薔薇の学舎へ

波羅蜜多実業高等学校

校長室

葦原明倫館へ

消えた池の主を探し出せ!!

リアクション公開中!

消えた池の主を探し出せ!!

リアクション


第四章 雨のち晴れ!

「これは、また大きいですね?」
 神楽坂 翡翠は、パラ実生とゴブリン達によって運ばれる巨大虫かごを見て驚く。
 虫かごの中には、巨大なパラミタアメンボ――池の主が捕らえられていた。
 池の主は、思ったよりも元気そうだった。
「これが池の主? 意外と元気そう。早く池に戻れるといいね」
 翡翠のパートナー、榊 花梨も池の主を見て驚いていた。
 も一人、池の主に興味津々な生徒がいた。
 御子神 鈴音だ。
「……池の主……お願いがある……池に帰ったら、早く晴らして」
 言葉が通じているかわからないが、彼女は池の主にお願いした。

「そらそら! とっと歩きなさい!!」
「「ひぃ!?」」
 茅野 菫がパラ実生とゴブリンを魔法で追い立てたおかげで、来たときよりも早く池に着くことが出来た。
「すごい、本当に池が綺麗になってる!」
「あれだけ散らかってたのにね!」
 池の周りや池に浮いていたゴミは、もうどこにもなかった。
「結構重労働だったんだぞ。池に入ってゴミを取ったりして」
 七尾 蒼也は珍しく疲れていた。
「でも、池が綺麗になってよかったよね」
 一緒に片付けに励んだフレデリカ・レヴィも疲れていたようだが、笑顔だった。
 そして――
「二人とも、まだ最後の作業が残ってるわよ」
 フレデリカのパートナー、ルイーザ・レイシュタインが魔法薬の入った瓶を取り出した。
「それは何ですか〜」
 ミリアが首をかしげて尋ねる。
「これはね、水の水質を改善する魔法薬よ。まだ試作段階だけど、ゴミから出た油汚れで水質が少し変わってるみたいだから、使ってみようと思うの」
 そう言って、ルイーザが魔法薬を池に流した。

 魔法薬は驚くほど効果抜群で、あっという間に水質は元にもどったようだ。 
「ホラ! 水が元に戻ったんだから、さっさと主を池に離しなさい!」
「「ひぃ!?」」
 そして、菫が容赦なくパラ実生とゴブリンを追い立てる。
 しかし――
「む、無理だ! もう、重くて持ち上げるだけで精一杯だ!」
「ヒャッハー……!」
 戦闘で疲れた彼等は、もう限界だった。
 そんな彼等を見て、菫が溜息をつく。
「たくっ……しょうがないわね。ホラ!」
 彼女はいきなり氷術を放つと、パラ実生とゴブリンの足元を凍らせた。
 そして――
「っちょ、まさか!? え? まさかですよね!?」
「ヒャッッハー!?」
 虫かごごと彼等を滑らせて、池の中へとダイブさせた。
 更に、彼等の苦難は続く――
「あ、パラミタタガメ!」
 池に落ちたパラ実生たちは、パラミタタガメに復讐されるかのように血液を吸われていった。
 残されたのは、ずぶ濡れになったペラペラのパラ実生とゴブリンだけだった。
「これに懲りたら、反省しなさい!」
 菫がパラ実生たちに言う。
 だが、彼等は不適な笑みを浮かべると――
「はっ、何が反省だ! 俺らパラ実に反省の二文字はないぜ!」
「ヒャッハー!!」
 と、よせば良いのに強がって見せた。
 そこへ夜住 彩蓮がやって来て言う。
「それなら、こんな悪事を二度と働かないよう、テルテル坊主になってもらいましょうか?」
「「へ?」」
 
