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インフラ整備も楽じゃない!

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インフラ整備も楽じゃない!
インフラ整備も楽じゃない! インフラ整備も楽じゃない!

リアクション

 牧神の猟犬が作業員達の身を護るように放たれていた。島津 ヴァルナ(しまづ・う゛ぁるな)の『幻獣の主』によって、猟犬はゴブリンの襲撃に備え鼻を利かせていた。
「こちらです。心配は要りません!」
 作業員の誘導をしつつ、時折辛そうに走っている作業員の手当てをする為にヴァルナは地上に降りていた。
「ウォオオーン!」
 牧神の猟犬の鼻がピクンと動き、大きく遠吠えを挙げる。
「敵! ?」
 ヴァルナが周囲を見渡すと2体のゴブリンが此方へ逃げてきていた。
「まだ、作業員が居るのに……」
「私が壁になるよ!」
 猟犬の声を聞きつけて、島本 優子(しまもと・ゆうこ)が駆けつけて来てくれていた。
「頼みますわ!」
 ヴァルナは『荒ぶる力』を発動させ、優子の援護を行う。
「助かるよ」
 優子は『光条兵器』により拳銃を出現させ、掴み取る。
「怪我人は出させたくないからね。一気に殲滅するよ」
 ゴブリンの元へ優子は自ら飛び込み、トリガーを連射する。
「はぁあああっ!!!!」
 頭、胴、四肢に近接から確実に銃弾を撃ち込む!反撃を貰う前に、確実に腕を撃ち反撃を封じていた。
「これで終わりよ」
 最後の一体を倒し、優子は光条兵器を消失させる。
 牧神の猟犬が周囲を警戒するが、ゴブリンの気配は無いようだった。
「こっちにゴブリンは居ないよ!」
「ありがとうございます。直ぐに作業員の避難を終えさせますわ」
 「ゴ、ゴブリンが来たぞ!」
 その作業員の声がマクスウェル・ウォーバーグ(まくすうぇる・うぉーばーぐ)にとって、合図だった。そしてゲドー・ジャドウ(げどー・じゃどう)にとっても。
「まずは、あの作業員からじゃん」
 ゲドーは揺れる金のポニーテールの作業員に先ずはと標的を絞っていた。作業員に扮したマクスウェルは、逃げる作業員とは反対の方向へ走っていく。
「やっちまえ、ゾンビ1号」
 予め『アンデッド:ゾンビ』を召喚し、作業着、軽帽、マスク姿で作業員に扮したゾンビでマクスウェルに襲い掛かる。
「ん?」
 ソンビ1号の様子がおかしい。何かに震えているようだった。
「あれ? あいつは何をやってやがんだ?」
 ゲドーの位置からは見えないが、既にマクスウェルの銃口がゾンビの額に当てられていた。
「何だ? 逃げ遅れたのか? 逃げるなら向こうだ」
 後ろを見ていないのか、ゾンビだとは気付いていないが銃口はゾンビの額にぐりぐりと圧し付ける。
「早く行け!自分はゴブリンの襲撃に備えている」
 何度も果敢に挑むゾンビ1号だが、その度に銃口を額にぐりぐりとやられ引き返すを繰り返していた。
「(カム・バーック!)」
 ゾンビにしか聞こえない小さな声で、ゲドーはゾンビ1号を呼び戻す。
「あれはダメだ! 間抜けなゴブリンに切り替えて憂さ晴らししてやるぜ」
 「ブヒッ、ブヒブヒ♪」
「行け!今度こそ、やってやるじゃん!」
 ご機嫌な顔でやって来るゴブリンの前に、先程のゾンビ1号を差し出す。
「ブヒ? ブヒヒ!」
 キョロキョロと挙動がおかしいゾンビだが、ゴブリンにとっては格好の獲物だった。
「ブヒー! !」
 剣を片手に作業員に襲い掛かる。
「ヴォオオー!」
 ゴブリンの側に作業員が振り向いた途端、腐った顔が剥き出しになる。
「! $ % * @ ” !」
 ゴブリンは謎の叫び声を挙げて、卒倒した。
「ヒャッハー! まずは、一匹目だ。何か調子が出てきたぜ、ドンドン楽しませて貰おうか!」
 ゲドーは更に別のアンデットを召喚し、戦線へ赴いた。
「はっはー、こいつは良い!ぶち壊してやろう」
 紫月 睡蓮(しづき・すいれん)から何ともぎこちない声が聞こえてくる。
「私も参加するのである!『天のいかづち』!」
 エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)は雷撃により、小型トラクターを一気に破壊する。少量の燃料が敢えて残してある為、激しく燃え爆発する。
(激しく燃えちゃってます……)
 内心ビクビクしながら、睡蓮達は次々と重機を破壊していく。
「『サイコキネシス』……」
 睡蓮のスキルで小型飛空挺を持ち上げ、一気に落とす。重機同士が重なり合い、大きな衝撃音と地響きが響き渡る。
