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ホワイトバレンタイン

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ホワイトバレンタイン
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 フェイト・シュタール(ふぇいと・しゅたーる)とのデートのため、松平 岩造(まつだいら・がんぞう)はいそいそと黒のタキシードに着替えていた。
「タキシードで出かけるのござるか?」
 声をかけてきたのは、英霊の武蔵坊 弁慶(むさしぼう・べんけい)だ。
「今日はバレンタインのデートなんでね」
 岩造の言葉に、弁慶はふむと頷く。
「なかなかに目立ちそうであるが、それくらいのほうがおなごには良いのでござろうか」
「弁慶自身は何をする予定で?」
「わしは定丸とデートでござる」
「馬とデートとは珍しいな」
「そうでござろうな。しかし、バレンタインは愛する者と一緒に過ごす日。今日はその日を大切な者と一緒に過ごす事が大事である。ゆえにわしは定丸と出かけるのでござる。それではな」
 弁慶はそう言うと、先に出かけていった。
 今日は定丸とシャンバラ大荒野を走り、人参を食べさせてあげたり、身体を洗ってあげたりと、一日、定丸のことを大切にしてあげる予定なのだ。
「定丸、ワシはおまえの事を一番大切にしているんじゃい」
 弁慶は愛馬にそう語りかけ、共にシャンバラ大荒野へと向かった。

 一方、用意の出来た岩造はショートラインのドレス姿のフェイトを伴い、一緒に空京の繁華街に行った。
「何か好きなものを買うといい」
「それでは、ジュエリーショップに行きたいです」
 フェイトはそうねだり、宝石店に一緒に行った。
 剣の花嫁として戦場に立つフェイトもやはり女の子。
 たくさんのアクセサリーに目を輝かせ、綺麗なペンダントや指輪に目を留めた。
「これが欲しいです」
「うむ、そうか。では、こちらとこちらを頼む」
 岩造は店員を呼び、フェイトのためにペンダントと指輪を買ってあげた。
 その後、2人はツァンダ商業組合のおすすめの映画館で、一緒に恋愛映画を見た。
 甘い恋愛映画を見ながら、その気分に浸り、フェイトはある事を思っていた。
(自分たちもこのように愛し合えるのではないでしょうか)
 映画の中の恋人たちと、今日の自分たちはどこか似ているとフェイトは思った。
 岩造はというと、映画を見ながら、これまでの日々に思いを馳せ、フェイトとは今までたくさん一緒に行動してきたことを思い出した。
 そして、一緒に行動してきた事で俺はフェイトの事をものすごく愛してしまった。彼女の事を一番大切に想っている。と認識したのだ。
 映画が終わると、フェイトがどうしても行きたいレストランがあるというので、そこに行って、二人で食事をした。
「バレンタインにこうして二人だけでデートが出来て、本当に心からうれしい気分だ」
 岩造の言葉に、フェイトはうれしそうに微笑んで、柔らかな声で、岩造に言った。
「あなたに出会えて、私も本当にうれしいって今、思っていました」
 微笑むフェイトを見て、岩造は心にある決意をした。

 食事が終わった2人は夜の公園に行き、一緒に歩いた。
 そこで、岩造はフェイトに告白した。
「フェイト、俺はおまえの事を一番大切に愛しているんだ。これからもずっとおまえの事を愛しているんだ」
「これからもずっと?」
「俺と結婚してくれ!!!俺はおまえと結婚がしたかったんだ!!!」
「岩造……」
 フェイトは岩造のプロポーズを聞き、自分の愛を認識した。
「私も岩造のことを一番愛しています」
 2人はそこで誓いのキスをするのだった。