First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
Next Last
リアクション
第2章 「ここはひとつ太っ腹な所を見せてあげないとね。アーデルハイト師匠♪」
クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)は、
黒マントを翻して、アイスを回収しに向かっていた。
「超感覚で甘ったるいニオイを探せば、
アイスの在り処がわかるに違いありません!
シャンバラ山羊のミルクアイスは歓迎会で配って、
新入生たちに、俺を地元のスーパーヒーローとして印象付けるチャンスですよ!」
ぐっと拳を握りしめて、クロセルは言う。
パートナーの雪だるまの姿の魔道書童話 スノーマン(どうわ・すのーまん)は、
クロセルに天然の冷蔵庫として扱われていた。
「さあ、スノーマンさん、抱きかかえるようにアイスを持っていればとけないはずです!」
「クロセル殿にも手伝って欲しいと頼まれた以上、
この危機を乗り越えられるよう拙者も力を貸すでござるよ!」
スノーマンは、両手いっぱいにアイスを持って駆けずり回っていたが、
木の根につまずいて思いっきりぶちまけていた。
「ああああああーっ! しかもとけてるじゃないですか!」
「お、おかしいでござるな……」
そこに、ナナ・ノルデン(なな・のるでん)が現れ、
冬の精霊、「冬の女王」の等身大ぬいぐるみを連れて氷術を使う。
パートナーの魔女ズィーベン・ズューデン(ずぃーべん・ずゅーでん)は、
トレジャーセンスで、アイスを掘り当てつつ回収し、氷術で保守していた。
「「冬の女王」様をお誘いできなかったのは残念ですが、
ルクオールの町が冬になってしまった時以来の夏休み中止の危機ですからね」
「うんうん、新入生達に配るためにもアイスを回収しないとね」
ナナとズィーベンは言う。
「そういえば、そんな懐かしの出来事もありましたね。
あの時は、「冬の女王」さんに連れ去られたと思いきや、
アーデルハイトさんの家出だったという……」
「そうですね。仲直りのアイス作りや雪合戦も楽しかったですね」
クロセルとナナは、1年前のイルミンスール夏休み中止の危機の事件の思い出話をする。
「お、おい、私は新入生にアイスを配るなどとは一言もいっとらんぞ?」
アーデルハイトは、クロセルやズィーベン達のアイスを配るという発言に焦る。
「えー? あっ、そうか。
後で皆を驚かせるためだったんだね。
かわいい弟子達の為にもここはひとつ太っ腹な所を見せてあげないとね。
アーデルハイト師匠♪」
「ぐ、ぐぬううう」
ズィーベンの発言に、アーデルハイトはうなる。
「大ババ様〜。
胸が大きくなる魔法とかってないですかぁ〜。
アイス見つけたら、胸を大きくする薬とか売ってもらえませんか〜」
そこに、百合園生の秋月 葵(あきづき・あおい)が、
氷術でアイスがとけないように回収しつつやってきた。
アーデルハイトに恩を売って、胸を大きくしたいというのが、葵の狙いであった。
「よし、クロセルやナナ達より、
早くたくさんアイスを回収するのじゃ!」
大人げないアーデルハイトは、葵に命じる。
「えっ、じゃあ、胸を大きくする薬はもらえるってこと?」
「まあ、そんな薬があれば私がとっくに……ごにょごにょ。
とにかく、私に不可能はない!
とっとと回収するのじゃ!」
葵をごまかしつつ、アーデルハイトは言う。
そんな中、神裂 刹那(かんざき・せつな)が、
パートナーのヴァルキリールナ・フレアロード(るな・ふれあろーど)とともに、
特技の「捜索」で、物を隠しておけそうな木の陰や木の幹の穴、洞窟などを回ってやってきた。
ルナは、大型のアイスボックスで発見したアイスを保管しつつ、
刹那の氷術で氷を作り、冷やしてもらっている。
「大ババ様、
こちらは回収し終わったらお返しします。
ただ、シャンバラ山羊のミルクアイスはとてもおいしいと聞きました。
折角なので2つ程頂けませんか?」
「むむ……」
刹那に丁寧に頼まれて、アーデルハイトは困る。
ズィーベンとクロセルは言う。
「ほらやっぱり……」
「独り占めはよくありませんよ?」
「しかたないのう……。
回収したアイスは歓迎会でわけるがよい」
しぶしぶ回収したアイスを歓迎会でわけることを了承するアーデルハイトであった。
「ありがとうございます」
「お心遣いに感謝いたします」
刹那は感謝を述べ、ルナも優雅に一礼する。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
Next Last