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リアクション
健闘 勇刃(けんとう・ゆうじん)と君城 香奈恵(きみしろ・かなえ)のコンビも購買部の最前列に到達していた。ただし香奈恵がしゃんとしているのに対し、勇刃は半ば意識を失っていた。
「ちょっとぉ、健ちゃん、しっかりしなさいよ!」
「う? あぁ」
勇刃は、かろうじて右手を動かすと、ポケットから小銭を出す。しかしそれで精一杯だった。
『健ちゃんを盾にしすぎたかな?」
何か飛んできた時、殴られたり、蹴られたりしそうになった時。逆に「こいつ邪魔だな」と思った時。
『結構、振り回しちゃったんだよね。ま、いいか』
「焼きそばパンと……タピオカパンね」
袋を受け取った香奈恵は、勇刃を引っ張りながら、意気揚々と購買部を後にした。
夜月 鴉(やづき・からす)は、スキルトレジャーセンスを存分に発揮し購買部にたどりついた。それでもダメージがゼロではない。ぼさぼさの髪は変わらないものの、服装が激しく乱れていた。
「焼きそばパン……1つ」
「はーい、ありがとうございます」
獣 ニサト(けもの・にさと)のパートナー、田中 クリスティーヌ(たなか・くりすてぃーぬ)も忙しく働いていた。この分なら相当の稼ぎになり美味い酒がのめるはず、とそろばんを弾いていた。
鴉はお金と引き換えに袋を受け取ると、立ち去ろうとしてコッペパンを1つ追加した。
「毎度、ありがとうございました」
童話 スノーマン(どうわ・すのーまん)は、既に撤退していたものの、クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)は、なかなかの健闘を見せていた。
歩みは遅いが、着実に購買部に近づいていく。やがて最前列にたどり着くと、「焼きそばパン1個くださいなー1」と大声で叫んだ。
「あいよっ」
獣 ニサト(けもの・にさと)が、焼きそばパンを1つ袋に入れる。
「1つで良いのか? 2つまで買えるぜ」
「いえいえ、1つで十分です。より多くの人に味わってもらってください」
「そうか? 買い占めたりなんて考えてたりしてな」
「いやー、はっはっは!」
脇の下に大量の汗をかきながら、クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)は、購買部を離れた。
『王国のどっかにスパイでもいるのでしょうか。昼寝ばかりしていちゃまずいかも』
そう考えたものの、次の瞬間には、へーかが焼きそばパンを食べて涙ぐむ姿を思い浮かべていた。
「へーか、あなたのクロセルが今参りまーす」
ルシオン・エトランシュ(るしおん・えとらんしゅ)に投げ込まれた四谷 大助(しや・だいすけ)は、源 静(みなもとの・しずか)の上に落ちた。
「ちょっとぉ、痛いじゃないのぉ」
「ご、ごめんなさい!」
静は、ルシオンを見つめる。
「あら、だぁりん程じゃないけど、かなーり可愛いじゃない? そうね、痛かったけど、熱いキッスで勘弁してあげるわ」
ルシオンをしっかと抱えると、真っ赤な唇を「んー」と近づけるた。
「う、うわああぁ! それこそ勘弁!」
必死で逃れたルシオンは、人ごみをかき分けて逃げ出した。
「もぉ、恥ずかしがり屋さんなんだから」
音が聞こえそうなウィンクをすると、「おっしゃ、いくぜ!」と購買部に向かって突き進む。
「焼きそばパンくださいな。それとコーヒー牛乳ね」
「焼きそばパン、まだありますか」
購買部の前に、ひょこっと夜住 彩蓮(やずみ・さいれん)が顔を出した。
「おっ、運がいいねー。ここでは最後の1つだぜ」
獣 ニサト(けもの・にさと)が袋に入れる。
「やったぁ! それと蒼空きなこパンと野菜ジュースもくださーい!」
「はいよ」
買えた夜住 彩蓮(やずみ・さいれん)はニコニコだったが、焼きそばパン売り切った獣 ニサト(けもの・にさと)もニンマリしていた。
『かなーり儲かったぜ。あとは売上げを頂いて抜け出すだけだ』
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