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【空京万博】取り戻せ! アムリアナの花嫁衣装!

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【空京万博】取り戻せ! アムリアナの花嫁衣装!
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■□■3■□■ 亡霊の花嫁衣裳争奪戦

こうして、先を急ぐアイシャと雅羅たちだが。

「私モ、着タカッタ……花嫁衣裳……」
「ウラヤマシイ……ウラメシイ……」
花嫁衣裳を着ることなく死んだ女性の亡霊たちが現れた。

「いやああああああ!?
こっち来ないでええええええ!」
幽霊が苦手な雅羅が涙目で騒ぐ。

その様子を見て、
想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)が言う。
「この遺跡にいる亡霊は、訳あって花嫁衣装を着れなかった人でしょ。
元々が悪い霊じゃないと思うんだ。
もしアムリアナ様の花嫁衣装が彼女たちを慰めていたとすれば、
彼女たちにとってオレたちは迷惑だから排除しようとするのかもしれない。
だけど最初から悪い霊だと考えるのはやめようね」
「わ、悪い霊じゃない?」
「そうだよ。それに、
一番苦労する方が、きっと目的への近道なんだよ。
ポジティブに考えよう! ね、雅羅さん!」
夢悠が、雅羅をなだめる。

さらに、想詠 瑠兎子(おもなが・るうね)が、
雅羅の両腕を押さえつつ、後ろから優しく抱きしめる。
雅羅が慌てて発砲しないためでもある。
「落ち着いて雅羅ちゃん。慌てちゃダメ」
「う……」
雅羅が、抱きしめられたことで、少し冷静さを取り戻す。

そして、夢悠が亡霊たちに言う。
「オレたちはアムリアナ様の花嫁衣装に酷い事をしにきたんじゃないんです。
空京万博というイベントで展示して、
貴方たちのように花嫁衣装へ憧れる人たちに観てもらいたいんです。
勝手なことでごめんなさい。だけど、どうか許してください」

「ハナヨメイショウ……」
「私タチモ着タイ……」

亡霊たちは、攻撃してくることはなく、口々にそう言った。

「こんなこともあろうかと、
ベアにウェディングドレスを持って来ておいてもらいました!」
ソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)が、
雪国 ベア(ゆきぐに・べあ)を指し示して言う。
「え? ロイヤルガードなのに、登場が遅いですって?
別に、迷子になってやっと追いついたわけじゃないんですよ!」
「ご主人も方向音痴だからなあ」
ベアが、うんうんとうなずく。
「コホン、えっと、じゃあ、ベア、お願いします!」
「わかったぜ!
ウェディングドレスは、俺様の着ぐるみの中にしまってある。
事前に背中のチャックを少し開けておいたから、ひっぱり出してくれ」
「わかりました!
……あれ? これって……」

ゆる族は、背中のチャックを開けると爆発するのである。

★☆★

辺りに煙が漂い、黒コゲになったベアが笑う。
「いやー、死ぬかと思ったぜ!」
「もう、ベアったら! ドレスも黒コゲになっちゃったじゃないですかー!」
ソアも、黒コゲになりつつ怒る。

「ウェディングドレス……」
「着タイ……」
しかし、亡霊たちは、黒コゲのウェディングドレスに群がってきた。
「じゅ、順番でお願いしますー!」
争奪戦が発生してしまい、
ソアが慌てて叫ぶ。

その様子を見ていた
南部 豊和(なんぶ・とよかず)が、
亡霊たちを成仏させてあげようと、雅羅に提案する。
「確か、ブーケトスを受けた女性の方は、
次の花嫁になれるという話を聞いた事があります
つまり、このウエディングブーケを受けとることができれば、
そこの幽霊のあなたも花嫁さんに!
というわけで雅羅さん、ブーケはお渡ししますので投げてください。精一杯に」
「ええっ!? なんで私が!?」
「こういうのは女性がすると相場は決まってるんです!
雅羅さんも結婚したら、ブーケトスぐらいするでしょう?
予行演習だと思って!」
「ほ、本当に!?
本当にブーケトスしたら、成仏してくれるのね!?」
「大丈夫です! きっと!」
豊和が、さわやかな笑顔で言う。

「えーい!」
怖がりつつも、雅羅がブーケトスする。
すると、ソアとベアのウェディングドレスに群がっていた亡霊たちが、
いっせいにブーケの方に殺到した。

「見つけたぞ、アイシャ女王! って、ぎゃあああああああああああ!?」
追ってきていた鏖殺寺院と、
志方 綾乃(しかた・あやの)が、ちょうど投げられたブーケの前に来てしまい、
全員、亡霊たちにもみくちゃにされてしまった。
「ブーケハ、私ノモノ!」
「花嫁ニナルノハ、私ヨー!」
「こ、これが雅羅さんの災難体質……志方ないね」
綾乃が、そう言って気絶した。

「な、なんだかえらいことになってますけど……」
ソアが言うが、
ウェディングドレスを順番に着て、ブーケを手にした亡霊たちは、
無事に成仏したのだった。