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【Tears of Fate】part1: Lost in Memories

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【Tears of Fate】part1: Lost in Memories
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 エリザベート一行は移動を再開していた。
 そこには現在、頼もしい味方が加わっている。
 瓜生 コウ(うりゅう・こう)である。
「よかった。校長、なんとか会うことができた」
 コウは量産型との戦いを極力避け、できるだけ短いルートで移動できるよう工夫しながらここまで来たという。一度も量産型に発見されず、交戦せずにこれたのがその成果だ。
「トレジャーセンスが重宝した。校長の身につけている高価な装備、儀式の触媒や術具等のおかげだな」
 ところがそんなコウの説明に、いささかエリザベートはキョトンとするのだ。
「そうですかぁ? 私、普段は安物使いですよぅ」
「いや、お母さんが先祖から受け継いだりして何気なく身につけているものが、さりげなく市場価値が高いということじゃないでしょうか?」
 ミーミルがフォローすると、
「本当ですかぁ〜? じゃあ、帰ったら鑑定士でも呼んで見てもらいびましょうかねぇ」
「いや、それはともかくだ」
 緊張感のないエリザベートの発言にいささか困惑しつつも、コウは改めて帰路についてルカルカら一同に説明を行うのである。
「道々トラップをしかけてきた。今のところトラップにひっかかった敵はいないようなので、それは逆に、オレの進行ルートは安全度が高いということになりそうだ。ここからは先導させてくれ。決して楽な道ではないが、確実に戻れる方法がある」
「それって、大聖堂は通りましたかぁ?」
「大聖堂?」
 ミーミルが説明した。。
「じつは大図書室奥部には、大聖堂と呼ばれる大きな広間がにあると言われています。そこからは、館内のあらゆる方向に繋がる道が走っているらしいのです」
「図書室内のあちこちに量産型が登場している……つまり、敵の拠点は大聖堂にあるかもしれないね」
 これはエースの予想だ。
「敵の拠点は避けたいな。オレたちは脱出が至上目的、本拠地叩きはむしろ想定外の行動なので他のメンバーに任せよう」
 大聖堂について、他のメンバーに教えることができればいいのだが。