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結成、紳撰組!

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結成、紳撰組!

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■■終章


 朝になり、無事面々は、屯所へと帰還していた。
 一応寺崎屋の不逞浪士の会合を潰す事はでき、幾人かの不逞浪士を捕まえる事ができたのだった。それこそ『一応』は、決着を見たと言っても過言ではない。
 だが、まだまだ課題は残っていた。
 東條 葵(とうじょう・あおい)らにより、生存している朱辺虎衆の者を一人捕まえたのであるが、その者は舌を噛んで自死してしまったのである。また、寺崎屋で過激派の獅子たちを逃がした、朱辺虎衆の四天王を名乗った者も、あの場で殺めてしまった以上、当該組織については、何も分からないのが実情であるといえた。
「何者なんだろう」
 勇理がひっそりと呟くが、誰もそれを知る者は周りにいない。
 その傍らでは、影月 銀(かげつき・しろがね)が針と糸を駆使して、傷の深い隊士の治療を行っていた。ミシェル・ジェレシード(みしぇる・じぇれしーど)のスキルでは足りない程、多くの負傷者も出てしまったのである。だが、一つだけ誇れる事がある。それは、誰一人として棗 絃弥(なつめ・げんや)の言葉通り、仲間を見捨てて逃げる者がいなかった事だろう。


 とはいえ、とりあえず一段落した日中。
 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は、温泉へと入りに来た。二人が揃ってはいる露天風呂には、桜の花びらが浮かんでいる。
 彼女達は揃って桜を愛でながら、身体の疲れが溶け出していくような心地で、温泉を堪能していた。温泉の広間では水心子 緋雨(すいしんし・ひさめ)達鍛冶師組合主催協賛、松風公お墨付きの、刀の品評会が行われている。
「せっかくの観光だったんだけどね」
 セレンフィリティが呟くと、セレアナが微笑した。
「まだまだこれから、時間があるわ」
 そう告げた彼女の青い瞳は、冷静に、他の入浴客が室内へと戻っていった事を確認していた。それが追い風となり、セレアナは、セレンフィリティの肩に手を回して引き寄せる。二人は花煙る春の扶桑の都の露天風呂で、静かに唇と唇を重ねたのだった。


 その夜、試衛館の扶桑支部道場では、藤堂平助芹沢 鴨(せりざわ・かも)を招いての酒宴が行われていたのだった。
「まさか近藤先生が、紳撰組と間違って不逞浪士の会合に出ちゃうなんて」
沖田 総司(おきた・そうじ)が、超有名銘柄の日本酒で彼らをもてなしながら、面白そうに吹き出した。事の顛末は、勇達を迎えに出た、土方 歳三(ひじかた・としぞう)原田 左之助(はらだ・さのすけ)から聴いていたのである。
「いやぁ、すまない」
 苦笑いを浮かべた近藤 勇(こんどう・いさみ)の前で、和気藹々と、各々の杯に酒が注がれていく。
 そんな魅谷甲良屋敷の外を、一匹の太った猫が横切っていくのだった。


「って、そういえば猫も探さないといけませんでした……」
 なんとか寺崎屋を切り抜けてきたフィアナ・コルト(ふぃあな・こると)は、緋王 輝夜(ひおう・かぐや)坂上 来栖(さかがみ・くるす)を一瞥しながら、そんな事を呟いたのだった。どこかでパートナーが帰りの遅さを心配している事も知らずに。


 このようにして、扶桑の都の数日間の群像劇は、幕を下ろす。
 それは桜が葉桜へと変わる頃、春の終わりと初夏の到来を告げる季節の、日常のお話だった。





担当マスターより

▼担当マスター

密巴

▼マスターコメント

こんにちは、密巴です。
ご参加いただいた皆様、並びに読んで下さった皆様、本当に有難うございます。
また、様々な点でお世話になりました、
かのMSと識上MSそして、近藤勇理の絵を描いて下さったあるうぇ様、
本当に有難うございました。

様々なアクションを頂き、書いていて本当に楽しかったです。

なお作中の地名や名所などは、京都や江戸の、新撰組や坂本龍馬に関連する土地です。

三条大橋 → 四条大橋
四条河原 → 三条河原
猿ガ辻  → 犬ガ辻
扉岩   → 境岩
明保野亭 → 宵保野亭
市ヶ谷甲良屋敷 → 魅谷甲良屋敷
大黒寺  → 大白寺
二条城  → 一条城

といった具合ですが、名称のみ借りたため、地理はごちゃごちゃです。
すみません。
書いている際は、龍馬の言葉など調べていた為、作中でぽろぽろと名言喋らせている事があります。

さて私は何度も引っ越しをしたのですが、その度に新撰組縁の地に、
気がつくと住んでいる、という事が多々ありました。
それらも何かの縁だったのかなと思っています。
今回書かせていただくに辺り、新撰組について調べていたら、知らない事だらけだったり、
逆に知っている地名もあって、テンションがあがってしまったりと、
何かとわくわくしっぱなしでした。
ご参加いただいた皆様にも、読んでいただいた皆様にも、そんなわくわく感をお伝えできれば良いなと、
そんな風に感じております。

次も新撰組のシナリオガイドを予定しておりますので、ご参加いただければ幸いです。