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ホワイトバレンタイン

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「さて、これでお弁当は大丈夫ですね」
 エレンディラ・ノイマン(えれんでぃら・のいまん)は楽しそうにバスケットにお弁当を入れた。
 今日は外で食べる予定なのでサンドイッチ。
 それに、冷めないように魔法瓶にチョコレートドリンクを入れてある。
「後はお洋服を用意しておかないと……」
 エレンディラは自分とパートナーの秋月 葵(あきづき・あおい)の服を用意し、葵が起きるのを待った。
「おはよう〜早いね、エレン」
「おはようございます、葵ちゃん」
 ニコッと明るい笑顔を浮かべて、エレンディラは葵の髪を梳かし始めた。
 そして長い髪をツインテールにしてあげて、リボンを結んであげる。
「ありがとう、エレンディラは今日も上手だね」
 結んでもらった髪を見て、葵が満足そうに微笑む。
「お気に召したなら良かったですわ」
 エレンディラも微笑を返し、葵に服を着せてあげた。
「それじゃ、行こうか!」
 準備が出来た……というかしてもらった葵が言うと、エレンディラは頷き、お弁当の入ったバスケットを持って、2人でヴァイシャリーの湖に向かった。

 湖に着くと、2人はゴンドラに向かった。
「寒いけど、コートがあるから大丈夫だよね!」
 お揃いのコートを着た2人は、仲良く手を取ってゴンドラに乗った。
 まだ風が冷たいものの、2人で身を寄せ合うには、それも良いという感じだった。
「湖から見る風景も、また良いものですね」
 エレンディラはそう言いながら、お弁当を広げた。
 サンドイッチを手に取って、温かいチョコレートドリンクを飲み、葵は笑顔を浮かべた。
「美味しい」
「それは良かったですわ」
 ふふふ、とエレンディラも笑い、2人は楽しく湖の上でのランチを楽しんだ。

 さすがにずっと湖の上は冷えるので、お昼を食べ終わると、葵とエレンディラは湖を上がり、公園に向かった。
 2人は公園を歩きながら、模擬結婚式のことを振り返り、うれしくなったり、恥ずかしくなったりしながら、夜を迎えた。
 ライトアップされた公園のベンチに座り、肩を寄せ合い……葵はエレンディラにチョコとピンクの薔薇の花束をプレゼントした。
「わあ、ありがとうございます」
 エレンディラは喜んでお礼を言い、自分もがさがさっとあるものを出した。
「私も葵ちゃんに渡したいものがありますよ。はい、どうぞ」
 白薔薇の花束と手作りチョコを渡され、葵はうれしそうに笑った。
「ありがとう、エレン」
 そのまま2人はぎゅっと抱きしめあった。
「大好きだよ、エレン」
 そっと葵がエレンディラにキスをする。
 2人は夜の風の冷たさにも負けず、暖めあうように寄り添い続けるのだった。