「あ、池の主が出てきたよ!」
 生徒の誰かが喜びの声を上げる。
 池に落ちた衝撃で、安い作りの虫かごは蓋が大きく開いたのだった。
「すごいな。あんな巨体なのに、簡単に水の上を滑ってく。上に乗れたら面白そうだな」
 如月 正悟は、素直に感想を漏らした。
 ところが――
「残念だが、アメンボは肉食だ。あの大きさなら、人ぐらい食べることもできるだろう」
 アルツール・ライヘンベルガーの補足によって、幼心を砕かれたのだった。
「お? なんか、雨が弱くなってきてるな?」
 一人の生徒が気付いたように、たしかに雨が弱くなってきていた。
 そして数分後には――
「す、すげぇ! 本当に晴れた! 今日って、天気予報じゃ100%雨だったぜ!?」
「もしかして、本当に池の主効果!?」
 空から雨雲は去り、しばらくぶり快晴となっていた。
「俺達だ! 俺達のおかげだ! だから早く降ろしてくれ!!」
「ヒャッハー!!」
 後ろのほうで、なにやら騒いでいるテルテル坊主(元パラ実生等)は、完全に無視されていた。
「やっぱり、お天気がいいと気持ち良いですね〜。心まで晴れやかです〜」
 ミリアも、久しぶりの快晴を喜ぶ。
 そして、空の快晴と同時に――
「わ、わかったですぅ!!」
 ピクニック中も探索中も戦闘中も、全て浮かない顔で考え事に没頭していた神代 明日香が、急に笑顔になった。
「そうですぅ! 明日はお休みだから、エリザベートちゃんと約束して、一緒にアイスを食べにいけばいいんですぅ!」
 彼女は、ずーっとエリザベートがアイスを食べて笑顔を見る方法を考え続けていたのだ。
「お、そのアイディアはイイな」
 明日香の思いつきに、エル・ウィンド(える・うぃんど)
「どうせこれから報告とかでエリザベート校長に会うんだ。青空の下、みんなでアイスでも食べながら話そう。ミリアさん良いですか?」
「はい〜もちろんです〜」
「パラ実生達も、本当に反省してやるって言うなら、食わせてやるぞ?」
「「するする! 反省するかお願いします!」」
 パラ実生たちは、ペラペラの頭をブンブンと振った。
「うふふ〜忙しくなりそうですね〜。でもお金のほうは大丈夫ですか〜?」
「え? お金?」
「エル兄、ごちそうさま!」
「ごちそうさまだぞ!」
「いやいや、ミレイユもロレッタも何言って――」
 気付けば、その場にいた全員がエルに頭を下げていた。
「ええええ!? ぜ、全部ボクの奢り!?」
「「ごちそうさまで〜す!!」」
「アハ、アハハハハハ……マ、マカセナサイ! オトコニニゴンハアリマセン……!」
 エルの顔からは生気がなくなっていた。
「お、見てみろ。虹だ!」
 レイス・アデレイドが空を見上げ言う。

 空には、いつの間にか虹がかかっていた――
 
 
 快晴の下、『宿木に果実』のテラスでミリア特製アイスを味わう生徒達。
「なるほどぉ、わかったですぅ! 申請を許可するですぅ!」
「ありがとうございます。エリザベート校長」
「これできっと、環菜校長は悔しがるはずです」
 イルミンスルールの森から帰ったフレデリカとルイーザは、エリザベートに環境保全を目的としたボランティア団体の設立を打診していた。
 最初は費用面などで渋っていたエリザベートだったが―脱すh
「蒼空学園より先に環境保全に取り組めば、エコロジー面で一歩リードできますよ?」
 という、ルイーザの一言が決めてとなり、設立を許可したのだった。
「ふふふ。エリザベートちゃん、アイスは美味しいかなぁ?」
 神代 明日香は、アイスを頬張るエリザベートが見れてご機嫌なようだった。
「ミリアのアイスは本当に美味しいですぅ! ん? 明日香が食べてるのも、おいしそうですぅ!」
「うん、美味しいよぉ。半分こしようかぁ?」
 どこまでも、仲睦まじい二人だった。
「すごいな……その顔」
 七尾 蒼也は、偶然席が正面になった春夏秋冬 真都里を見て驚いた。
「たくっ……男の顔がクマさんだらけなんて、恥ずかしいっつーの」
 真都里の顔は、ロレッタの貼ったクマさん絆創膏だらけになっていた。
「でもなんか、あんまり恥ずかしそうじゃないな?」
「な!? どどどどど、どういう意味だよ!?」
「さぁ? 俺もよくわからん」
「い、いいから黙って食え! 溶けるぞ!」
 エルの奢りによって開かれたアイス会は、幸せな時を紡いでいった。
 そんな中、ルカルカ・ルーの携帯に着信が入る。エース・グランツからだった。
「どうしたのエース? 早く来なよ。アイス美味しいよ?」
『あぁ、今向かってるところだ。それよりもな、夕方からまた雨だぞ』
「え? 嘘!? アメンボ効果で晴れじゃないの!?」
 実際、午後に発表された天気予報では、夕方から雨となっていた。
『さっき文献を見つけたんだ。パラミタアメンボに関する研究の文献を。それによるとな、もうパラミタアメンボが天気を左右するなんてことは無いらしい。もう、何百回も研究された結果だとさ』
「えー? そうなの?」
 ルカルカは、つまらなさそうにスプーンを咥えた。
 しかし――
「でも、ま。いいんじゃない?」
 テラスにいる皆を見回すと、彼女は満足そうにうなずいた。
「みんなが笑顔になれたんだしさ!」
 夕方からは、たしかに雨だった。
 それでも、生徒達はつかの間の晴れ間を楽しんだのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

カルーア・長谷川

▼マスターコメント

 はじめまして! カルーア・長谷川です! 
 こんにちは、また会いましたね! カルーア・長谷川です!
 まず最初に。もしかしたら、リアクションの発表が遅れてるかもしれません。ごめんなさい!
 文章量が多すぎたかもしれません……読むの面倒でごめんなさい。
 ていうか、俺の文章『――』おおすぎですよね。読みづらくてごめんなさい。でも、超便利なんですw 
 ……ごめんなさい。
 そ、それにしても! 梅雨は面倒ですよねぇ。いろいろ困ります! 
 早く池の主を返してほしいものです!
 ではでは、また次回。お会いできることを楽しみにしています!!