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リアクション
第六章 第5試合
イコンチーム
無限 大吾(むげん・だいご)&西表 アリカ(いりおもて・ありか)
ワーンズワイス・エルク(わーんずわいす・えるく)&コールリッジ・ネリィ(こーるりっじ・ねりぃ)
イーリャ・アカーシ(いーりゃ・あかーし)&ジヴァ・アカーシ(じう゛ぁ・あかーし)
非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)&ユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)&イグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)&アルティア・シールアム(あるてぃあ・しーるあむ)
高崎 朋美(たかさき・ともみ)&ウルスラーディ・シマック(うるすらーでぃ・しまっく)
巨大化チーム
ドクター・ハデス(どくたー・はです)
天樹 十六凪(あまぎ・いざなぎ)
高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)
聖剣勇者 カリバーン(せいけんゆうしゃ・かりばーん)
補助要員
「第5試合、イコンチームグリーナー小隊、リーダーは大吾、サブリーダーは近遠だよ。最終戦、戦闘開始!」
「ククク、仮想世界でも、我らの力をみせてやろう!」
街並みの中にハデスの声が響き渡る。
「ふふふ、何でもありのイコンシミュレータですか。せっかくなので、イコンパイロットの戦闘力を計るのに利用させてもらいましょう」
オリュンポスの参謀である十六凪は、今回のシミュレーションを通して、イコンとそのパイロットのデータを収集しようと企んでいた。
しかも今回の相手は小隊行動を取るというまたとない機会に、ますます重要な情報への期待が高まる。
「ちょ、ちょっと、兄さん! なんで私がこんな役なんですかっ?!」
ビキニアーマーを着て、ニューラルウィップを持った悪の女幹部の格好で10メートルに巨大化させられた咲耶は、肩の上で命令してくるハデスに文句を言うが、当のハデスはどこ吹く風で笑っている。
挙句の果てには人数合わせのために追加された補助要員を巻き込み、さらに巨大サイズへと進化させられた。
そんなハデスの様子に、咲耶は文句を言っても無駄だと悟り、開き直る。
「うう……、恥ずかしいけど、仕方ありません。こ、これもイコンチームのみなさんのためです!」
「ゆけ、サクヤ! ビルを破壊し、我ら秘密結社オリュンポスの恐ろしさを見せつけてやるのだっ!」
ハデスの声に合わせ、咲耶とともに5メートルに巨大化した部下の親衛隊員たちが一斉に街を破壊し始める。
遠慮のないその破壊行動に、辺りには凄まじい音が響いた。
拠点に定めたシンボルタワーに集結したグリーナー小隊の面々は、配置について最終確認を行う。
「皆、勝って鍋パーティをするぞ!」
「おう!」
CHP008OSアペイリアー・ヘーリオスの大吾の言葉に全員が返答すると、破壊の続く街中へと急行した。
アイペリアーの後に一定の距離を保ち、ワーンズワイスのCHP008デニスが続く。
「俺たちはまず周辺から潰していこう」
「はい!」
大吾の指示にワーンズワイスが頷く。
「今後、僕たち世界征服を企むオリュンポスと敵対する可能性のあるイコンたち。咲耶さんとエクスカリバーンのコンビと戦うことで、どれだけの性能があるか、見せてもらいましょう」
十六凪は興味深そうに咲耶たちを観察している。
大吾の合図で飛び出すと、ワーンズワイスはアサルトライフルで戦闘員たちの針路上へ攻撃してけん制を行う。
「ボクたちは援護をメインに、標的への狙撃を行いましょう。PT1は相手に隙が出たら前に出て、アペイリアーの指示で戦線を構築してください」
IRR-SFIDAE.L.A.E.N.A.I.を繰りながら、近遠が後衛に指示を出し、大吾たちを援護し易い様にイコンを移動させる。
