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輝く夜と鍋とあなたと

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輝く夜と鍋とあなたと
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「今日は葵ちゃんのリクエスト通り、チーズフォンデュを作りますよ」
「本当!? 楽しみだねー!」
「ね〜!」
 エレンディラ・ノイマン(えれんでぃら・のいまん)が言うと、秋月 葵(あきづき・あおい)秋月 カレン(あきづき・かれん)はにっこりと笑顔になった。
「用意に少し時間がかかりますから、外で遊んできて大丈夫ですよ」
 エレンディラの言葉にカレンの目が輝く。
「やった〜! あおいママ〜どちらが早く雪だるま作れるか競争しよ〜」
「うん! じゃあ、いってきまーす」
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
 元気よく外へ送りだすと、エレンディラは腕まくりをして、準備を始めた。

「あおいママ! 見て見て〜!」
「うん〜? って、凄い凄い!」
 葵が振り向くとそこには、3体の小さな雪だるまがカレンの腕の中にあった。
「これが、あおいママで、こっちがえれんママ! これがカレンだよ〜」
 それぞれ、顔や髪型を雪を削って再現してあり、一目でそれとわかる。
「あとでエレンに見せてあげようか」
「うん!」
 2人は笑い合った。
「二人とも準備できましたから中に入ってくださいね」
 カマクラからエレンディラの声が聞こえ、走ってカマクラの中に入って行ったのだった。

「えれんママ! 見て見て〜!」
 カマクラの中に入ってすぐ、カレンは先ほど作ったばかりの雪だるまを見せた。
「すごいですね。こんなに可愛く作れるなんて」
「えへへ〜」
 エレンディラに褒められて、嬉しそうに目を細めた。
「さ、コタツの中に入って下さいね。もう食べられますから」
「はーい」
 チーズフォンデュの鍋の中にはどろっどろに融かされたチーズ、大きなお皿にはパンやブロッコリー、カリフラワー、プチトマトなどの茹でた野菜、茹でた牛肉などなど。
「こうやってパンをフォークに刺して、チーズをからめて食べるんだよ〜♪」
 葵がやってみせると、それを真似てカレンはパンをフォークに刺し、チーズに絡め、口へと運んだ。
「はふはふ……おいしい〜!」
「まだまだ沢山ありますからね」
 美味しいと言ってもらえ、エレンディラは嬉しそうだ。
「はーい アーンして〜」
 葵はプチトマトをチーズに絡めるとカレンの口へと持って行った。
「次は、エレンだよ〜。はい、アーン」
 エレンディラは口を開け、チーズがほどよく絡められたカリフラワーを食べた。
「カレンのも食べて〜」
 お肉にチーズを絡めると葵に食べさせる。
「好きなものばかり食べるのではなくバランスよく野菜も食べないとダメですよ」
「はーい」
 エレンディラに言われ、2人は同じものを刺そうとしていたのをやめて、他のに変更をした。
「ふ〜……美味しかった〜」
「うん! えれんママ! 美味しかったよ〜」
「お粗末さまです。さ、まだ食べれそうならデザートにしましょうか」
「やった〜!」
 葵とカレンの声がハモる。
 2人の反応を見てから、小さめのフォンデュ鍋に保温ポットに入れて持ってきたチョコとミルクをまぜたものをあけ、温め直す。
 チョコが出てきた時点でテンションが高くなっている2人を見て、エレンディラは微笑んだ。
 チョコを温めているうちに、切って持ってきた苺やバナナなどのフルーツやマシュマロを出した。
 良い感じにチョコが温まる。
「本日はチョコフォンデュにしてみました。あと紅茶もありますよ」
 ポットに入れたイチゴのフレーバードティーを見せる。
「美味しそう〜!」
「まだまだたくさん入りそうだよ〜」
 葵とカレンが口々に言う。
 チョコフォンデュも食べさせっこしながら、楽しく食べ進めていき、あっという間になくなってしまった。
「ん?」
 エレンディラが片付けをしようとしたら、カレンがもたれかかってきたのだ。
「いっぱい遊んでいっぱい食べたから眠くなっちゃったんだね」
 確かに、カレンはすやすやと気持ち良さそうな寝息をたてている。
「そういえば、もうすぐカレンちゃんのママになって一年かぁ〜……色々あったなぁ……」
 葵はカレンの横に移動して、カレンの頭を優しく撫でた。
「色々ありましたね」
 エレンディラはなるべく体を動かさないように片付けをしていく。
「ねえ、エレン。ちょっと目を閉じてくれる?」
「なんでしょう?」
 言われた通り、すぐに目を閉じる。
 エレンディラが感じたのは唇に温かくて柔らかな感触と……少しだけチョコの香り。
「葵ちゃん!?」
「えへへ」
 かなり顔を赤くしながら、葵は笑う。
「チョコの味がしたね」
 エレンディラは赤くなりながら、コクコクと頷いた。
 片付けを葵も手伝い、終わると、3人でコタツで眠ったのだった。