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ミッドナイトシャンバラ2

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こんな物買っちゃったコーナー

 
 
「こんな物買っちゃったコーナー♪
 最初のお便りです。
 前回は採用ありがとうございました。
 おかげで彼女と海で一緒にタコ料理を作ることができました。
 これも採用のおかげですかね。
 採用されるか、しないかでドキドキしてましたけど、その甲斐がありました。
 あら、前回読まれた方かな。
 先日まで凄く暑かったのですけど、最近急に寒くなってきています。
 そんな時、街で素敵な土鍋に出会いました。
 土鍋!?
 タジン鍋に似ているのですけど、蒸し鍋にも、普通に使うにも丁度良いので友達と鍋をつついてます。
 いつもは鳥、羊を使った鍋が多いのですけど、この季節は脂ののった魚が多いので、生姜を利かせたツミレ鍋が好評です。
 最初は鍋というものを珍しそうにしていたのですが、今では『やるよ』って声をかけると食材を持ってきてくれます。
 ラビオリとか、キャベツは大歓迎ですが、リコリスは合いませんね。
 さすがにリコリスは自殺行為というか、完全に闇鍋になっちゃいますね。
 シャレードさん。
 シャレードさんはどんな鍋が好きですか?
 ペンネーム、カレーはやっぱり難しいさんからですが、鍋ねえ。まだちょっと早い気もするけれど。
 豆乳鍋なんか意外と好きですよ。牡蠣なんか入れるといい出汁が出て美味しいですねえ。
 つみれでしたら、鳥なんかも美味しそうですね。
 いっそ、ペンネームにちなんでカレー鍋なんかもいいんじゃないですか?」
 
    ★    ★    ★
 
「ふんふん。豆乳に、牡蠣に、鶏肉のつみれに、カレー鍋ねぇ。意外と面白そうだねぇ。今度試してみようかなぁ。さぁ、どうぞ。美味しいよ……なんてね」(V)
 ラジオを聞きながら、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)はこまめにメモをとっていった。
 次のデートでは、二人でじっくりと煮込める鍋がやりたいと思っていたのだ。恋人同士でつつく鍋は、最高ではないのだろうか。
 
    ★    ★    ★
 
「次のかっちゃった人は、ペンネーム、でも本当に欲しいのは胸の脂肪さんです。
 こんばんわ!シャレさん!勝手にあだ名で呼ばせて頂きますね!初めて投稿するのでドキドキなのですよ♪買っちゃったというより飼っちゃったんですが、この前とうとう猫さんを飼うことになったのですよ!その時お母さんに飼っちゃ駄目って言われたんですが、オルフェも負けないで説得したら最終的に判って貰えましたー♪最近は色んな芸を覚えるようになって、見ていてとても可愛いのです!シャレさんは飼うなら猫派ですか?犬派ですか?ーオルフェリア・クインレイナー(おるふぇりあ・くいんれいなー)
 って、ああ、つい最後まで呼んじゃいましたけど、名前ばれちゃってよかったんでしょうか。みなさん、一応聞かなかったことにしてください。
 で、猫派か犬派かと聞かれたら、ずばり猫派ですね。いえ、ワンちゃんもかわいいですけれどもね。
 猫飼いたいんですけれど、マンションだから飼えないんですよねー。いいなあ、オルフェリアさんは猫が飼えて……」
 
    ★    ★    ★
 
「今、ラジオで読まれたのは、オルフェリア様の投稿したハガキですよね? おめでとうございます」
 一緒に放送を聞いていたミリオン・アインカノック(みりおん・あいんかのっく)が穏やかな笑顔を浮かべてオルフェリア・クインレイナーに言った。
「お家の御影ちゃんのことが読まれたよー」
 オルフェリア・クインレイナーが、嬉しそうに答える。
「わーい、御影のことが読まれたー。御影のハガキも読まれたんだよね」
 名前を呼ばれて、夕夜御影が喜んでオルフェリア・クインレイナーに駆け寄ろうとした。
 なんのことはない、オルフェリア・クインレイナーが投稿で言っていた猫とは、猫型獣人である夕夜御影のことだったのだ。
「む、黒にゃんこも読まれたのですね。でもちょっとうるさいから黙ってもらえないですか」
 一瞬の早業で抜き放った最古の銃を夕夜御影の鼻先に押しあてて突進を止めたミリオン・アインカノックが、冷ややかに言い放った。
「サー! イエス・サー!」
 ぴきんと硬直した夕夜御影が、ミリオン・アインカノックに対して敬礼してフリーズする。これも、ミリオン・アインカノックによる調教の成果である。
「いいなあ、二人とも読まれて……。そんな予感はあったんだよなあ。どうせ、自分はただの黒い箱だし。それに、確かに御影を引き取ることには反対したけれど、いつお母さんにされてしまったんだ!? まあいいや。どうせ、黒い箱だし……」
 騒がしい三人とは対照的に、『ブラックボックス』 アンノーン(ぶらっくぼっくす・あんのーん)は部屋の隅で一人膝をかかえてつぶやいていた。