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 5.帰り道
 
 コハク・ソーロッドは校門で人を待っていた。
「遅いなあー……」
 フウッと溜め息。
 携帯電話を開けたり閉めたり。
 両翼を忙しなく動かしてみたり。
「ごめーん、待ったあ?」
 ハッとして顔を上げる。
 夕日の中、ツインテールの元気娘が自分の元へ駆け込んできた。
 ミニスカートからのぞく長い脚が目に眩しい。
「ううん、美羽。じゃ、帰ろうか?」
「うん」
 美羽は頷く。
 ちょっと悩んでから、コハクに寄り添い腕を組んだ。
 コハクは顔を真っ赤にしつつ、嫌がりはしない。
 
 彼らの傍で、鮪のスパイクバイクが止まる。
 
 ■
 
 その様子を正門から眺める2つの影があった。
 愛美と瀬蓮の2人である。
「あれ? 花音、今帰り?」
 瀬蓮が手を振る。
 花音が1人、フワフワとした足取りで校門を抜け、校舎に向かうところだった。
「あれれ? どうしたの?」
「うーん、鮪さんのコイバナに当てられてしまいました……」
 ボウッとしたまま、教室へ向かう。
 どーした! 花音!?
 異変を察したらしい。
 校舎から、山葉 涼司(やまは・りょうじ)の絶叫が流れてくる。

 彼女達の背を見送って。
「あーあ」
 愛美は深い溜め息をついた。
「マナミンの『運命の人』、いつになったら会えるのかな?」
「案外、近くにいるんじゃない?」
 瀬蓮は軽い調子で答えて、ホラッ、と指さす。
 愛美は顔を上げる。
 オレンジ色の夕焼けの中で、一瞬「運命」が笑った――ような気がした。 
 
 了
 

担当マスターより

▼担当マスター

大里 佳呆

▼マスターコメント

 大里と申します。
 この度は皆様から素敵なアクションを頂き、ありがとうございました。
 どれも面白い設定ばかりで、大変楽しく執筆させて頂きました。
 愛美の結論はまだ先のようですが、たまにはこんな触れ合いも良いですね!
 またお会いできる日を楽しみに致しております。

 2010年5月11日 口調等訂正させて頂きました。大変申し訳ございません。