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地球に帰らせていただきますっ! ~4~

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地球に帰らせていただきますっ! ~4~

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 ■ 真っ白な本から ■
 
 
 
 大掃除真っ只中の及川家。
 住み込みメイドの佐藤 奏は、新年を前に家の隅々を掃除していた。まだ中学生の奏だけれど、両親が翠の両親の部下で一緒に死亡して以後、近くに身寄りもない為に及川家に居候しているのだ。
 もうすぐ翠が帰ってくる予定だから、それまでには掃除を終わらせておきたい。
「これで終了ですぅ」
 大掃除終わり、と立ち上がりかけて、奏はふと気になる本を見付けた。
「こんなところに本ですかぁ……?」
 ぱらぱらと頁をめくってみると、中身はすべて白紙だった。
 翠の本なのだろうか。
 帰ってきたら見せようと、奏はその本をリビングのテーブルの上に載せた。
 ……と。
「……ここ、どこですかぁ?」
 突然、本の中から人が現れ、奏は仰天してぺたんとリビングの床にへたりこんだ。
「はわわ、な、何事ですかぁ〜!?」
 
 
 一方、その頃及川 翠(おいかわ・みどり)は。
「アリスちゃ〜ん? また迷子になっちゃったのかなぁ……」
 新幹線に乗って街まで帰ってきたものの、またまたアリス・ウィリス(ありす・うぃりす)の姿が見えない。
 アリスにつけてある発信器を頼りに探すから先に家に帰っているようにとミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)に言われ、家で待っている奏の様子も気になるからと、パートナーと分かれて翠は1人、先に家に帰ることにした。
「ただいまぁ〜!」
 元気良く挨拶して家に入ってみると……リビングには奏ともう1人、知らない優しそうな少女がいた。
 髪も肌も目も、服装もすべて白。
 とりあえず挨拶しておいた方が良いだろうと、翠は見知らぬ少女に話しかける。
「えぇ〜っと、初めまして!」
 その途端、翠が持っていた禁書閲覧許可証が反応した。
「もしかして……」
 この人は魔道書なんだろうか。翠がそう思っていると、少女はおっとりと翠に頭を下げた。
「……これから、よろしくお願いしますぅ〜」
「いえいえ、こちらこそ……って、あれれ〜?」
 こうしてよく分からないうちに、翠は魔道書スノゥ・ホワイトノートと契約してしまったのだった。
 
「お化けじゃなかったんですねぇ〜」
 その後、改めて翠とスノゥが自己紹介し合うのを聞いて、腰を抜かしていた奏もようやくほっとして立ち上がった。
「うん、そうみたいなの」
 魔道書のことを翠が奏に教えてやっていると、そこにアリスを捕まえてきたミリアが戻ってきた。
「ようやく見付けたわ。ただいま奏、お久しぶりかな……で?」
 ミリアの言葉の最後の、で、が自分を指していることを知り、スノゥはぽわんとした様子で自己紹介する。
「初めましてぇ〜、私、スノゥって言いますぅ〜。このたび翠ちゃんと契約しましたぁ〜」
「契約?」
「うん、奏さんがスノゥの本を見付けてね、気づいたら契約しちゃってたの」
 説明する翠に、そう、と短く答えるとミリアはスノゥに挨拶を返した。
「……初めまして、ミリアよ。これから宜しくね。――で、奏。今度は一体何をしたの?」
「はわわっ、私は何もしてませんよぉ〜!」
 ただ本を見付けただけだと言うけれど、これまでも数多くの失敗の前科を持っている奏のことだから、きっとまた何かしでかしたのだとミリアは予測をつけた。
「……後でお・は・な・し、聞かせてもらいましょうか?」
「はわわっ、なんでですかぁ〜?」
 ぐっと顔を近づけてくるミリアから逃れようと、奏はじりじりと後ずさりした。
 そんな攻防が繰り広げられている横で、アリスは興味津々にスノゥに話しかける。
「私はアリスだよ。よろしくね」
「スノゥと言いますぅ。仲良くして下さいねぇ」
 
 成り行きかそれとも運命か。
 こうして翠のパートナーはまた1人、増えることとなったのだった。