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■ 空峡の騎士たち ■
彼女等は、タシガン空峡に浮かぶ、無人の島にいた。
遠い昔は無人島ではなかったその島も、今はただ、かつての面影をただ遺跡に残すのみである。
そう、今はまだ、これから始まる冒険の、幕が上がって間もなく。
「久しぶり。また一緒ってわけね、フリューネ」
遺跡の壁画を調べていたフリューネは、憶えのあるその声に振り返る。
「ヘリワード……」
「また会えたわね」
ふふ、とヘリワード・ザ・ウェイク(へりわーど・ざうぇいく)は笑う。
同じ一匹狼の空の義賊として、フリューネに対して、奇妙な親近感を抱いていた。
最も、今や契約者となったヘリワードは、「一匹狼」ではなくなっていたのだが。
それでも、以前一度共闘して、彼女は、自分と通ずるものがある――そう、感じられたのだ。
だから、自分が一匹狼を卒業したように、彼女も。できることなら、一緒に。
馴れ合うのではなく、同じ方向にある自らの道を自ら歩む、同胞として。
「あなたさえよければ、私達の空賊団に入らない?」
「……残念だけれど」
フリューネは静かに、しかし即答した。
「気持ちは嬉しいけど、私はどこかに所属するとか……、そういうの苦手なのよ」
落胆半分、しかしヘリワードはふふっと笑った。
満足半分、そう、あたしは彼女がそう言うだろうことを予想していた!
だって彼女は、自分と通ずるものがある。
「お互いさまよ。あたしは自由よ、誰の指図も受けない!」
誇らしげなその言葉に、フリューネも、それが自分の言葉であるかのように、微笑んだ。
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