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海に潜むは亡国の艦 ~大界征くは幻の艦~(第1回/全3回)

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海に潜むは亡国の艦 ~大界征くは幻の艦~(第1回/全3回)
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「今のうちに、エネルギー補充をしましょう」
「了解しましたわ」
 アルバート・ハウゼンに言われて、ソフィア・グロリアが陣風を土佐に着艦させた。
「ワタシたちもいったん、補給に戻りましょう」
「補給を必要とするほど、攻撃はしていないと思うがのう」
 同様に伊勢に戻ろうとするジェファルコン特務仕様の笠置生駒に、ジョージ・ピテクスが言った。
「えーでも、ミサイル撃ち尽くしちゃったし……」
 そう言うと、笠置生駒が伊勢の甲板にジェファルコン特務仕様を着艦させた。
「来た来た。整備急ぐわよ」
 待ち構えていたコルセア・レキシントンが、メカニックたちを連れてジェファルコン特務仕様に駆けつけてきた。ただ、ミサイルと少量のエネルギーの補充だけだったのでちょっと物足りない顔だった。
 
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『こいつを頼む』
 メガバスターランチャーをホワイト・スノーに預けるとデュランドール・ロンバスがヤクート・ヴァラヌス・ストライカーを滑走路に移動させた。
「団長と一緒だなんて、ひっさしぶりー」
 サブパイロットシートでフレロビー・マイトナーが嬌声をあげた。
「ふざけているなら、下ろすぞ」
「それは勘弁ですよお。各種チェックオールグリーン。出力上げ。いけます」
 真面目に発進シークエンスをこなして、フレロビー・マイトナーがデュランドール・ロンバスに言った。
「敵の子トカゲ共に、ヴァラヌスの真の恐ろしさを教えてやろうではないか」
 デュランドール・ロンバスが、不敵にほくそ笑む。
『ストライカー、出るぞ』
 フィールドカタパルトが展開され、その中をヤクート・ヴァラヌス・ストライカーが加速されていった。そこへ、遠距離からヴァラヌス・フライヤーがレーザーバルカンを浴びせてきた。だが、フィールドカタパルトの境界面がバリアとなり、レーザーを弾き返す。
 射出されたヤクート・ヴァラヌス・ストライカーが、滑走路から出たとたんに翼を広げた。翼竜を思わせる翼が、フローター面を可変させて急旋回する。先ほど攻撃を加えてきたヴァラヌス・フライヤーのそばを一瞬にしてヤクート・ヴァラヌス・ストライカーが通りすぎた。瞬間遅れてショックウェーブを叩きつけられた敵ヴァラヌス・ストライカーが空中分解して爆発する。
 ローリングして水平飛行に移ったヤクート・ヴァラヌス・ストライカーが、敵を斬り裂いた両手のビームサーベルを消して、次の獲物を求めた。
 試作型パワーブースターを全開にして敵アーテル・フィーニクスとドッグファイトを繰り広げているウィンダムを見つけると、背後に回り込む。
「味方に当てるなよ」
「ちゃんと識別しますよ。今です」
 フレロビー・マイトナーが、ウィンダムとアーテル・フィーニクスの軸線がずれる瞬間を指示した。ショルダーキャノンがアーテル・フィーニクスのブースターパックを吹き飛ばす。失速してこちらに背をむけたアーテル・フィーニクスがあわてて変形しようとするのを、ヤクート・ヴァラヌス・ストライカーのレッグクローが握り潰した。
「足りんな!」
 イコンに乗ったときのデュランドール・ロンバスはまさにバーサーカーだ。荒々しい本性を顕わにしてしまっているといってもいい。
 ウイングから発生させた嵐の術式でヴァラヌス・ストライカーの自由を奪うと、カッと開いた口からバルカンを連射して蜂の巣にする。
『敵イコンを掃討して、スキッドブラッドへの道を開く。ついてこられる者はついてこい!』
 敵イコン部隊の中央を斬り裂いて、デュランドール・ロンバスが言った。
 
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「出番はまだかなあ」
 イコプラ・ポータラカUFOの中で待機しながら、宝貝・補陀落如意羽衣を装着した鳴神裁(物部九十九)がつぶやいた。外では激戦が繰り広げられているらしい。
「まだまだ、敵旗艦とは交戦していないようであるからな。我らの出番はそれからだ」
 イコプラ・ポータラカUFOのコックピットの中で、メフォスト・フィレスが言った。まだ、ヒンデンブルク号の格納庫ハッチは開かない。
『待つのも仕事ですよ』
 ドール・ゴールドが、宝貝・補陀落如意羽衣の下から言った。
 カミーユ・ゴールドの操る大型飛空艇は戦いに巻き込まれないように、高高度で待機したままだ。そばには、オリバーナイツと鬼頭翔の乗る修羅モードが対空監視している。どちらも、空色の迷彩塗装を施して発見されにくいようにしていた。
 
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「なあに、この艦。肝心のイコン格納庫がないじゃない。壊しがいがないったら!」
 敵駆逐艦の甲板に降り立ったシルフィスティ・ロスヴァイセが、レーザーブレードで扉をこじ開けて艦内に侵入しながら叫んだ。怒りを撒き散らすかのように、周囲をパイロキネシスで焼いて火を広げていく。
 
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「弾薬の補充は!?」
 ミサイルを撃ち尽くした御凪真人が、名も無き白き詩篇に言った。
「足許に来ているじゃろう」
 名も無き白き詩篇が、パラスアテナ・セカンドの足許をモニターで示した。
 天城一輝とローザ・セントレスが、小型飛空艇でカーゴを引いて上甲板にやってきている。
 御凪真人が脚部のミサイルポッドを排除すると、天城一輝がカーゴのロボットアームを使って素早く新しい物を取りつけた。続いてエネルギーカートリッジを交換する。
「よし、戦列に戻ります」
 即座に戻っていく天城一輝たちを見送ると、御凪真人が大型ビームキャノンを構えた。