リアクション
そのころ、波羅蜜多実業高等学校では…… 「よおっしっ、あなたたち、ちゃんと言っといた宿題は持ってきただろうね。忘れたなんて奴は、ジャッパンクリフから雲海へ投げ込むよ! よおし、レイ、きっちりと採点しなさい」 「分かりました」 再び庭に集めた夜露死苦荘のモヒカンたちを前にして叫ぶ伏見明子に言われて、レイ・レフテナン(れい・れふてなん)が、宿題のレポートを回収していった。 「とりあえず、全部ひらがなという小学生以下の者が多数いますが、いかがいたしましょうか」 一応確認するレイ・レフテナンに、伏見明子が親指を下にむけた。 「了解です」 レイ・レフテナンが、氷術で空中にいくつが氷塊を出現させる。 ゴン、ゴン、ゴン!! 「いつっ」 「うぎゃぁ」 「げぼっ」 頭に直撃を受けたモヒカンが何人か、その場に沈んだ。 「マス目を無視して十文字で終わっている者がおりますが」 再び死刑宣告。 降り注ぐ雷に、何人かが感電してあらぬポーズで痙攣する。 「さあ、次のバカはどんなバカ?」 引きつるモヒカンたちをよそに、伏見明子が叫んだ。 ★ ★ ★ 「一つ積んでは母のため……、一つ積んでは父のため……」 風吹きすさぶシャンバラ大荒野で、リリィ・クロウ(りりぃ・くろう)は地面に落ちているわずかな穀物の種を拾い集めていた。 パラ実農業科の明日を照らすため、効率的な種籾の拾い方を研究しているのだ。 とはいえ、荒野に落ちている種籾などたかがしれている。いや、落ちている方が奇跡のはずだ。 だが、セイヴァーシードであるリリィ・クロウであるからこそ、貴重な種籾を発見することができていた。一度だけだが、なぜ熨斗をつけて倒れている男から、小さな袋半分ほどの種籾を採取することもできた。 だが、夏休み一杯探しても、やっと小さな袋一つが限界である。そして、苦労して集めた種籾も、しょせんは上納品として上に奪われる定め。 世は無常であった……。 「ああ、何か、もっと効率のいい方法は……」 そう、天を仰いだときのことである。 「やい、姉ちゃん、種籾を出せ!」 略奪者であった。 相手も、種籾に命をかけるセイヴァーシードらしい。 「ていっ」 あわてず騒がずちょんと叩くと、略奪者は見事な苗床になった。 ぴろぴろり〜ん。 『リリィ・クロウは種籾を手に入れた』 どこからか天の声がする。 「ああ、この方法があったのですね。これこそがセイヴァーシードの神髄」 閃いたリリィ・クロウは、パラ実らしいやり方として、旅人から種籾を奪う方法を考え出した。これならば、苦労して種籾を拾い集める必要はないではないか。 「わたくしったら、なんと頭がいい」 セイヴァーシードであるリリィ・クロウが自画自賛する。 そして、また一つ苗床が誕生したのだった……。 担当マスターより▼担当マスター 篠崎砂美 ▼マスターコメント
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