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リアクション
【1】電子の海でショタコン一本釣り……1
ところは空京中華街の外れ。
高くそびえる壁が囲むのは、いかにも成金と言った感じの悪趣味な建物……ここは悪名高き黒楼館道場。
中央に道場、左側に門下生たちの宿舎、右側には竹林。そして、奥には五重塔が。
曇天の空を突く塔はまるで集中に納めた中華街を見下ろしているようだ。
警備の門弟達が哨戒しているのもそうだが、よく見れば各所に最新の警備システムが巡らされている。
監視カメラ、赤外線センサー、警報装置……目で見える範囲以上に、侵入者を阻む装置が目を光らせているだろう。
その警備網を統括しているのが五大人の紅一点『機甲八卦』の達人カラクル・シーカー。
「凄い警備……。正面にも裏にも黒楼館の人たちがたくさん……」
何とも知れない店の屋根に登り、小谷 愛美(こたに・まなみ)は様子を窺っていた。
ラインストーンの光るデコバットを担いで神守杉 アゲハ(かみもりすぎ・あげは)も眉を寄せる。
「……つかさぁ、なんかぁここでジッとしてるとかマジ時間の無駄じゃね? とっととボコりに行かない?」
「そうしたいのは私だって同じだよ」
愛美の瞳に炎がゆらめいた。
「だけど、先に龍脈をなんとかしないと……。そうしないと猫先生の仇は討てないんだもん」
「Yeah! よくわかってんじゃねぇか、MANAMIN!」
万勇拳に寝返ったラップとカンフーの二足のわらじの五大人、M.C.バンフーは言った。
「おめーがどんだけ腕に自信があるのか知らねぇが、連中を守るLuckyの前じゃ勝ち目ねぇぞ、TreeHead?」
「あ? 誰がつりへっどだ、このラーメンドレッド。あとから出て来てエラソーに。マジ勘弁」
「YO! うるせぇ、糞Bitch。そんなんじゃマジぼっち。俺様が親切にアドバイスしてんだぞ、てめー!」
「もう! やめなよ二人とも!」
プンスカ怒って愛美が止める。
「……ふざけた連中アル!」
前回とっ捕まった五大人、カソはワイヤーでぐるぐる巻きの状態だった。
「ジャブラ様を裏切るとは何を考えてるアル。この糞ラッパー、黒楼館の面汚しアル」
「チェケラ!」
バンフーはべしべしとデコピンでカソをいじめる。
「あだだだだっ! や、やめるアル! うわああああっ!!」
「世の中、強い奴が正義なんだよ。オメーみてぇーな捕まってるチビに言われたくねーっつの! なぁMANAMIN?」
「え、う、うん……?」
酷く馴れ馴れしい上に、酷く性格の悪い男、M.C.バンフー。
「んで、MANAMIN。カラクルの警備を突破するプランはあんのかYO?」
「うん、なんか有志の人が任せろって駅前に行ったよ」
「駅前?」
「目には目を。電脳戦を得意とする敵には、こちらも電脳戦を仕掛けるのがセオリーでしょう」
ゴリラ似の賢人ジャングル・ジャンボヘッド(じゃんぐる・じゃんぼへっど)は言った。
「彼らを信じて僕たちは突入の準備を整えましょう。今日は長い日になります……!」
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