へ移行した。
もちろんオーナーの許可済みである。
「節度ある酒であれば、いいってよ!」
「でも、未成年は飲酒禁止じゃん?」
それとなく注意事項を告げられて、飲み会は始まった。
キヨシ、九十九、氷雨と言った、何となく参加したい連中から、菫のような新入りや顔見知りを作りたい者まで。
様々なものが集まって、大宴会となった。
オーナーの許可済みということもあり、マレーナも安心して参加する。
「まぁ、お招きくださって嬉しいわ。
でも、私、診療室での看護が……」
「まぁ、まぁ、まぁ、マレーナ姐さん!」
ナガンは調子よく、飲みやすい日本酒を勧める。
ちなみに、マレーナはナガンから先日渡された「ロンTワンピ」を着ていた。
感謝の印らしい。
「姐さんにも、ぜひ受験生達を祝って欲しいぜ」
「前祝いと行こうじゃん!」
2人に勧められて、マレーナは困惑しながらも酒が進む。
飲んだわけでもないのに、誰よりも騒いだのは、例によってゲブーだ。
「む、おっぱいを狙ってるだと、
ふざけんな、地球の5000万おっぱいは、俺様のもんだっ!」
おっぱい談議になったらしい。
がははは――っ、と笑ってマレーナの手首を掴む。
「それと、お嬢様を呼んでこいや!
おーっぱーいっ!
ん? ちゃんとあるのが、こいつしかいねぇだと?
……まいっか、おっぱい管理人は俺様のもんじゃぁ!」
言って、抱き寄せた瞬間に、どこからか唯斗ら用務員が4人召喚されて、ゲブーを風のように攫って行った。
「では、反省室行きですので、ごめん」
そのまま消え去る。
あっけにとられる一行の中で、マレーナだけがなぜかとても満足げに用務員達を見送るのであった。
その傍ら、百々目鬼 迅(どどめき・じん)はひたすら台所で作ったおでんをふるまう。
「あれ、受験に失敗したのか?
え? 模試。
本番じゃねぇじゃねぇか?
これでも食ったらどうだ?」
キヨシ達に、おでんを持たせる。
「うん、まあまあだな!」
だが、食は進む。
「しかしここは、よくよく考えると。
食にだけは困らない下宿なのではなかろうか?」
ふとキヨシは呟いた。
とても食べられないような、とか前置きはつくだろうが。
食べられるだけでもマシ! なこの荒野において、やはり夜露死苦荘は恵まれている。
チョット明るくなった受験生達を眺めて、迅は陽気に言った。
「これさえ覚えときゃ大丈夫だぜ、皆さんよぉ!
それは……『何とかの鼻はデカイ』って事ですわ」
「『何とか』って?」
「それは、ここでは秘密ですわ!」
何だかもやもやする、と一同は思うのだが、最早落ち込むことはなかった。
美味しい食事が、一番の気つけ薬になったらしい。
■
……やがて、全員が酔いつぶれた頃。
ナガンはこっそりとヒプノシスを使って、安眠を促進させた。
キヨシも眠っているが、彼は疲れ切って寝ているだけだ。
ちなみにガードが案外固いようで、酒は一滴も飲まなかった。
「己を知っているってことかよ。
意外と意思強いんじゃねぇの? キヨシ」
やれやれと見下ろすナガンの傍で、クラウンはせっせとマレーナ以外の者共を部屋に運ぶ。
マレーナは毛布に包まれ、部屋の隅に置かれた。
用務員達の気配に、ナガンは肩をすくめてみせる。
「ナガンは何もしませんよ。
ただし、一晩の噂はかぶるぜ
それで姐さんが、『噂』を信じる野郎どもから護られるならな」
■
そうして、結局マレーナさんと一晩は、ナガンが明かしたのであった。 マレーナがナガンの心遣いに、心から感謝したのは言うまでもない。
First Previous |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
Next Last