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ポージィおばさんの苺をどうぞ

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ポージィおばさんの苺をどうぞ
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 苺の声
 
 
 
 夕闇が迫る頃、スイーツフェスタは今度は片づけで忙しくなった。
 あちこちで売れ残ったスイーツの叩き売りが始まるかと思えば、売り上げが良かったのかぱちぱちと拍手が聞こえてくるところもあり。
 ポージィおばさんの店は一足早くスイーツを売り切り、仮ごしらえの店の撤去作業に入った。
 苺スイーツは好評だったばかりでなく、苺の味を生かしたものが多かった所為か、フェスタ帰りにポージィの畑で苺狩りをしたり苺を購入していった客もあったらしい。
「お疲れ様でした。お陰様で完売致しましたわ。試食用のお菓子が少し残っていますので、そちらはお手伝いして下さった皆様でわけて召し上がって下さいませ。それから、手伝って下さったお礼にポージィおばさまの苺畑で苺を摘んでお持ち帰り下さいましね」
 琴子はそう言ってねぎらうと、あとの片づけはこちらでやるからと生徒たちを苺畑へと向かわせた。
 
 エプロンドレスを着て頑張ったお礼は真っ赤な苺。
 苺畑を手伝ってくれたお礼も真っ赤な苺。
 太陽とポージィの世話を受けて、甘くおいしく実った苺。
「みんなありがとう。苺たちもおいしく食べてもらって、嬉しかったと思うわ」
 家に帰ってからもおいしく食べてねと、ポージィは自分も手伝って苺を摘んでは皆の籠に入れた。
「ポージィさんも、今日はどうもありがとうございました。また来年もよろしく」
 苺の世話を手伝ったレキがポージィにも礼を言う。
「こちらこそ、またよろしくね」
「来年と言わず、また時々お手伝いに来ても宜しいでしょうか?」
 苺畑の手伝いは楽な仕事ではなかったけれど、カムイにとっては興味深く面白いものだった。今の季節だけでなく、一連の世話をしてみたい。
「私もお手伝いに来たいな」
 植物や土に触れるのはヴァイオリンを弾く時と同じくらい落ち着く、と五月葉終夏は生き生きと張っている苺の葉に触れる。
「もちろんいつでも歓迎よ。手伝いと言わず、遊びに来てちょうだい。苺たちと一緒に待ってるわ」
 ポージィは目を細めて苺畑を見渡した。
 ブランローゼはそんなポージィに嬉しそうに告げる。
「わたくしは花妖精です。苺たちにポージィおばさまのことを聞いたら、みんなが話してくれました。おばさまはたくさんの愛情をこめて育てて下さっていると。植物たちは皆、わたくしの姉妹、兄弟同然ですの。大事にしてくださってありがとうございます」
 ポージィはちょっと目を見張り、それからくしゃくしゃと顔をゆがめた。そして少し涙声で、
「ありがとう……」
 と呟いた。
 聞くことのできない苺の言葉、苺の気持ち。
 それを不意に知ることのできた嬉しさにこぼれた涙が、ぽつりと苺の葉に落ちた――。
 
 
 

担当マスターより

▼担当マスター

桜月うさぎ

▼マスターコメント

ご参加ありがとうございました。
今年はスイーツフェスタの制服も新しく……なってもやっぱり、犠牲者の悲鳴の聞こえる一日になりました(笑)。
普段の自分で過ごすのも、普段とは違う自分に出会うのもどちらも楽しいことですよね〜。
苺畑&スイーツフェスタでのひととき、楽しんでいただけたのなら嬉しく思います。

今回公開予定日のほんとにぎりぎりだったので、個別、称号をほとんどつけられていません。
すみません〜〜。いただいたメッセージはきちんと読ませていただいてますし、アクションも楽しく読ませていただきました。個別でお礼が言えなかった分、こちらでありがとうございましたを言わせて下さいませ。
称号は売り子さんだけは大急ぎでつけましたけれど、駆け足でつけたので間違っている可能性があります。「来てない」あるいは「着てない」という方はご連絡下さいませ。
ではまた、ご縁があればお目にかかりましょう〜。