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狙われた学園~シャンバラ教導団編~1話/全2話

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狙われた学園~シャンバラ教導団編~1話/全2話

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 そのころ、後鳥羽 樹理(ごとば・じゅり)マノファ・タウレトア(まのふぁ・たうれとあ)はひたすらフラッグを目指して突き進んでいた。
 スタート前、二人は今回の訓練について話し合っていた。
「今回の樹理ちゃんたちの目標は、真面目にゴブリンやワームを倒すことです!」
「ちょっと待って。話が変わってるじゃん?」
「大事なのは、まず自分達が不穏分子と間違われないことなのでぇす!」
「ふむふむ」
「みんながゴブリンさんを倒せばぁ、倒していない人が不穏分子だよね!」
「それ…現実性ないんじゃ…」
「ふふふ。樹理ちゃんの思考はここでタイムリープするのでぇす! 普通の人は、ゴブリンを倒していない人が不穏分子と考えて戦うので、味方も不穏分子も減っていくのです!」
「まあね…」
「残った味方が樹理ちゃんに攻撃をかけてきたらそれが不穏分子なので倒せば全ての不穏分子を倒せたことになります! 攻撃してこなければ生き残りは全て不穏分子ではないわけだよね!」
「…何かおかしいような気がする…ふあー」
 マノファは連日の同人作家活動が忙しく、(ペンネームは「惨状パンダ」。印刷部数、100部)樹理の穴だらけの理論にも突っ込もうとはしなかった。そして二人は頑張った。ワームやゴブリンとも真面目に戦ったが、ほとんど先に行った生徒たちが片付けてくれていた。二人は頑張った。監視哨の暴走で先に行った生徒たちは足止めを食らっていた。様々な試練を上手く乗り越え…というか、二人の頑張りもあったが、運がかなり味方した結果、二人は最速で滝上にたどり着いたのだ。
「やった! フラッグをとります!」
 樹理は早速、岸と岸に渡されたロープをつたい、ずりずりとフラッグまで張っていく。マノファは連日の徹夜にこの運動で、岸辺で眠りに就いてしまった。
 
 
 その頃、空飛ぶ箒を使って鼻歌交じりに下界の喧噪はどこへやら、ウィルネストがようやく到着する。
「あーあ、俺より先に到着するなんて、なんてお嬢さんたちだ…まあ、いいです。ここから高みの見物と行きますか。しかし根性がありますね、あの教導団のおだんごのお嬢さんは」

「ちょっとーそこの教導団のお嬢さーん!」
 頑張る樹理に頭上から声が降ってくる。
「はう!?」
 樹理が頭上を見上げると、メニエス・レイン(めにえす・れいん)が空飛ぶ箒を使って上空を旋回している。蒼空学園と教導団が大嫌いで、まさにこちらはホンモノの高みの見物を気取りつつも、不審者がいないかを探っていたメニエスを樹理はぼけっと眺める。
「なんですかー?」
 ずりずりと這いながら、樹理はようやくフラッグまでたどり着く。
「教導団の連中は嫌いだけど、あなたの頑張りに免じて、いいこと教えてあげるわ〜」
「何をです〜?」
「フラッグの下に爆弾が仕掛けられてるわよ」
「んぎゃ−!!」
 樹理がフラッグを抜いた瞬間、水中に隠されていた爆弾が爆発し、ロープがぶつっと切れてしまう。とっさに樹理はそれに掴まり、滝からの落下を防ぐことは出来たが、水中に投げ出されてしまう。
「あとは自分で頑張ってね」
「がばぶばがががが…」
 爆音でびっくりしてマノファが起き、ウィルネストが慌てて箒に乗って、樹理を助けに飛び立つ。
「早く俺の手に掴まって!」
「がばあばあば」
 そうはいっても、流れが速すぎて樹理はロープを持つのに必死で、ウィルネストの手を掴むことができない。なんとかウィルネストが樹理の服を掴んで、流されるのを防ぐことに必死だった。
 そこに目玉焼きの食べ方論争チームや、監視哨に足止めされていたメンバーも到着し、切れたロープを必死に岸にたぐり寄せ、樹理を助けようとする。
 うんちょう タンが
「どっせいー!!」
 とかけ声を上げ、それに呼応する形で皆がロープを引き上げる。途中から、輝寛が軍用バイクにロープを掛け、思い切りアクセルを吹かすと一気にロープと水の中の樹理は引き上げられ、岸にたどり着くことが出来た。
「わわ、樹理〜!? 大丈夫じゃん〜!?」
 さすがのマノファも樹理が心配でたまらない様子だった。
「じゅ、樹理ちゃん、やりましたよ…み、みなさん、ありがとうごじゃいます…」
 樹理はゼエゼエ言いながら、水を吐いているが、その手にはしっかりとバルーンタイプのフラッグが握られている。
 追いついてきた亮一と梓も駆け寄ってきた。
「私に任せてください!」
 梓が樹理にヒールを施し、介抱に当たる。
「良かった…」
 目玉焼き論争チームも、フラッグは取れなかったが、ほっと一安心する。ただ、祥子だけが深刻な顔をして、呟いていた。
「目玉焼きは何で食べたらいいのかしら…」
「フラッグの下に爆弾なんて…野蛮だな」
 亮一が吐き捨てる。
「幸い、水の中だったからそれほどの被害はなかったが、思った以上に敵は本気のようだね」
アクィラの発言におびえたのか、クリスがそっと、アクィラに寄り添う。