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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別

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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別
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第三十七篇:リア・レオニス×アイシャ・シュヴァーラ
 リア・レオニス(りあ・れおにす)とアイシャ・シュヴァーラの入った世界は、特に何も無い世界だった。
 ただあるのは、無限に広がる青空と、無限に広がる草原。
 リア自身はアイシャの最も憧れる恋物語をと思い、彼女の思いを優先した。
 だがしかし、アイシャ自身も、自らが最も憧れる恋物語というものに、明確なイメージを持てなかったゆえに、『本』の中の世界はこのような形となったのだろう。
 二人は苦笑した後に微笑み合うと、並んで草原に腰を下ろした。
「リアさん、あなたのことを、お話してくださいませんか?」
「え?」
 突然の頼みに、一瞬きょとんとなるリア。
「わたくし、あなたのことをもっと知りたい。あなたともっと近付きたいのです」
 真摯な瞳で語りかけてくるアイシャの瞳をじっと見つめながら、リアはゆっくりと語り出した。
「ごく普通の学生だったからなあ……」
 そう切り出すと、リアはぽつりぽつりと自分のことを語り始める。
「俺、陸上とかバスケやってたからマネージャーとの恋とか憧れたな」
 現代地球での生活。それをふと思い出しながら、リアは続ける。
「練習メニュー一緒に考えたり、特訓してるの見つかって付き合ってくれたり」
 かつて憧れた恋――それを思い出しながら、ゆっくりとアイシャに聞かせていく。
「彼女の応援の声だけは不思議とよく聞こえて力が沸いてくるような。いつもありがとうとお礼言って、それがキッカケで付き合うみたいな」
 そして、それをアイシャは、ただ黙って微笑みながら聞いていた。
「将来の夢を語り合ったり、テストや受験を頑張ったり」
 次第に夢中で話すリア。そして、やはりそれを微笑みながら聞いているアイシャ。
「なんか普通の話だな」
 語り終えてリアが苦笑すると、アイシャは更に柔らかな微笑みを浮かべて、言った。
「いいんですよ。そんな普通の恋に憧れる純粋なあなたが、わたくしは好きですわ」
 そして、二人は互いの手をそっと重ね合った。