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トウモロコシ農場を救え

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トウモロコシ農場を救え

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第2章


 ブォォッ! ブォォォォッ! ブォォォォォォォ・・
ガラガラガラー!

 バイクの爆音に続いて、メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)たちが前日のうちに畑にしかけた“鳴子”がけたたましい音をたてて鳴り響いた。
「あらあら、大変ですわ」
「きたようですねぇ〜」
「ふたりとものんきにしてないで、準備しなくちゃ!」
 鷹揚にかまえるメイベルとフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)セシリア・ライト(せしりあ・らいと)が急かす。
「まだ大丈夫ですよぉ〜 さらなる罠を用意してますからぁ〜」
 メイベルがにっこりと微笑んだ。
 襲撃してくる敵の機動力を削ぐために、建物周りの要所要所に段差(落とし穴)と作っていたのだ。


「なんじゃごらぁああ?!」
「っさいがや! ぶっ壊したれや!!」
 その頃のトウモロコシ畑では、ヤンキーたちが鳴り響く鳴子に悪態をつき、鳴子をぶら下げている縄を乱暴に引きちぎる。
 そして適当なところで足止めをくったのを幸いに、すぐに気を取り直すとトウモロコシを収穫(略奪)しはじめた。


「いきなりなんて事をするのでしょうか?!」
「さすがパラ実だナ、セオリーどおりにはいかないようダ」
「……」
 その様子を農家の中から窺っていた菅野 葉月(すがの・はづき)は悔しそうだ。パートナーのミーナ・コーミア(みーな・こーみあ)とシー・イーは呆れ果て、セアリアは悲しそうに目を伏せた。
「ごめんね、れいし、駄々こねちゃって来てくれなかった」
 ラヴィン・エイジス(らうぃん・えいじす)は、パートナーが一緒に来てくれなかった事をすまなさそうに謝る。
「大丈夫です! 怜史さんはきっと後から来てくれます! そんなことよりも今はボクたちにできることを考えましょう!」
 ミユ・シュネルフォイヤー(みゆ・しゅねるふぉいやー)が肩を落とすラヴィンたちを奮い立たせるように言うと、パートナーが早く来てくれるように祈りだした。
「そのような場合ではないようですよ」
 葉月が皆の注意を窓の外へ向けた。
 農家の周りの、禁猟区だのトラッパーで仕掛けた罠だの生石灰だのを張り巡らせた中に侵入者があったようだ。
「あだだだだっ?!」
 農家からの一斉攻撃に男の声があがる。
「れいしぃ?!」
「来てくれたのですね!」
「べ、べつに心配になったわけではないのですよ、そこのところ勘違いしないようにしていただきたいですな」
 ミユの祈りに応えたのか切縞 怜史(きりしま・れいし)が様子を見に来たのだ。
 ついでに守備に問題がないかも身をもって確認してくれたようだ。

 そうこうするうち、改造バイクの一隊が、こちらへと向かって進撃を始めたらしい。
「おいでのようですな……」
 バイクの爆音に怜史が気を取り直し、自らのスパイクバイクのエンジンをかけた。
「ところで王ちゃんの姿が見えんようじゃが?」
「たしか、携帯の電波の届くところまで行ったはずダ」
 棚畑 亞狗理(たなはた・あぐり)の疑問にシー・イーが答えた。
 王大鋸は応援を要請するために携帯の電波が入るところまで、広大なトウモロコシ畑の先まで“歩いて”行ったのだ。
 まだ帰ってきてなかったのか……
「ま、王ちゃんはどうでもいいか……シー・イー、セアリア、俺様がついとる、これ以上連中の好きなようにゃぁさせんからな!」
「亞狗理、あまり度を越さないように。敵を倒すことも大切ですが、それ以上に畑を守ることのほうが大切です」
 亞狗理がアーミーショットガンを担ぎトウモロコシ畑に続く農道へと向かい、それにバウエル・トオル(ばうえる・とおる)が続く。
 それに習い、それぞれ得意な得物を手に農家守衛のために散っていった。