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リアクション
ホテルの中にある温泉は、騎沙良 詩穂(きさら・しほ)の手によって綺麗に掃除がされていた。
「こら、そこ! タオルを湯船に浸けるのはマナー違反ですよー!」
そんな温泉で温泉奉行ならぬ、温泉ヒーローをやっているのはクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)だ。
「こらこら、そこ! 温泉に入る前に体を洗いなさーい!」
けっこうウザいかもしれない。
「温泉のマナーを守らない人が多すぎですよ! 温泉の秩序を守るため、ヒーローとして、また温泉の紳士たる俺が、温泉マナー違反者に目を光らせなければ!」
決意を固め、腰に巻いたタオル一丁の姿で拳を握った。
「これが噂に聞く温泉でござるか!? 拙者、温泉を生で見るのは初めてでござるよ。テレビでしか見た事がなかったでござるが……気持ち良さそうでござるなぁ」
温泉に心奪われているのは童話 スノーマン(どうわ・すのーまん)だ。
スノーマンの目線の先にはゆっくりと湯船に浸かっているエヴァルトの姿もある。
「どれ……拙者も飛び込んでみるでござるよ!」
そう言うと、スノーマンは本当に温泉に飛び込んだ。
「なかなかに気持ち良いでござるなぁ……疲れが溶けだすとは聞いていたでござるが、ああ、身も心も溶けていくようでござる……」
「これこれこれ、スノーマン! 嬉しいのは分かりますが、温泉に飛び込むのはマナー違反で……って、融けてる融けてる!」
温泉に飛び込む音で気がついたクロセルが慌てて、スノーマンのもとに駆け寄る。
「ちょっ!!! ホイップちゃーーーん、かき氷を沢山持ってきてくださーーーいッ!」
クロセルは温泉の入り口で待機していたはずのホイップの名を叫ぶ……が、来ない。
「ええっ!? ホイップちゃん!?」
入口へと走り出そうとしたところへ、詩穂がやってきた。
「ホイップちゃんはお疲れですからね! 詩穂がお手伝いさせて頂きます! …………どうしましょう?」
来たは良いが、スノーマンが融けるのを止まらせる氷術などがなく、詩穂も困ってしまった。
「とりあえず! 温泉の外に出しましょう!」
詩穂とクロセルが2人で力を合わせて、なんとかスノーマンを外に出す事には成功したが……融けてる。
「ごめんなさいっ! 何かありましたー?」
そこへ丁度、ホイップが駆けつけた。
「ホイップちゃん! すぐにスノーマンに氷術をお願いします!!!」
「はいっ!」
クロセルに言われ、急いで氷術を発動。
なんとかスノーマンは復活することが出来た。
「すまなかった……今後は気を付けるでござる。温泉とは怖いところでござるなぁ」
温泉が怖いというのはスノーマン限定だろう。
「助かりました……さっきまで詩穂さんが……おや?」
「えっ? 詩穂さん?」
さっきまでいたはずの詩穂の姿はもうなかった。
ホイップに内緒で色々とお手伝いをしていたのだ。
本当はホテルに宿泊で来たのだが、ホイップを見つけるなり『何事も無く、無事に終わるわけがないじゃないですか! 何故ならホイップちゃんですよ!!』というもっともらしい理由でこっそりとお手伝いしていたのだった。
さっきもホイップが疲れで居眠りをしているところへ、ナーシングでマッサージをしていたらしい。
騒がしくはなってしまったが、クロセルとエヴァルトは温かい温泉を堪能し、スノーマンは氷温泉を作ってもらって満喫したのだった。
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