空京

校長室

終焉の絆 第二回

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終焉の絆 第二回
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【2】空の守護者

 H部隊にラグナロクが加わり、敵の攻撃起点となる発射口を破壊。
 忌々しい武器はもうない。あとは攻め立てるのみだ。
「それじゃ、私たちは側面から行きましょうか」
「この大きさ……素敵です。これが強さに直結していればいいのですがねぇ?」
 ラグナロクと共に召集された艦、ガーディアンヴァルキリーは機動要塞の側面についた。
 艦長であるミュート・エルゥ(みゅーと・えるぅ)は敵の大きさに期待を隠せない。
「ミュート。楽しむのはいいけど、ちゃんと仕事するわよ?」
「勿論ですぅ。ですが、攻撃は他イコン部隊にお任せするですよぉ」
「それはいいけれど……わざと攻撃に当たりにいったりしないでよ?」
 リネン・エルフト(りねん・えるふと)がパートナーを諭すように喋る。
 対してミュートは笑顔のまま、「分かっていますぅ」と呟く。
「窮地は、脱してこそ楽しいのですよぉ。
 それではウィッチクラフトライフルに微力支援を行いますですぅ」
「だ、そうよ。そっちもよろしくね」

「当然ですわ。このノート・シュヴェルトライテ(のーと・しゅう゛るとらいて)が駆るフリムファクシ・アルスヴィズがあれば、どれだけの敵が来ようと撃墜してみせますわ」
 リネンたちから通信を受けたノートが高らかに宣言する。
 彼女たちはガーディアンヴァルキリーの逆側に陣取っていた。
 風森 望(かぜもり・のぞみ)は艦長補佐として、観測士、砲撃手、通信士、操舵手に迅速に指示を出す。
「ブラギ、敵機動要塞との適正戦闘距離を割り出し、
 ゲフィオンは味方イコンとの連絡を継続して下さい。
 ギュルヴィ、主砲の発射後の反動を考え速度調整を、
 ハール、荷電粒子砲のチャージは……十分のようですね。艦長の合図後、即座に砲撃を」
 無駄のない洗練された指示が各員に伝えられる。
 それを見ていたノートは何も言わず、悠然と立つのみ。
「では、不埒な輩にはそれ相応の対応で望むと参りましょうか、お嬢様」
「ええ。そうですわね。この艦の主砲をぶち当ててやるのですわ! 御撃ちなさい!」
 ノートの発射合図に砲撃手が反応して、主砲が大容量のエネルギーを伴って発射される。
「命中を確認いたしました。この後も副砲での攻撃を続けます」
「ええ。ただ、味方の攻撃が途切れたのならば、艦首大型回転衝角で貫いてやりますわ!」

「フリムファクシから荷電粒子砲の攻撃を確認しましたですぅ」
「それはいいけど……敵が来たわね、ようやくだけれど」
 グラヒトリの護衛と、前面に展開された艦隊の襲撃を行っていた敵イコンが、
 側面に陣取るガーディイアンヴァルキリーとフリムファクシ・アルスヴィズを迎撃するべく飛んでくる。
「対応が遅すぎますねぇ? この窮地を抱いたまま撃沈するとよいのですぅ」
「それはいい案ね。……じゃイコン部隊に出てもらいましょうか」
 リネンが笑う。
 と、ガーディアンヴァルキリーからイコンが二機飛び立つ。