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【蒼フロ2周年記念】未来の君へ

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過去に戻ってでも

百合園女学院の寮。
その奥まった一室に双葉 朝霞(ふたば・あさか)は引き籠っていた。

生きるのも死ぬのも面倒だから単に食べ物を食べ、ネットを見る日々。

2025年以降はパートナーの小芥子 空色(こけし・そらいろ)を起動させ、
彼女に働かせることに成功していた。
朝霞は何もする必要がなかった。

「メンテナンスだけは定期的にうけてよ。
……稼ぎがなくなったら困るから」

「承知しておりますわ」

今日も空色は働きに出ていた。朝霞は空色が何の仕事をしているかも知らないが、生活で来ているのだから問題ない。

■□■


端正な顔立ち、豪奢な衣装。
にも関わらず空色は工事現場で働いていた。

見た目より丈夫な空色は現場で重宝されていたが、
その躯体はすっかり薄汚れていた。

「おかしいよ!」

アイ・シャハル(あい・しゃはる)は憤っていた。
月の地祇として地上に降りて、まさに“一目惚れ”した空色。
その奴隷としか言えない状況にだ。

「そのアサカって奴、放っとけばいいじゃん。
働く必要ないだろ!」

「仕方ありません。私は朝霞に逆らえないようにプログラムされています。
それに、私がいなくなったら浅香さんは……だから逃げられないのです」

それにかつて妹や弟を護れなかった自分に幸せになる権利など。
空色はアイの言葉に悲しそうに首を振った。

でも、アイも首を振り返す。

「ダメだよ、僕もう決めたもん。ソラを助けるって。
絶対に幸せになってもらうって!
今、それが出来ないって言うなら過去に行く。ソラの今を変えてやる!」

この世界の色々な物をソラと一緒に見るために。
だが、過去に行く方法などあるのだろうか。

「あるよ!」

湯島 茜(ゆしま・あかね)が謎の乗り物と共に出現した。

「10年前に行きたいんでしょ?
連れて行ってあげるよ」

「そんな事出来るはずが……」

「いや、信じるしかないよ。分かった。一緒に行く!」

空色の制止を振り切り、ソラは茜の乗り物に乗り込んだ。
空を乗せた乗り物は過去へと―――消えた。