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ミッドナイト・シャンバラ4

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ミッドナイト・シャンバラ4

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 さて、次は、匿名希望さんからのお便りです。
 
 魔法とか科学とか、地球とかパラミタとか、そういう物に拘らない根底原理に触れ、また、研究していきたいです
 多分、今夜もパートナー達と一緒に聴いていると思います。最初聞いた時は、夜に一人で夜桜を観に出かけた時の帰りでした。あの後、パートナー達からは、地上とは治安が違う・危ない・無事で良かったと、怒られたり心配されたりしたものですけれど、今は、そんな感じで皆で一緒に聴いています。

 
 夜桜は綺麗ですからねえ、ついつい見に行っちゃいたくなるのはよく分かりますよー。
 二つの世界も融合が進んでいるようですから、双方に共通する心理のようなものがあってもいいかもしれませんね。
 頑張って、何か発見してくださいね。
 
 続いて、また匿名希望さんです。さっきの人とは別の人のようですね。
 
 いつかきっと、あたしの魔術の流派を立ち上げたいと思っていますわ。でも今は未だ力不足で、到底及ばないのですわ。パートナーが原理研究をしたいと言っているので、途中までは同道出来るのは嬉しいですわ。
 
 あら? さっきの人がパートナーなんでしょうか。
 魔法にも、何々流とかあるんですか?
 そういえば、何とか騎士団とかあるみたいですものね。
 そうすると、たまには他流試合とかしちゃうんでしょうか。総本山とか作っちゃうとか。
 頑張って、匿名流を立ち上げてくださいね。
 
 続いても匿名希望さん。なんだか、匿名が流行っているんでしょうか。
 
 我は、いつか”それ”が必要な時に、そう行える様に、今は日々訓練あるのみなのだよ。護りたい気持ちはあっても、護りきれない力不足を感じる時はあるし、弱き者を護りたいとは思ってはいても、実際我が護れるのは、我が手が届く極狭い処だけと、もどかしく思う現実もあるのだよ。
 
 でも、それこそ真理ですね。
 手の届かない物を守ることは絶対できませんから。
 だからこそ、人はすべての物に手をのばすわけですけれど。
 頑張って、長い腕を手に入れてくださいね。
 
 さて、このコーナー最後の匿名希望さんです。
 
 封印を解いて下さった方とパートナーになったのでございますけれど、封印される前と世界が変り過ぎていて、此処にいて良いのか?心配になる事が多いのでございます。今は、一緒にいてくれる仲間たちのお陰で、そういう感覚が少なくなっては来ているのでございますけれど、そんな居場所が、ずっと在れば良いと、願っているのでございます
 
 ああ、それってよく聞きますね。特に英霊や魔道書の人に多いようですし、剣の花嫁や機晶姫の人も、目が覚めたら浦島太郎だったというのはよくあるようです。
 でも、パラミタが最初に現れたときの地球の人も同じだったでしょうから、気にしてたら負けですよ。先に慣れちゃった人の勝ちです。だから、ここにいていいんですよ。
 では、CMです」
 
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ひゃっ、あは〜ん♪(ヒャッハー!)ミッドナイト・シャンバラ☆」
 
    ★    ★    ★
 
タシガンの片隅でひっそり営業している屋台「Sasaki」
そこでは今日も1つの物語が花開く。(CV渋いおっさん)
 
客:「よ、マスター。いつものやつね」
弥:「いらっしゃい。はは、屋台なんで親父って呼んでくださいよ」
客:「まだ慣れなくてねぇ、今日のお薦めは?」
弥:「アサリの酒蒸しです。が、ニンニクは抜きますねぇ」
客:「ありがたい。ニンニクはどうしてもだめでね」
弥:「ワインは深い赤色でいいですか」
客:「お、解ってるね。ほんとにマスターは、人間にしとくのはもったいないよ」
弥:「はは、ありがとうございます。それと親父でいいですよ。」
客:「ははは(笑)」

 
    ★    ★    ★
 
「なんですかねえ、このCMは……」
 屋台の軒先に吊したトランジスタラジオから流れてきたCMを聞いて、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)が変な顔をした。
『兄さん、変なCMが流れてるんだけど……』
 とりあえず、こんなことをしそうな人間に精神感応で聞いてみる。
『あ、俺が出しといた』
 あっけらかんと、佐々木 八雲(ささき・やくも)が答えた。
『え? またなんで……』
『何年お前の兄をやっていると思っている。お前、そろそろ結婚を考えて店をだしたんだろ』
 そう決めつけられて、佐々木弥十郎は返す言葉がない。
『それじゃ、少しでも稼いでおかないとな。それに、お前の店が繁盛したら、かわいい女の子も来るだろうし』
 さすがは精神感応、微妙に本音がダダ漏れしている。
『ええっと……』
『はは、そういうことだ。……彼女は大事にしろよ』
 一応、ちゃんと弟のことを心配してはくれているらしい。
『……はい。えっと、たまには食べにきてよ』
『そのうちな』
 佐々木弥十郎の言葉に、佐々木八雲がそう答えた。