リアクション
エピローグ
「うむ……まずはメアテネルをここから出さねばな。
メアテネル、夢を見てくれた者たちの、プラスのエネルギーを受けるのだ。
そのことだけに意識を集中しろ」
「……わかった」
水晶の中でメアテネルが眉間にしわを寄せ、目を閉じる。日を受けた氷のように、くすんだ感じになってきた水晶に、メアベルが煮詰まった香り高い薬湯をかけた。薬とメアテネルの思念が反応し、水晶はふっと曇り、次いで霧のようになって霧散した。
「思っていたより自分の仕事は嫌なことではないのだな……」
水晶から自由になったメアテネルは呟き、見ず知らずの自分のために協力してくれた人々を見渡す。皆一様にメアテネルの無事を喜び、輝くような笑顔を浮かべている。
「俺なんぞのために……。皆さん、本当にありがとう」
メアベルは静かに言った、
「なあ、メアテネル。楽しい夢を見せることについても、長に提案してみるのも良いと思うぞ」
「そうだな」
2人は晴れやかな表情を浮かべ、夢の香を振りまいた。うら寂しい冬の公園が、氷で出来た木々、雪に覆われた地面に、氷でできた草花に覆われた花壇に変わった。透明な木々や草花が、初冬の日差しをプリズムに変え、あたりを虹色の輝きで満たす。2人に協力した全員が、その美しい幻想夢を共有した。
「美しいものを素直に美しいと思い、過剰にうらやんだり妬んだりしないで済めば平和なのにな」
幸せそうに幻想夢を見る人々を見やってメアベルが呟いた。
「良きも悪しきも、人の心の持ちよう一つなのだな……」
ゆっくりと幻想は薄れ、元の公園の景色が戻ってきたが、その場の人々はしばらく動こうとはしなかった。美しい幻想を見たことに、幸せな気持ちでいっぱいになっていたのである。
やがては皆、各々の日々の生活に立ち返る。しかしここで見た景色は心に住み続ける事となるのであろう。
こんにちは、鷺沼聖子です。
だいぶ寒くなってきましたが、関東ではその合間に夏日などあったりして、体がついていきませんね。
北のほうはすでに雪になってきていますし風邪も流行りだしたましたね。皆様どうか体にはお気をつけください。
今回予想に反して夢を見るよりも茸取りに人気がございました。いずれも正統派からひねりのあるものまで、楽しいアクションをお寄せくださりありがとうございました。
メアービーのきのこを栽培という案は、海外に数種類実在するアリの生態から取ったものです。アリとハチは実はとても近い仲間なのです。
私のシナリオにご参加いただきましてありがとうございました。
またよろしかったら、ご参加いただけますと幸いです。