朋美はメインパイロットであるウルスラーディに合図するとプラヴァー(重火力パック仕様)で近遠と対角線上に移動した。
近遠が空中から機動性を活かしつつ、前戦への援護射撃や狙撃を行う。
ユーリカも近遠と息を合わせながらマジックカノンでの狙撃やツインレーザーライフルでの狙撃・援護射撃を行っていく。
「グリーナー5、3時の方角から攻撃が来るであろう。気をつけるのだよ」
「りょ、了解!」
援護に集中していたイーリャは、イグナの警告に慌てて周囲を見回すとCHP008プラヴァーを退避させた。
イグナとアルティアはシミュレーターには入らず、外から画面で状況を把握しメンバーに伝える、オペレーターの役割を担っているのだ。
その頃控室では、ジヴァが一人でもやもやしていた。
今回はイーリャが黙って一人で訓練に登録してしまったため、ジヴァは参加することができない。
ただ、参加者のパートナーということで、控室への入室は特別に許可されていた。
「最近、こそこそ姿が見えなくなると思ってつけてみたら……訓練? 何やってんのよ、あの劣等種は。あんたの運動神経でメインなんかできるはずが……ちょっとシミュレータ見せて」
意地を張って画面を見ようとしなかったジヴァが、しびれを切らして戦況を確認する。
その間にも、世界征服を企む悪の秘密結社の幹部のハデスと、巨大怪人サクヤは戦闘員たちを使い、街を破壊し続けていた。
「見つけたよ! 西南方面巨大ビルの影に3体!」
アリカはアペイリアーのセンサーと、パイロットアビリティ超感覚で敵を索敵し、こそこそと逃げ回る戦闘員を捕捉しては大吾をはじめ、小隊全体に伝える。
大吾とエルクが攻撃に入るが、二人の攻撃の隙間をぬって2体が後方へと突き抜けた。
「こちらグリーナー3、デニス。一部前線が突破されました。敵戦闘員2体が後方に移動中です!」
コールリッジが後衛部隊に即座に状況を伝えた。
「グリーナー2さん、南南東方向のPT1さんを援護に行ってもらえないでしょうか」
「わかりました。グリーナー4、トライアンフ。聞こえますか?」
「はい!」
「グリーナー2、エレナイ。いったん前に出ます。引き続き後衛の陣形保持をお願いします」
「グリーナー4、トライアンフ、了解!」
近遠の指示に朋美が返す。
ウルスラーディが遮蔽物になる大型建物を利用して、移動し、味方の散開状況も確認しつつ、後衛組の支援攻撃が前衛の攻撃を邪魔せず効果的に行なえるよう計算する。
それを受けた朋美が後方射撃の構えに入った。
「いいかい、ボク? これは演習、あくまで演習。落ち着いて……集中すれば、当たるんだから!」
その後も朋美は地道な、教則通りの戦い方を基本に組み立てていく。
敵戦闘員が近寄ってくると、すかさずウルスラーディが転進させ距離を保つ。
近遠の援護も受けつつ、イーリャは大吾の指示で前衛の援護を行う。
「小隊で連携して単独行動は避ける、戦場では立ち止まらない、視界を広く……ふぅ、知識で覚えても実践はやっぱり大変だわ」
前線を突破した敵にギリギリまで気づけず、間一髪で避ける状況が何度かあった。
何とか体勢を立て直すと、やっとのことで銃剣付きビームアサルトライフルで攻撃に転じる。
「……やっぱり。悪戦苦闘しちゃって……あぁもう! 何やってんのよ、あのノロマ! そこはもっと突っ込めるでしょうが! 回避ももっと最小限に! あぁイライラする! あたしと変わんなさいよもう!」
控室ではジヴァが画面に向かって激を飛ばしていた。
ジヴァの能力はイーリャが最もよく知っている。だからこそイーリャは、今回の訓練に一人で挑んだのだ。
「この感覚……忘れちゃ駄目ね。自分が辛いと思った事、欲しいと思った物は覚えて開発に生かさなきゃ。ジヴァのサポートだけだと忘れてしまうのよね……あの子がどんなにすごいかって」
「っとに……何であたしまでイライラさせられなきゃならないのよ!!」
言いながらも、ジヴァは画面に映るイーリャの機体から目を離せないでいた。
「グリーナー1さん、10時の方向にも、気をつけるのでございます」
アルティアの警告にアリカが一斉に通信回線を開く。
