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闇世界の廃校舎(第1回/全3回)

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闇世界の廃校舎(第1回/全3回)

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第1章 トンネルの向こう側

-PM15:50-

 蒼空学園の近くに、使われていない不気味なトンネルが存在する。
 そこに立ち入った者はゴーストタウンに迷い込んでしまい生きて帰ってこれないという、恐ろしい噂がパラミタ中に広まっていた。
 トンネルにはPM16:00丁度になると、ゴーストタウンへ入ることができるようだ。
 興味本位で遊びに行った者たちは数日後、顔を鋭利な刃物で切り取られような亡骸となってしまい、トンネルの入り口付近に転がっていた。
「いっぱいお弁当つくったから、朝方まで遊べそうよね♪」
 噂を聞きつけた初島 伽耶(ういしま・かや)は、リュックにめいっぱい弁当を入れてトンネルの入り口前で楽しそうにニヤッと笑う。
「そうね、お腹が減ってちゃ動けないし」
 彼女の隣にいるアルラミナ・オーガスティア(あるらみな・おーがすてぃあ)もウキウキ気分だった。
「もうすぐ時間だな」
 国頭 武尊(くにがみ・たける)は携帯の時間を見ながら、今か今かと待ちわびている。
「迷い込んだ人たちはまだ生きているのでしょうか?」
「さぁな、もし見つけたら助けてやるか」
 シーリル・ハーマン(しーりる・はーまん)の問いかけに、武尊が答えた。
「見つけることができたらバイクに乗せて、ちゃんと連れて帰ってやろうぜ」
「そうですね、せっかく生存者を放っておけませんし」
 スパイクバイクにエンジンをかけながら言う猫井 又吉(ねこい・またきち)に、シーリルはコクリと頷く。
「トンネルの中に入ったとたんに、何か出てきそうな感じだけどな」
 出口が見えない薄暗いトンネルの中を見ながら、顔を顰めて久多 隆光(くた・たかみつ)は不気味なことをさらりと言い放つ。
「死者の町ゴーストタウンか・・・面白そうだな」
「途中で帰りたい〜なぁんて・・・、泣き言いっても知らないわよ」
 行く気満々のベア・ヘルロット(べあ・へるろっと)に、マナ・ファクトリ(まな・ふぁくとり)がボソッと毒を含んだ口調で言う。
「なっ・・・誰が泣くか!」
抗議する彼に対してマナは、携帯電話に表示されている時間を見ながら無視する。



「そこにいる人たちも噂の恐怖体験をしに行くのでござろうか」
 トンネルの前でたむろしている武尊を見つけ、ゴザルザ ゲッコー(ござるざ・げっこー)が彼らの人数を数える。
「たぶんそうなんじゃないの?ほら向こうにも沢山人がいるわよ。」
イリスキュスティス・ルーフェンムーン(いりすきゅすてぃす・るーふぇんむーん)は100くらいいそうな大人数の集団を指差す。
「にゃにゃーにゃにゃぁーん(訳:たしかに結構な大人数ですね)」
ゲッコーたちしか分からないようなネコ語で、ゆる族のルートヴィヒ・グレフェンベルグ(るーとう゛ぃひ・ぐれふぇんべるぐ)が喋る。
「もう入れますね」
影野 陽太(かげの・ようた)は携帯電話の時間を見て確認した。
「よっしゃ行くぜー!」
「えぇ、参りましょう」
武尊たちはトンネルの中を通り、ゴーストタウンへ向かって行った。



「まだ夕方の時間のはずでござるが・・・ここはだいぶ薄暗いでござるな」
 ゲッコーがハンドライトの灯りをつけた。
 町の中に入り時間を確認しようと、伽耶が携帯電話の時刻を見る。
「―・・・あれ?通り抜けるまで1分くらいは経ったと思うんだけど・・・」
「数秒で来れたってことじゃないの」
「そう・・・なのかな・・・」
 まったく気に留めないアルラミナに対して、彼女は不思議そうな顔をした。
「つーか・・・まだ明るい時間帯のはずだが、空がめっちゃ暗いよな・・・」
 漆黒の空を仰ぎ見る隆光は眉を潜めて言う。
「たしかにそうね・・・視界が悪いから気をつけて進まなきゃいけないわね」
「おーい!こっちに入れそうな建物があるぞ」
 5分後、古ぼけた校舎の前でバイクを止めた武尊は、彼女たちを大声で呼び寄せる。
「誰かいるんでしょうか・・・」
 シーリルがそっと扉を開けて、中の様子を覗き見た。
「さっさと入ってくれ、後がつかえているんだ」
「きゃぁあっ」
 隆光が軽くシーリルの背を押す。
「何か危ねぇのがいたら、この俺が退治してやるぜ」
 彼らは周囲を警戒しながら、校舎内を進んで行った。
「人の気配がしないわね。生存者なんているのかしら?」
「どうだろうな、先に進めば誰かいるかもしれないぜ」
 そう軽く言うとマナ・ファクトリ(まな・ふぁくとり)ベア・ヘルロット(べあ・へるろっと)も建物へ入る。