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テロリスト強襲!? 学園の危機!!

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テロリスト強襲!? 学園の危機!!

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第一幕:事実と真実

 新設の蒼空学園分校で起きたテロリストと思わしき集団による占拠事件。
 多くの一般生徒が学園から離れた場所に避難し、遠巻きに学園の様子を眺めては不安や興奮をあらわにしていた。
 様々な憶測が飛び交う中を一組の男女が神妙な面持ちで歩いている。
 氷室 カイ(ひむろ・かい)リラ・プープルロート(りら・ぷーぷるろーと)だ。
「分校が占領されたと聞いて来てみたものの。何かおかしいな……」
 氷室は周囲の様子を見ながら言った。彼の視線の先には悲喜交々としている生徒たちの姿、そして彼らを落ち着かせていたりしている教員たちの姿があるが――
「生徒は慌ててるのがちらほらいるってのに教師の方は意外なほど落ち着いてるか。しかも話によればこの分校、セキュリティがしっかりしてると話題の新設校だったらしいな。これは……」
 続く声は小さい。
「訓練か?」
 彼の推測にリラが答えた。
「もしこれが主様の言うとおりに本当に訓練なら、他の生徒の皆様にはばれない様に行動しなければなりませんね。真実がどちらにせよ私たちのするべきことは変わりません」
 ですよね、と氷室に微笑みかける。
「そうだな。これだけ大事になってるんだ。すでに色々聞きまわってる奴がいると思うから、そいつから色々聞いておこう。リラは怪我人がいたらよろしく頼む」
「はい。頑張りましょう」

                                 ■

 占拠された校舎から少し離れた場所に位置している、一階建ての建物から出てくる一人の男性の姿があった。
 御凪 真人(みなぎ・まこと)だ。彼は校舎を見ながら生徒たちの避難している場所に足を向けた。
「あまり収穫はありませんでしたね」
 彼はそう呟くと出てきた建物に視線を送る。
 そこは事件の起きている校舎と連絡通路で繋がっており、普段は外来者用の窓口として利用されていた。
 御凪はそこで調べ物をしていたのであった。
「ルカルカさんたちは大丈夫でしょうか……」
 先行した友人たちのことが気にかかるが今考えても仕方がないことであった。
 彼は気を取り直すと成すべきことをするべく行動する。
「とりあえず彼女たちと合流しましょう」
 避難場所に着くと彼は集まっている生徒たちを見回した。
「どこにいるのでしょうか」
「正解は真人の後ろよ」
 ハッとして彼が振り向くと、そこには銃をこちらに構えているセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)がいた。
 彼女の隣には寄り添うように立つセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)の姿もある。
「校舎から離れているからって気を抜きすぎじゃない?」
「……そうかもしれませんね」
 苦笑する御凪の様子を見てセレアナが言った。
「気づかなかったというより、気づきたくなかったのよ」
「なんでよ?」
「私がこんな格好の人に出会ったらまず見て見ぬふりをするもの」
 こんな、というのは彼女二人の服装のことだ。
 セレンフィリティはビキニの上からロングコート、セレアナはレオタードの上からロングコートを着込んでいる。
 その容貌と肢体から周囲の男子生徒の視線を集めていた。
「素敵じゃない。あたしとお揃いで」
「私は恥ずかしいわよ」
「二人とも。とりあえず集めた情報をまとめませんか?」
 閑話休題。御凪の言葉に二人は頷くと調べたことを教えあった。
 セレンフィリティは生徒たちから、事件の起きる数日前から『学園周辺に不審な集団がいた』という事実と『その集団の中に教師の姿もあった』という情報を手に入れたことを話した。
「直接見たって生徒が何人かいたわ。教師まで犯罪に関わるとは、本当に世も末ね」
 彼女の言葉を補う様にセレアナが続ける。
「ちなみに見かけた教師は特定の一人ではなくて複数名よ」
「内通者は複数ですか……ところで避難している人たちの中には教員の方もいるように見受けられますが、そちらからはどのような話が?」
「特に何もなかったわ」
「えぇ、テンプレートみたいに同じような内容が返ってきましたけれど」
 セレアナが補足すると笑みを浮かべた。
「それは何とも奇妙ですね」
「何が奇妙なんだ?」
 声を掛けて来たのは氷室だ。隣にはリラの姿もある。
「氷室君じゃないですか。奇遇ですね」
「御凪も元気そうだな」
 彼らは御凪たちが今回の事件について調べているのであろうと検討をつけて話しかけたのであった。
 もちろんセレンフィリティたちが目立っていたのも理由の一つだ。
 御凪は氷室たちに事情を説明した。
「なるほどな。他には何かなかったのか?」
「まだ真人の調べて来たこと聞いてないわね」
 セレンフィリティに言われて御凪は思い出したように言った。
「すみません。失念していました」
 本当に気が抜けすぎですね、と照れ笑いを浮かべつつ続ける。
「俺の方は入校履歴から怪しい人物が出入りしていないか調べてみたのですが、他学園の方々も多く見学に来ているようで役に立つ情報はなかったですね。あぁ、ちょっと変わった子なら途中で見かけましたけど」
「変わった子ですか?」
 リラの質問に御凪は答えた。
「えぇ、ここの生徒のようでした。にゃは〜っ、とか笑いながら見てくるのでちょっと気になったんですけどね。話しかけたら急に顔色を変えてどこかへ行ってしまいました」
「その子あやしくない?」
 怪訝な表情をセレンフィリティは浮かべた。
 氷室もどことなく気にかけている様子である。
「たしかに怪しいかもしれませんが敵意は感じませんでしたから害はないかと」
「だろうな。気にはなるが問題はないだろ。今回の件はおそらく――」
 氷室の答えを先取るようにセレアナが口にした。
「学園側の自作自演の可能性があるわ」
 皆の視線が彼女に集まった。
 することは決まったという様に皆で頷くとリラの言葉を皮切りに行動を始めた。
「ここで出来ることはしましたし、皆さんを手助けしに行きましょう」