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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

リアクション

11)


シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)は、
ミルザム・ツァンダ(みるざむ・つぁんだ)に、
先日の礼を述べる。
「えぇと、まず……こないだはありがとうな。
オレたちだけじゃヤバかったぜ……助けにいって助けられてでちょっとカッコ悪かったかな」
「いえ、こちらこそ、来ていただけて心強かったです」
ミルザムが微笑む。
「よし、じゃあ、お礼を兼ねて、
ニルヴァーナをゆっくり見ていってくれよ!」
シリウスは、ミルザムを
創世学園から、創世学園都市、宮殿都市アディティラーヤと案内して、
最後に、シリウスの家の前へとやってくる。

一日、明るく振舞ってはいたが、
シリウスは、ふと、ミルザムに言う。
「……いや実はさ。
今、一人……なんだよな」
パートナーや、普段一緒に暮らしている子どもたちが不在にしているのだと、シリウスは告げた。
「オレ一人だと、
ちょっと広いんだよな……大勢で暮らせるようにって建ててもらったんだけど。
……いや、寂しいわけじゃないぜ?
寂しい、わけじゃ……」
「あの、もしよろしかったら」
ミルザムが切り出した。
「よかったら、お邪魔してもいいですか?」
シリウスが瞳を輝かせる。
「ああ、もちろん、大歓迎だ!」

シリウスは、ミルザムにお茶を勧め、
楽しい時間を過ごす。

「私もこうしてのんびりできたのはひさしぶりです。
どうもありがとうございます」
ミルザムが、シリウスに笑顔を見せる。
「ああ、それならよかった!」
うなずくシリウスに、ふと、ミルザムは、
大きな家の広間に目をやる。

「よかったら、少し踊らせていただいてもいいですか?」
ミルザムの予想外の言葉に、
シリウスは、顔を輝かせた。
「おう、大歓迎だぜ!」
「ありがとうございます。
都知事をしていると、こういう機会もあまりないので」

ミルザムが、スマートフォンで音楽を再生する。
優雅に一礼すると、
ミルザムは、踊り子シリウスの顔になり、
広間で舞い踊った。

「あいかわらずスゲーな!」
シリウスは、その踊りを見て理解した。
ミルザムが、都知事を続けながらも、日々の稽古をかかしていないことを。

ミルザムが踊ってくれるおかげで、
広い家の大きな広間も、もう寂しくはなかった。