「あいつら……使えそうだな」
 遠くから目を光らせ、激しく暴れるエクス達を見る者が居た。
 「行くぜ、アーヴィング!」
 天真 ヒロユキ(あまざね・ひろゆき)は狩人の弓を手に、次々と矢を射る。トラクター等のガラスが割れ、直ぐには乗れなくなってしまう。
「『雷術』」
 テオドラ・アーヴィング(ておどら・あーう゛ぃんぐ)は電気を操り、電子機器を瞬く間にショートさせていく。多くの電子機器が壊れ、小型飛空挺にいたっては只の塊でしかない。
「やるな、俺も負けてらんねーぜ。『野生の蹂躙』!」
 街道を突如出現した魔獣達が走り抜けていく。魔獣達が走り抜けた街道はボコボコになり、街道の使用は難しくなっていた。
「は、これで街道の整備も中止を考える必要が出てくるってもんだろ」
「そうですね。自然環境を少しでも護るためには、これぐらいしなくては!」
 「良いねえ! あいつら楽しんでるじゃねえか!」
 ゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)がヒロユキ達を眺めているとゴブリンがその間を通過していく。
「おぉ、なんだかイカスモヒカンしたゴブリンがいやがるぜ! ガハハ、待ちやがれ!」
 ゲブーがゴブリンを呼び止めると、ゴブリンがゲブーのモヒカンに注目していた。
「ブヒ、ブヒ、ブヒー」
「なになに、俺様のモヒカンもイカスだって? 分かる奴だな! なんかしらんが俺様も手伝ってやるぜ!」
 ゲブーはゴブリンと一緒に金目の物を探す為に、コントラクターの襲撃に赴いた。
 「そう簡単に事が進むと思ったか?」
「環菜の名前が使われるこの場所で、狼藉は許しません」
「も、モッヒィ! なんでこんなひどいことを・・・ゆるせねぇ!」
 良く見ると先程のモヒカンゴブリンが昏倒させられていた。
「このゲブー様とモヒカンをなめんなよ!」
 勢い良く立ち上がったがゲブーだったが、
「あれぇぇぇぇ」
 同時に巻かれていた『しびれ粉』で合えなく動けなくなってしまった。
「はあ、全く……」
 月夜は呆れた顔で倒れ付すゲブーを見ていた。
 刀真と月夜は担当地区のゴブリンを排除し、偶然にもこのポイントに来ていた。
「お前達は此処で殲滅する」
「ど、どうします?」
「諦めるしかないのである……」
 睡蓮とエクスの前に現れたのは、圧倒的な殺気を放つ2人の怪物だった。
「顕現せよ…『黒の剣』!」
 剣を掴むと刀真は即座に動く。
「落ちろ……っ」
 迫る刀真の剣を防いだのは、レイナのレプリカデュエ・スパデだった。
「ッ、間に合いましたね」
「よ、調子はどうだ? 刀真」
「閃崎。何のつもりだ?」
 ギリギリと刀身を圧しながら、刀真は表情を変えない。
「刀真!」
 銃を抜く月夜の居る場所に弾丸が撃ち込まれる。
「貴方も動かないで頂きたい」
 両手に銃を携えたマクスウェルが閃崎達の加勢に加わる。
「ッ。マクスウェル……」
 明らかに苛立った表情を月夜は見せていた。
「悪いな、こちらにも事情があるんだよ。なあ?」
 閃崎は後ろに庇うエクス達の顔を見る。
「な、何のことかしら?」
「良く分からないであるな」
 引き攣った顔でエクス達はそ知らぬ顔をする。
「ピー――!」
 何処からか甲高い笛の音が聞こえてくる。何かの合図の様だった。
「っ、早く行ってください。こんなに強い人達をずっと足止めは出来ません」
「睡蓮、行くのである」
 エクスと睡蓮は笛の音が聞こえる方へ走っていった。
「さあ、少しばかり遊んで貰おうか?」
 閃崎も怯懦のカーマインを抜き、ゆっくりと動き出した。
 「行くぜ! 避けれるもんなら、避けてみな!」
 『隠形の術』で突如現れたトーマ・サイオン(とーま・さいおん)の『ブラインドナイブス』がゴブリンの急所を突いていく。
「当てられるもんなら、当ててみな」
 ヒット&アウェイで直ぐに消え去るトーマの動きに翻弄され、ゴブリン達は滅茶苦茶に剣を振り回し互いを斬り合う形となっていた。
「オイラはこっちだぜ」
 ワザとゴブリンの隣に出現し、ゴブリンの攻撃を誘う。
「ブヒィッ!」
 驚いたゴブリンが隣のゴブリンに斬り付ける。ゴブリン達はトーマを置いて、互いに喧嘩を始めてしまった。
「お、おーい」
 トーマの姿は目に入って居ない様で、謎の言葉で互いに罵り合っている。
「うーん……」
 ポリポリと頭を掻くが、一向に喧嘩は終わりそうに無かった。
「――帰ろう」
 トーマはさっさと背を向けると、面白そうな匂いがする方へ走っていく。