「部隊西南西方面に巨大怪人サクヤ!」
「俺の名は、聖剣勇者カリバーン! いくぞ、神剣合体エクス・カリバーン!!」
カリバーンは、十六凪がコントロールするEXユニットと融合すると、IRR-SFIDA神剣勇者エクス・カリバーンと神剣合体した。
「この俺が、勇者としての心構えを鍛えてやろうっ! グリーナー小隊よ、かかってくるがいい!」
エクスカリバーンは咲耶たちと協力し、グリーナー小隊にイコン格闘技での連続攻撃をしかけてくる。
「グリーナー4さん、北東の方向にも、気をつけるのでございます」
「グリーナー1、上空から攻撃が来るであろう」
動き回る秘密結社オリュンポスの一団を、大吾と近遠が前後で連携を取りながら隊をまとめ、少しずつ減らしていく。
武器の有効最大射程をキープして近接されない様に立ち回り、相手武器の、有効射程内であれば、緩急をつけて回避行動も併せる近遠だったが、ふとした隙に敵の接近を許してしまう。
とっさにユーリカがデスサイズで攻撃を返した。そのまま容赦なくヴリトラ砲を使用した攻撃に繋げていく。
肩に乗ったハデスの行動予測、情報撹乱のサポートを受けながら、咲耶は手に持ったムチやサイコキネシスで攻撃を繰り出す。
精神感応で咲耶とハデスとの連携はぴったりだった。
グリーナー小隊の面々も、緻密に連絡を取り合いながら、様々な陣形を作り上げていく。
「こちらグリーナー2、エレナイ。グリーナー4、グリーナー5、一斉射撃に入りましょう!」
「グリーナー4、トライアンフ了解!」
「グリーナー5、PT1了解!」
近遠の合図で中衛遠衛から一斉射撃を行う。
その勢いの中で、大吾とワーンズワイスが一気に敵を薙ぎ払い、残るは巨大怪人サクヤとカリバーンのみとなった。
「よし、サクヤ! この俺を使えっ!」
エクスカリバーンが突然神剣形態に変形すると、咲耶が装備する。
「訓練のためにも、本気でいかせてもらいますっ!」
「行くぞ! 必殺カリバーンストラッシュ!」
すさまじい勢いで繰り出された大型超高周波ブレードの攻撃を、パイロットアビリティ不屈の闘志(25)を発動し、素早く動いて割り込んだ大吾がシールドや装甲で防ぎ味方を守る。
「俺達が居る限り、仲間を傷つけさせはしない!」
(なるほど、エクスカリバーンの必殺技を、ああ防ぎますか。これは面白いデータが取れましたね。戻ったら、早速データ解析と、今後の対応策、そしてエクスカリバーンの強化ですね)
十六凪の頭の中は、すでに今回のデータを活かしての次の対策が目まぐるしく回転していた。
再び陣形を整えたグリーナー小隊は、様々な角度から巨大怪人サクヤに攻撃をしかける。
「残り3分!」
ルカルカの声が響く。
なかなか決定打が放てない小隊。
「目を潰せ!」
機体の操縦をしながら戦況を観察していたウルスラーディが朋美に提案した。
「それだわ! こちらグリーナー4、トライアンフ。巨大怪人サクヤの目を狙います!」
「こちらグリーナー2、エレナイ。援護します」
「グリーナー5、PT1。エレナイと同時に動きます」
3機が一斉に巨大怪人サクヤの目に集中砲火を浴びせる。
「デニス、行くぞ!」
「了解!」
咲耶がひるんだ隙に、大吾はエルブレイカー近距離からのけん制をかける。
弾幕を張るように撃ったり、銃剣で切り払い、咲耶の注意を完全にひきつけた瞬間、背後からワーンズワイスがトドメの一撃を決めた。
「タイムアップ! イコンチーム有効戦力5、巨大化チーム1。勝者、イコンチーム!」
ルカルカの声に控室ではイコンチームのメンバーがわっと歓声を上げた。
ジヴァは一人ほっと胸をなでおろすのだった。
「今回はハンデや変則での試合もあったから、海鮮鍋はみんなで食べようね!」
ルカルカの言葉に巨大化チームからも歓声が上がる。
「でも、食べ終わった後は、巨大化チームのみんなは片づけの手伝いだよ」
にっこりと笑ったルカルカに、巨大化チームの面々は苦笑いを漏らした。
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