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第2章 女体化&男体化で大騒ぎ!?

吸血鬼の衣装を着て男装した
祥子・リーブラ(さちこ・りーぶら)と、
雪女の仮装のティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)は。

「あぁ……雅羅や海みたいに仮装した存在になっちゃってるみたいね。私達」
声の低くなっている祥子に、ティセラが微笑を浮かべる。
「そうみたいですわね。
幸い、大きなトラブルではないみたいですけれど……」
「なんだか、トマトジュースが飲みたくなってきたわ」
ぶどうジュースを手にお菓子をつまんでいた祥子だが、そんなことをつぶやく。

そして、ふと、祥子は、ティセラの手を取る。
その肌はとても冷たく、雪のように白い。

「ねえ、ティセラ」
祥子は、魅入られたように、ティセラの瞳を見つめる。
ティセラもまた、祥子の瞳から目を逸らせないようであった。

ティセラの白い肌。
美しい首筋。
それを見ていると、祥子は抱きしめて、
首筋に牙を突き立てたくなってくるのだった。

「綺麗だよ。ティセラ。
どんなに変わっても愛おしくて、
変わったがゆえに壊したくて壊されたいくらいに綺麗で愛してる」
「ええ、わたくしも、あなたがどんな姿であっても、
変わらずに愛していますわ」
祥子の胸にそっと顔をうずめ、ティセラがささやき返した。

「ふふ、祥子さんが殿方になるだなんて。
想像もしていませんでしたけれど、
なんだか不思議。
とても凛々しくて、瞳に魅きこまれてしまいそう……」
「私も、ティセラがこんなに美しい姿になるなんて。
もちろん、いつだって綺麗だけど、
今夜は特別。
世界中の誰より、ティセラが一番、綺麗」

2人は、会場の隅で、
ワイングラスを傾ける。
やがて、祥子は、ティセラの首筋に、そっとキスをする。
想像通り、とても冷たく、そして、柔らかく、温かい。

その様子は、まるで、吸血鬼が女性を魅了して、
血を吸おうとしているかのようだった。

「ティセラは、私をどんな風にしてみたい?」
耳元で、祥子はささやく。
「そうですわね……。
このまま、永遠の冬の世界で、2人だけで過ごしていければと思ってしまいますけれど……」
「いいのよ。
今夜は、どんなことしてみても」
祥子は妖艶な笑みを浮かべる。
「だって、今夜の魔法は、今夜限りのもの。
どんな気持ちだって、私は受け入れるわ」
「祥子さん……」
ティセラが、祥子の背に手を回す。
その手は、氷のように冷たかったけれど、
不思議と温もりも感じるのだった。

「氷の、キスを」
ティセラは、そうつぶやくと、祥子に口づけた。
「祥子さん。
わたくしを……わたくしだけを見てくださいますか?」
「もちろんよ、ティセラ」
2人は、もう一度、口づけを交わした。