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リアクション
■予選 蒼空学園 3
レティシアがノックアウトされた直後。
ハイコド・ジーバルス(はいこど・じーばるす)は、
全力で攻撃を放ち、パートナーの輝を支援していた、
神崎 瑠奈(かんざき・るな)の背後を取っていた。
「たああっ!」
ハイコドが思い切り、瑠奈の身体をぶん投げる。
「……っ!?
そんな!?」
空中で回転して、なんとか無事に着地した瑠奈であったが、気づいた時には場外にいた。
「輝お兄ちゃん、皆、気をつけて!」
瑠奈が、思わぬ伏兵の登場に、パートナーたちに注意を呼びかける。
「ハイコドさん……強敵であることはわかっているから、
全力でいかせてもらうよ!」
「ああ、望むところだ!」
輝たちが、連携しながらハイコドを攻撃する。
触手や、トリッキーな武器や拳の攻撃で、
ハイコドは少しでも手数を加えようとする。
「場外にさえ出てもらえば、こっちのものだ」
ハイコドは、隙を狙い、相手を転ばせたり、投げ飛ばそうとしていた。
そこに、銃撃が響いた。
アルクラント・ジェニアス(あるくらんと・じぇにあす)が、
輝とシエル、瑞樹たちと、ハイコドの足元を狙ってライジング・トリガーを放ったのである。
「危ない!」
輝は、シエルと瑞樹をかばう。
「遠距離攻撃か、やっかいだな。
……!」
ハイコドが、アルクラントの前に迫ろうとしたのを、
シルフィア・レーン(しるふぃあ・れーん)が立ちふさがり、防ぐ。
「アル君は、私が守ってみせる」
炎天戈セプテントリオンを振り回し、シルフィアが、
間合いを維持しながら、ハイコドを攻撃していく。
間合いを詰めてとどめを刺そうとするハイコドには相性の悪い相手であった。
しびれ粉などで、相手を翻弄しようと試みるハイコドだが。
「……っ!」
気付いた時には、シルフィアの攻撃を避け、闘技場の端に追い詰められていた。
そのまま、防戦に耐え切れず、
足を外に出してしまい、ハイコドはリングアウトとなる。
「パートナーとの絆だったら、
私たちも負けていないよ!」
「私たちの方が人数も多いんです、そう簡単には行きませんよ!」
シエル、瑞樹が口々に言う。
輝とシエル、瑞樹たちと、
アルクラント、シルフィアが連携しあって戦う。
「シルフィア、まさか出場するとは思ってなかったけど、
やはり、2人だと心強いな」
「当然じゃない?
それとも、散々自分のこと、弱い弱い言ってきた癖に、
一人でいいところ見せたかったの?」
「いや、そんなことは思っていないさ。
だけど、2年前と、今とは違うという、手ごたえを感じるんだ。
それを、証明したかったのかもしれないな」
「じゃあ、私はそれにつきあうだけね」
アルクラントが銃撃戦を、
シルフィアがそれをかばうように接近戦を行いつつ、
2人は長年連れ添った夫婦のように会話をした。
2組のパートナーたちの連携は、どちらもとても息があっており、
このまま、戦いは硬直状態に陥るかと思われた。
しかし。
エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)が、
アルティマレガースとアクロバットウイングを駆使して、
空中から攻撃を仕掛けてきたのであった。
人数が少なかったアルクラント&シルフィア組、
そして、銃撃タイプのアルクラントを狙って、
魔剣『青龍』でエリシアが攻撃をする。
「アル君!」
それを、シルフィアがかばおうとする。
エリシアのパートナーの御神楽 陽太(みかぐら・ようた)は、
この場にはいない。
妻である、御神楽 環菜(みかぐら・かんな)の出産のため、
空京の家で生活しているのである。
しかし、生まれたばかりの子どもの世話をしながら、
陽太たちは、この戦いの様子の中継を見守っているはずであった。
『エリシアがベストを尽くして、
悔いの無い戦いができることを願っています。頑張ってください!』
戦いの直前、陽太からエリシアには、激励のメールが届いていた。
「わたくしも負けられませんわ!
魔女として、契約者としての誇りがありますもの……!」
すべては一瞬の出来事であり、
エリシアの真空斬りによって、シルフィアがダメージを受けると思われたのだが……。
衝撃で、闘技場の一部が破壊される中。
シルフィアの身体は、アルクラントによって支えられていた。
2人の足は、同時にリングアウトしてしまっている。
「アル君だけでも残ればよかったのに……。
どうして、避けなかったの?」
「シルフィアが怪我するのが嫌だったからね」
「……相変わらず、甘ちゃんよね」
「そうかな。これでも、そのおかげで生き残ってきたつもりなんだけど」
「うん。そういう、アル君のこと、嫌いじゃない」
■
時間は少しだけ前後する。
空中から攻撃の機会を伺っていた、
リネン・エルフト(りねん・えるふと)が、攻撃を仕掛けてきたのである。
全力攻撃を放った直後のエリシアをリネンが攻撃する。
攻撃をなんとか刀で受け流し、
エリシアがリングアウトを防いで、再び、飛翔しようとするが。
「この機会、逃すわけにはいかないよ!」
輝とシエル、瑞樹により、
エリシアは集中攻撃を受ける。
「……ここまでですわね」
エリシアは空中で踏みとどまろうとするも、地面に足をつけてしまい、リングアウトする。
さらに。
「フェニックス、お願い!」
シエルが、召喚獣:フェニックスで、リネンが再び空中に舞い上がれないよう攻撃を仕掛ける。
「ネーベル!」
リネンはペガサス“ネーベルグランツ”に叫び、
闘技場に降り立つも。
「まだ、終わりじゃないわ!」
エアリアルレイヴでの一撃離脱で攻撃しようとするが。
輝と瑞樹が、近接戦でリネンを追いこみ、
そのままリングアウトさせる。
「マスターのためだから、限界だって越えられるよ!」
瑞樹が魔導剣【ブルー・ストラグラー】を振るい、叫んだのであった。
■
「文字通り、馬に蹴られてしまったようですわね」
「……まあ、私もそうだけれどね」
エリシアとリネンが苦笑して顔を見合わせる。
しかし、エリシアの携帯には、予選終了後、陽太から労いのメールが届いていた。
『強敵揃いの中で凛々しく戦うエリシアの姿が輝いていて、とても感銘を受けました。
結果は残念ながら……ですが、エリシアが空京の家に帰って来たら、
お疲れさま会的な食事会をしようと思います。楽しみにしていてください』
リネンもまた、英雄と呼ばれる能力の持ち主を相手に、
自分の全力を出して戦えたと実感を持っていた。
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