波羅蜜多実業高等学校

リアクション

ＬＡＳＴ　ＳＣＥＮＥ

　夜が明け、椎名の携帯は小鳥遊が拾ったことが分かり、無事に返却。椎名はみんなに謝り、元の優しく明るい少年に戻った。
　ちょうど椎名たちの傍にいた永夷が、高瀬からお礼のキスを頬に受けているのを見て、ヴァーナーが椎名の頬に「友達のキス」をしようとしたが、
「だ、ダメだよ！　俺には京子ちゃんがいるんだ！」
　と頑なに拒否をしたため、ヴァーナーが泣き出したりもした。
　もう一人の錯乱者である変熊は、未だに炬燵布団に巻かれ寝ている。一応、猫とマークレディが見張っているが、一緒に戦った朱宮とミハエルは関わることを断固拒否した。
　セトはどうしてソアたちと癒月たちが助けに入ったのか不思議に思ったが、ショウの話で事情が分かった。
「最初はソアたち、メイベルたちと一緒に脱出したんだが、気付いたら癒月たちも一緒に脱出していた。脱出口で見張っていたフィルとセラの話を聞いて、脱出口に残る見張り番と救援に青楽亭へ行くグループに別れたんだが、ソアたちは空飛ぶ箒があったし、癒月はどうしてもソアと一緒に行きたいと言ったからな」
　その癒月はソアに言い寄って、
「ご主人に近寄るじゃねえ！」
　見事に雪国ベアに殴り飛ばされ、
「……ユズ、帰りましょう」
　癒月は疲れた顔のアラミルにズルズル引き摺られていった。
　
　最後に地下水路に関して、それぞれの体験談と偶然にも羽入がカメラを地面に落とした時に撮れていた写真も添えて、光零の議会に提出したが、水路を破壊した事はいかなる事情があっても許されない。財政難に苦しむ光零は、『この街はみなさんの善意で成り立っています』をコンセプトに、『連帯責任』・『喧嘩両成敗』の精神にのっとり、修繕工事を命じられた。
　悪夢に怯えながらの昼間の作業となった。
　
　後日、地下水路へのマンホールと脱出口は、外からも中からも開けられない様に、さらに強力なロックが施された。